TOP > 開業の準備、開業とは > 歯科医院の内装デザインで成功するためのポイント|近年の傾向や特徴、工事にかかる費用

歯科医院の内装デザインで成功するためのポイント|近年の傾向や特徴、工事にかかる費用

                   
投稿日: 2025.04.15
                   

歯科医院の内装デザインは、患者さんの安心感や信頼感を高め、競合クリニックとの差別化を図るうえで重要な要素のひとつです。

この記事では、患者さんに選ばれる歯科医院の内装デザインの重要性をはじめ、デザインを考える前に必要な準備や大切なポイント、患者満足度を高める工夫、費用相場と内装会社の選び方、さらに近年のデザイン事例やトレンドについても詳しく解説します。

目次

  1. 1 患者さんに選ばれる歯科医院の内装デザインの重要性
  2. 2 歯科医院の内装デザインを考える前の準備
  3. 3 歯科医院の内装デザインで大切なポイントとは?
  4. 4 患者満足度を高める内装デザインの工夫
  5. 5 内装デザインの費用相場と内装会社の選び方
  6. 6 歯科医院の内装デザイン事例とトレンド
  7. 7 まとめ

患者さんに選ばれる歯科医院の内装デザインの重要性

患者さんに選ばれる歯科医院の内装デザインの重要性

ここでは、患者さんから選ばれるために意識したい歯科医院の内装デザインについて解説します。

内装デザインが、患者さんの第一印象に大きく影響

歯科医院における内装デザインは、患者さんの第一印象に大きく影響します。

特に初診の患者さんにとっては、院内の雰囲気が医院に対する印象を大きく左右すると考えられます。明るく清潔感がある内装は、患者さんに安心感を与え、リラックスした状態で診療を受けてもらうことができます。

一方で、暗く古びた印象の内装では、患者さんに不安や緊張を感じさせる可能性があります。

内装が患者さんに与える心理的影響(安心感・清潔感など)

内装デザインは、患者さんの心理面にも影響を与えます。

例えば、明るく清潔感のある空間は衛生的な印象を与え、安心感につながりやすいでしょう。

また、照明や色彩計画によってリラックスしやすい空間をつくることで、患者さんの緊張を和らげることができます。

他院と差別化できるデザインの考え方

他院と差別化を図るためには、独自のコンセプトやデザインテーマを持つことが重要です。

例えば、自然素材を多く取り入れたナチュラルなデザインや、ホテルのような落ち着きと高級感を演出するデザインなど、ターゲットとする患者層や地域性に合わせたデザインを検討することで、他院との差別化につながりやすくなります。

歯科医院の内装デザインを考える前の準備

歯科医院の内装デザインを考える前の準備

歯科医院の開業に向けたステップには、開業場所の選定、事業計画の立案、医療機器の選定、スタッフの採用などがあります。

事業計画を立てる段階で、内装デザインの方向性を検討しておくことが重要です。ここでは、デザインを計画する前に確認しておきたいポイントを紹介します。

コンセプトや診療方針を明確にする

内装デザインを考える際には、まずコンセプトや診療方針を明確にしておくことが重要です。方針が定まっていればデザインに一貫性が生まれ、患者さんに伝えたいメッセージを効果的に表現しやすくなります。

必要なレイアウトと動線を整理する

診療の効率化や患者さんの快適性を考えるうえで、受付や待合室、診察室などのレイアウト設計や動線の整理は欠かせません。適切な動線設計は、スタッフの業務効率を高め、患者さんのストレス軽減に役立ちます。

内装デザインの予算とスケジュールを決定する

次に、内装デザインの予算とスケジュールを決定します。

デザインや工事にかかる費用、そしてスケジュールを事前に明確にしておくことで、計画的にプロジェクトを進めることができます。予算内で適切なデザインを実現するためには、優先順位を整理し、必要な部分に適切に投資することが大切です。

歯科医院の内装デザインで大切なポイントとは?

歯科医院の内装デザインで大切なポイントとは?

それでは、歯科医院の内装デザインで大切なポイントを解説します。

レイアウトの設計(受付・待合室・診察室)

レイアウトの設計は、患者さんの快適性とスタッフの効率性に直結します。

受付は患者さんが最初に接する場所であり、親しみやすさとプライバシーへの配慮も求められます。

待合室は、リラックスして過ごせる空間づくりが重要です。診療内容によっては、車椅子の方が受診しやすいようなバリアフリー設計を検討することも大切です。

診察室は、機能性と清潔感を重視した設計が重要です。特に、歯科処置に伴い発生するエアロゾルへの対応のため、換気システムなどの導入も考慮しましょう。

カラーコーディネートの選び方(リラックス効果のある色)

