クリニック・病院でのクレーム事例は?対処法など紹介!
投稿日:
2024.01.16
更新日:2024.03.27
クリニックや病院の開業を検討されている方で、患者さんからのクレーム対応について危惧されている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、待ち時間、金銭のやり取り、医師・スタッフの対応といったクレーム事例や、その対処法についてまとめています。
クリニック・病院では、どのようなクレームが多い?
クレームが起きやすい原因には、診察や会計までの待ち時間の長さ、会計時のミス、医師・スタッフの対応、診察時間の短さなどがあります。こうしたクレームに対して、どのように対処すべきなのか一つひとつ説明します。
- 待ち時間が長いことに対するクレームの内容は?
- 待ち時間に対してストレスをどれくらい感じるかには個人差があり、1時間近く待てるという方もいれば、15分でも待てないという方もいらっしゃいます。待つことのストレスを増大させる原因は、自分の順番がくるまでにどれくらい時間がかかるのか、待ち人数は何人なのかが分からないことです。また、つらい症状を抱えていたり、家族が症状で苦しんでいたりすると不安が募ってしまいます。そうしたことで、ますますストレスが蓄積されていくため、待ち時間が発生してしまっている場合は順番やおおよその診療開始時間を伝えることが大切です。また、時間予約システムや順番待ち受付システムを導入するのもおすすめです。
- 会計に対するクレームの内容は?
- 会計処理におけるミスを完全にゼロにすることは難しく、合計金額が誤って計算されてしまうこともあります。もし、患者さんから「前回と同じ診察で、同じ処方箋なのに、金額が異なっていませんか?」などと指摘を受けた場合は、「金額は自動で計算されているので誤っていません」と、すぐに否定をするのは控えましょう。まずは、「確認いたしますので、お時間を取らせてしまって申し訳ございませんが少々お待ちください」と伝えてください。否定から入ってしまうと、返って相手の不信感を増幅させてしまいます。たとえ、病院側のミスでなくても部分的に謝罪をすることで、患者さんに対して誠実な病院であるという印象を与えることができるでしょう。
- 先生やスタッフに話しかけにくいことへのクレームの内容は?
- 医療機関によって異なりますが、「医師の対応が雑」「看護師が怖い」という患者さんからの声がクレームの事例として挙げられます。こうした接遇に関するクレームは、患者さんによって捉え方が異なるので、判断が難しい部分です。どんなに忙しくても笑顔を忘れないこと、診察の最後には必ず質問の時間を設けることなどを心がけましょう。また、定期的に、医師と看護師、スタッフ間でミーティングを行い、患者さんの応対について意見をまとめることも大切です。もちろん、クレームをただ言いたいだけの方もいますので、真に受けすぎるのは良くない場合もあります。
- 診療時間が短いことに対するクレームの内容は?
- 慢性的な疾患の場合は、経過観察と薬の処方のみで診療が終わることがほとんどです。しかし、患者さん側からすると「果たして病気は改善するのか」「この治療法を続けていていいのか」といった不安や不信感を抱く場合もあります。また、待ち時間が長いのに、診察時間が数分というのもイライラを増幅させる原因になります。患者さんとよくコミュニケーションをとり、診察の最後には、「何か質問がありますか」「聞きたいことはありますか」と不安や疑問を解消できるようにしましょう。
クリニック・病院でのクレームに対する対処法は?
クレームに対応する際のポイントや事実確認の進め方、患者さんの不満を理解する方法、クリニック全体の対応策について説明します。
- クレーム対応で、正しく聞き、謝罪するには?
- まずは、最後まで話をさえぎらずに傾聴することが大切です。納得のいかないことがあっても否定せずに、誠実に対応してもらえていると相手に感じてもらえるようにしましょう。具体的には、「相手の話を最後まで聞く」「『でも』『だって』『ですから』など、否定する言葉を使わない」「適度に相づちを入れる」「相手が共感する言葉を伝える」などがクレームを聞く際のポイントです。ただ、事実確認が取れない段階で全面的に謝罪をしてしまうと、責任を認めたことになってしまいます。事実確認が取れるまでは、安易に謝らないようにする必要があります。
- クレーム対応で、正しく事実確認を進めるには?
- いきなり事実確認から入るのは避けてください。なぜなら、相手が苛立った状態で話を進めてしまうと、さらに不快な思いを相手にさせてしまうからです。まずは話を聞き、相手の気持ちが落ち着いてから、クレームの内容を整理します。クレームの内容を整理する際は、「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうように」という点で話を聞くのがポイントです。また、内容に間違いがないかどうか、適宜確認しながら進めると良いでしょう。その際に、改善要望があれば、あわせてメモを取ることも大切です。
- クレームを正しく解決するには?
- 患者さんとやり取りをしている時点で、解決策があるようでしたら伝えてください。ただし、その場で解決策がなかったり立場上判断できなかったりする場合は「一度持ち帰ること」を伝え、先輩や上司に指示を仰ぐようにしましょう。誤った対応をしてしまうと、さらに相手が不信感を募らせてしまう恐れがありますので注意が必要です。また、病院側に非がない場合は、事実をそのまま伝えるのでなく、相手の気持ちをくみ取りながら伝えることがポイントです。医療機関ということもあり、患者さんはつらい症状や不安を抱えていることも十分に配慮しなくてはなりません。
- 解決できないクレームへの対応は?
- 電話でクレーム対応をする場合は認識に相違が生まれ、話が進まないこともあります。そのような場合は、直接患者さんの家に伺うか、医院に来てもらうのも一つの手です。また、一人でクレームに対処してしまうと気づかないことがあります。その際は、同僚や先輩、上司などと連携を取りながら、クレームに対処してみましょう。患者さんの温度感によっては、法的措置を取られる場合がありますので、事実関係を記録しておくことも大切です。
クリニック・病院でのクレームを発生させないためには?
医師・スタッフの認識をそろえるためにも、クレーム対策マニュアルを作成することが大切です。また、クレームの内容によっては、ツールを導入することで解決できることもあります。ここでは、クレームマニュアルの作成方法のポイントや、おすすめのツールについて説明します。
- クレームを発生させないためのマニュアル作成とは?
- クレーム対策マニュアルを作成することで、どの医師やスタッフが患者さんの応対にあたっても適切に処理をすることができます。作成の際は患者さんからアンケートをとったり、スタッフから意見を集めたりすることがポイントです。マニュアルが古い情報の場合は、年に1度は精査することも重要です。医師の対応に問題があったとしても、スタッフは指摘しづらいと思いますので、データを集め、病院またはクリニック全体で方針を決めると良いでしょう。
- クレームを削減させるためのツールなどは?
- クレームの内容にもよりますが、待ち時間が問題であれば、時間予約・順番受付システムやWEB問診票、電子カルテなどのツールの導入をおすすめします。あわせて、Wi-Fiや雑誌、ウォーターサーバーを設置するなど、待合室の環境を見直すことで、患者さんのストレスを減らすことができます。会計ミスであれば、自動精算機を入れることで不備を減らすことが可能です。ただし、ツールの使用法をしっかりと理解していないと、新たなクレームを発生させてしまうことになりますので注意しなければなりません。
編集部まとめ
クレームに対しては患者さんの不信感や不満を見過ごさず、誠実に向き合うことが重要といえます。医療機関全体で患者さんの対応方針を固めたり、クレーム対策をマニュアル化したりすることで、より良い医療サービスの提供に努めましょう。患者さんのクレームにしっかりと向き合うことは、病院やクリニックを大きく発展させることにつながります。