TOP > 開業の準備、開業とは > おしゃれなクリニック内装の作り方|患者さんに選ばれる空間デザインのポイント

おしゃれなクリニック内装の作り方|患者さんに選ばれる空間デザインのポイント

                   
投稿日: 2025.04.15
                   

近年、クリニックを選ぶ基準は診療内容だけでなく、院内の雰囲気や居心地のよさも重視されるようになっています。

清潔感はもちろんのこと、患者さんが「また来たい」と思えるクリニックには、洗練された内装デザインが取り入れられています。

今回の記事では、おしゃれなクリニック内装を実現するためのポイントや、デザインの工夫、診療科目ごとのアイデアまで、実際のクリニックの例や研究結果などを交えて紹介します。

おしゃれなクリニック内装が重要な理由とは?

おしゃれなクリニック内装が重要な理由とは?

ここではおしゃれなクリニック内装が重要な理由を解説します。

患者さんの満足度向上につながる

クリニックに訪れる患者さんの多くは、病気や怪我などの身体的な苦痛を抱えています。加えて、病気や怪我に対する不安、ときには経済的な不安などを感じている場合もあるかもしれません。特に初めて受診する場合には、不慣れな環境で緊張してしまうことも多いでしょう。

そんなとき、清潔で落ち着いた空間に身を置くことで、気持ちが和らぐことは少なくありません。特に待合室の印象は、クリニック全体の評価を左右する大切な場所です。

患者さんの多くは、長い待ち時間を苦痛に感じているという報告もされています。

そのため、待合室の環境を整え、おしゃれな内装にすることで、居心地のよさや安心感などのよい印象を患者さんに持ってもらうことが重要です。そのような満足度が再受診率の向上に繋がります。

クリニックのブランディングで競合と差別化できる

提供される医療サービスの質が同等であっても、内装から受ける印象によって患者さんの評価は大きく変わります。

おしゃれな内装を通じてクリニックのコンセプトや診療方針を表現することで、競合クリニックとの差別化が可能です。特に都市部など競争が激しいエリアでは、ブランディング戦略の一環として空間デザインが重要な要素になります。

スタッフの働きやすさ向上にも貢献

おしゃれな内装は患者さんだけでなく、そこで働く医師や看護師、スタッフの働きやすさにも影響を与えます。明るく整った空間は、業務の効率を高め、ストレスの軽減にもつながります。また、スムーズな動線を確保することでスタッフの生産性が向上します。

おしゃれな内装は、結果としてスタッフの定着率向上やサービス品質の安定にもつながるでしょう。

クリニックの内装をおしゃれにするポイント

クリニックの内装をおしゃれにするポイント

ここでは、クリニックの内装をおしゃれにするポイントを解説します。

ターゲット層に合ったデザインを取り入れる

患者さんの年齢層や性別、地域性を考慮した空間デザインが、内装をおしゃれに見せる鍵になるでしょう。例えば若い女性が多く来院する美容クリニックでは、上品で洗練されたインテリアが好まれます。一方で、小児科であれば、子どもが親しみやすい色使いや遊び心のあるデザインが効果的です。

採光や照明で居心地のよい空間にする

自然光をできるだけ多く取り入れる設計と、それを補う間接照明の活用によって、やわらかく温かみのある空間を演出できます。蛍光灯だけの明るさは無機質で緊張感を与えることがありますが、光の使い方を工夫することで、心を落ち着かせる雰囲気作りが可能です。

実際、待合室の印象がその施設を「また利用したい」と感じるかどうかに影響があるという研究をまとめた論文もあります。天井の高さを意識させるデザインや間接照明の有無などの採光や照明が、安心感や快適さといった感情的評価に関わる要素として挙げられています。

>>診療所の待合室の視覚的特性と感情的評価の構造に関する研究|日本感性工学会論文誌

光の使い方にひと工夫加えることで、明るくて居心地のよいクリニックの空間づくりができ、患者さんにまた来たいと思ってもらいやすくなると考えられます。

観葉植物を取り入れリラックスできる空間にする

グリーンは視覚的な癒やしを与え、空間に生命感をもたらします。大きな観葉植物や、受付カウンターに小さな鉢植えを配置するだけでも印象が大きく変わります。衛生面やメンテナンスにも配慮しつつ、自然を取り入れましょう。

空間の広さと患者さんの動線を意識する

コンパクトな空間でも、動線がスムーズで無駄なストレスを感じさせない設計が求められます。受付から待合室、診察室、会計までの流れを明確にし、プライバシーを確保しながらも開放感のあるレイアウトにすることが重要です。

内装のテーマを統一する

ナチュラル、モダン、北欧風など、テーマを明確にすることで統一感が生まれ、洗練された印象を与えることができるでしょう。中途半端に異なるテイストを混ぜると雑然とした印象になってしまうため、全体のバランスを意識するのがポイントです。

トレンドを取り入れる

インテリアのトレンドを参考にすることで、現代的な雰囲気のクリニックに仕上がります。例えば、近年はウッド調の壁材やグレージュカラーの家具などが注目されています。ただし、トレンドに流されすぎず、長く愛されるデザインとのバランスが大切です。