色彩は、空間の印象だけでなく、患者さんの心理状態にも影響を与えます。

一般的に、内科などの医療機関では白い壁紙が選ばれることが少なくありませんが、安心感やリラックス感、話しやすさといった点では緑色の評価が高いともいわれます。そのため、患者さんへのリラックス効果と落ち着いた空間づくりのためには、緑色をインテリアのアクセントとして活用したり壁紙の一部に使ったりすることも効果的です。

照明やインテリアが与える影響

照明は、空間全体の雰囲気や患者さんの気分に影響を与える重要な要素です。自然光を取り入れる設計や、あたたかみのある照明を選ぶことで、リラックスできる空間づくりにつながります。

また、インテリアは、デザインコンセプトや患者さんのニーズに合わせて選定し、統一感のある空間を演出することが重要です。

患者満足度を高める内装デザインの工夫

患者満足度を高める内装デザインの工夫

患者満足度を高める内装デザインの工夫には、どのようなものがあるのでしょうか。ここからは、患者満足度を高める内装デザインの工夫について解説します。

快適な待合室づくり(ソファ・雑誌・デジタルサイネージなど)

快適な待合室は、患者さんの満足度を高めます。

待合室のソファは患者さんが落ち着いて過ごすことができる広さを意識し、患者さん同士の距離に配慮したサイズや配置を意識することがポイントです。

また、デジタルサイネージ(電子掲示板)でリラックスできる映像やお口の健康に関する映像を流したり、診療の順番を表示したりすることもおすすめです。

患者さんが待ち時間を快適に過ごせるように、自由に利用できるウォーターサーバーの設置や口腔ケアグッズの展示販売も検討してみましょう。

患者さんの年齢層に合わせて雑誌を用意しておくのも、待ち時間を快適に過ごすための助けになります。

プライバシーに配慮した診療スペースの設計

診療スペースでは、患者さんのプライバシーがしっかりと守られていることが安心感につながります。

診療台の配置がオープンになっている場合、周囲の視線が気になると感じる方も少なくないため、パーテーションや個室ブースの設置が有効です。また、問診やカウンセリングスペースは、防音性の高い部屋を確保すると、安心して相談しやすい環境を整えられます。

バリアフリー対応やキッズスペースの導入

年配の方や車椅子を利用している方にも配慮したバリアフリー設計は、地域のかかりつけ歯科医院としての信頼を得るうえでも重要な要素といえます。段差の解消や手すりの設置、広めのトイレなどの整備は、ユニバーサルデザインの観点からも重要です。

また、小さな子どもを連れた方が来院しやすくなるよう、キッズスペースを導入することも検討しましょう。絵本やおもちゃを清潔に保ちつつ配置すると、親子ともに過ごしやすい環境を整えることができ、ファミリー層の満足度向上につながります。

内装デザインの費用相場と内装会社の選び方

内装デザインの費用相場と内装会社の選び方

ここからは、歯科医院の内装デザインにどのくらいの費用がかかるのか、内装会社の選び方にはどのようなポイントがあるのかを解説します。

内装工事の費用相場(小規模・中規模・大型医院)

病院とは異なり、日本における歯科医院はほとんどが無床であり、病院のような小・中・大病院といった明確な区分があるわけではありません。

一般的には、院長が一人で診察をしているような小さな歯科医院は小規模とされ、医療法人などで複数の歯科医師が在籍し、一定数の患者さんを診療している歯科医院は大規模と考えられます。その中間が、中規模に該当します。

小から中規模の歯科医院として、テナント30坪程度、ユニット2台で開業する場合には、1,600万円ほどの資金が必要になるのが一般的です。

デザイン会社や施工業者を選ぶ際のポイント

内装会社選びでは、歯科医院の施工実績が豊富な会社を選ぶことがポイントです。

歯科医院を新規開設する際には、医療機関としてさまざまな基準を満たす必要があるため、医療特有の法規制や動線設計を理解していることが大切です。

適切なデザイン会社や施工業者を選ぶことで、スタッフと患者さんの双方にとって使いやすい空間を実現しやすく、保健所の開業許可をスムーズに得られる歯科医院を作ることが可能です。

予算を抑えつつ効果的な内装を実現する方法

予算を抑えつつ、効果的な内装を実現する方法の一例として、デザインと施工を一括で請け負うデザイン・ビルド方式があります。

この方法を採用することで、建設費や工期の削減が期待できます。

また、設計・施工の一元化によって、設計部門と施工部門の連携がとりやすくなり、結果として計画に沿った内装を実現しやすくなります。

もちろん、限られた予算内で満足度の高い内装を実現するためには、優先順位を意識した投資をすることも大切です。

例えば、待合室や受付など、患者さんから見える部分はしっかりとデザインにこだわった設計とし、バックヤードやスタッフルームは機能性を重視してコストを抑えるなどの工夫も考えられます。目的に応じて優先順位を整理しておくことが大切です。