内装デザインをおしゃれにするための要素

内装デザインをおしゃれにするための要素

内装デザインをおしゃれにするために大切な要素について解説します。

カラーコーディネート

色づかいは、空間の印象を決める大きな要素です。

例えば、ベージュやグレーなどの落ち着いた色をベースにすると、クリニック全体がやさしく穏やかな雰囲気になります。そこにアクセントとしてブルーやグリーンを取り入れることで、清潔感や安心感をプラスできます。

グリーンはリラックス効果が高く、親しみやすい印象を与える色として注目されています。実際に、緑を使った診察室は安心して話しやすいと感じる方が多く、患者さんの満足度が高くなるという研究報告もあります。

内装でグリーンを活かす方法としては、壁の一面に淡い緑色のクロスを使ったり、観葉植物を取り入れたりするのがおすすめです。自然な色合いが空間に温かみを与え、待ち時間のストレスも和らげてくれるでしょう。色の組み合わせ次第で、クリニック全体の雰囲気が一層魅力的になります。

採光や照明

自然光を最大限に活かす設計と、間接照明やペンダントライトなどを組み合わせることで、温かみのある雰囲気を作り出します。診察室や処置室では、明るさと作業性を両立させる照明が求められます。

床材・壁材

クリニックの床材には、耐久性と清掃性が求められるのはもちろんのこと、デザイン面でも冷たさや無機質さを感じさせない工夫が大切です。

木目調のフロアや温かみのある色味の壁紙を選ぶことで、安心感や親しみやすさが生まれます。空間の一部にアクセントウォールを取り入れることで、奥行きや個性を演出することもできるでしょう。

天井

意外と見落とされがちですが、天井のデザインも重要です。天井の高さを活かした間接照明や、吸音素材を取り入れることで静かで落ち着いた空間になります。

木目調の天井材もトレンドです。しかし、天井のみが木目もしくは木目風の場合には、アンバランスさや違和感を感じさせることもあるので、壁面や床面にどれくらいのバランスで使用するのか、調整が必要です。

家具・インテリア、什器

座り心地のよいソファや、シンプルで機能的な受付カウンターなど、家具選びも印象を左右します。過剰な装飾を避け、用途に応じたデザインを選ぶことで、快適性と美しさを両立させましょう。

アートや装飾

壁に飾るアートや装飾も空間に彩りを添え、話題性作りにも役立ちます。女性の患者さんが多いクリニックであれば、風景画や抽象画など、小児科なら動物やキャラクターのイラストなど、患者さんの層に合わせた選定が効果的です。

クリニックの診療科目別・内装デザインのアイデア

クリニックの診療科目別・内装デザインのアイデア

クリニックと一言にいっても、診療科によって患者さんの層は異なります。そのため、内装デザインも患者さんの層に合わせて変えていくとよいでしょう。

美容クリニック:ラグジュアリーな雰囲気の演出

美容クリニックでは、高級感や非日常感を演出することで、施術への期待感を高められます。大理石調の床、ゴールドのアクセント、やわらかい照明などが効果的です。特に、受付や待合室などはホテルのような空間づくりを意識するとよいでしょう。

小児科:子どもが楽しめるカラフルなデザイン

子どもが不安にならないよう、明るく親しみやすい空間づくりが重要です。

動物や乗り物のイラストを使った壁紙や、絵本コーナー、キッズスペースなども工夫の一つです。また、テレビモニターを設置し、子どもが楽しめる映像を流すのもよいでしょう。

かわいらしい内装デザインで子どもが病院に抱く不安や恐怖心を和らげ、ワクワクすると感じてもらえれば、また受診してもらいやすくなります。

歯科:落ち着いたトーンと快適な待合室づくり

痛い、怖いといった印象を和らげるために、安心感を与える落ち着いたデザインが求められます。木目調やアースカラーでまとめ、やわらかい照明と静かなBGMを活用すると、リラックスした時間を提供できます。

例えば、ある歯科医院では、グレージュの壁面や木質系の建具、曲線を多用した家具によって、優しさとぬくもりを感じられる空間が実現されています。患者さんの不安を取り除くため、天井の一部に間接照明を取り入れ、光の当たり方にも工夫が凝らされています。また、受付カウンターは曲線で構成され、圧迫感を与えないデザインに仕上がっており、初診の方でも安心して訪れることができます。

さらに、診療室の動線にも配慮されており、待合室からスムーズに移動できるよう設計されています。こうした細やかな配慮が、患者さんにとってのストレス軽減につながり、通いやすいクリニックの印象を与えています。

歯科医院における内装は、機能性だけでなく心理的な快適さも重視されるべきポイントといえます。

まとめ

おしゃれなクリニックの内装は、患者さんの満足度を高め、競合クリニックとの差別化を図り、スタッフの働きやすさにもつながる重要な要素です。

ターゲットの患者さんの層に合ったデザイン、統一感のあるテーマ、照明や家具の工夫など、細部にまで気を配ることで選ばれるクリニックを実現できます。新規開業やリニューアルを検討されている方は、空間づくりにもぜひ注力してみてください。