歯科医院の内装デザイン事例とトレンド

歯科医院の内装デザイン事例とトレンド

歯科医院の内装デザイン事例と、近年のトレンド傾向について解説します。

最新の歯科医院デザインのトレンド

近年、多くの歯科医院で診療ブースの個室化が進んでいます。個室にすることで、患者さん同士が顔を合わせることなく診察を受けることができ、プライバシーが保たれやすくなります。新型コロナウイルスなどの感染症の予防対策としても、個室は安心感を提供してくれるでしょう。

また、車椅子などを利用する方にも配慮したバリアフリー設計も、重視されるポイントのひとつです。

歯科医院といえば白や淡い水色などの寒色系が壁紙や床材に使われる傾向がありました。しかし、最近では、木目調の壁や観葉植物などの自然素材を取り入れたあたたかみのあるデザインが増えています。 このような内装は、特に子どもや女性の患者さんにとってよりリラックスしやすい雰囲気をつくることができます。

シックな黒系の壁紙を使うことでラグジュアリー感を演出し、大理石風の床材や絵画を採用して、ホテルのような高級感を意識した内装デザインも人気です。

また、ガラス張りの壁にすりガラスを取り入れ、外部からの視線を遮りつつ、明るさや開放感を保てるような内装デザインも新しい歯科医院によくみられます。

従来と同様に重要視されているのは、清潔感があり維持管理しやすいかという点です。汚れを落としやすい床材や、水撥ねしにくい洗面台は、どのようなデザインでも意識して選ぶとよいでしょう。

成功事例紹介

ここからは、歯科医院のデザイン事例をいくつか紹介します。

ナチュラルであたたかみのあるデザイン

自然素材を活かした内装は、患者さんにやわらかくあたたかい印象を与え、歯科医院にありがちな緊張感を和らげる効果が期待できます。例えば、待合室に木目調の壁や天井、間接照明を取り入れることで、あたたかみのある落ち着いた空間が生まれます。

ホテルライクな高級感ある内装

自費診療や審美治療を中心とした歯科医院に多いのは、大理石調の受付カウンターや落ち着いた照明を活用した、ホテルのような高級感を演出できるデザインです。

ベージュやブラウンなどのアースカラーを基調とし、特別感を感じる落ち着いた雰囲気を演出することで、患者さんの信頼感や満足度を高めることができます。

小児向けのポップなデザイン

子どもを主なターゲットとする歯科医院では、明るくカラフルな配色や可愛らしいキャラクターを取り入れた空間設計が効果的です。

診察室や待合スペースに、動物や乗り物のモチーフをあしらった壁紙やカラフルな配色のインテリアを取り入れることで、子どもが歯医者に対して抱きやすい不安や恐怖心を軽減します。

清潔感と機能性を両立させたシンプルモダン

白を基調としたシンプルな内装は、清潔感と視覚的なすっきり感を演出できます。ガラスやステンレスといった素材をアクセントとして加えることで、スタイリッシュかつ先進的な雰囲気を醸し出すことも可能です。

無機質な印象になりすぎないように、観葉植物や木目調の家具を部分的に取り入れることで、空間にあたたかみを加える工夫もみられます。診療の専門性や技術力をアピールしたい歯科医院に、特に適したスタイルといえるでしょう。

海外の先進的なデザイン事例

海外の先進的な歯科医院のデザイン事例として、イギリスのThe Dental  Sanctuaryの例を紹介します。

The Dental Sanctuaryは、イギリスの医療内装専門会社Global Dentalが手がけたクリニックで、従来の医療施設のイメージを覆すような、洗練された空間設計が特徴です。

患者さんにとってのサンクチュアリ(聖域)のような場所を目指してデザインされました。

受付や待合室には、上質な木材やマットな質感のタイルが貼られています。また、治療室のユニットには、高級ベルモント社のユールスSチェアが設置されています。こうした設備や設計により、快適性に配慮しつつ質の高い診療環境の提供を目指しています。

(参考:The Dental Sanctuaryホームページ

まとめ

歯科医院の内装デザインは、単なる見た目だけでなく、患者さんの安心感や快適性、さらには医院経営の安定にも関わります。
コンセプトの明確化からレイアウト設計、カラー選び、照明・インテリアの工夫まで、計画的に進めることが成功のカギとなります。歯科医院の立地や対象とする患者さんの層、診療内容に合わせて、トレンドを踏まえながら、患者さんに選ばれる歯科医院づくりを目指しましょう。