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自由診療向け電子カルテとは?主な機能やメリット・デメリット、費用相場を解説します

                   
投稿日: 2025.08.04
更新日:2025.11.13
                   

自由診療クリニックでは、患者さんへの同意書発行や施術コース管理など自由診療特有の業務があり、自由診療を行うクリニックが使いやすい、同意書や契約書の作成、Web問診、SNS連携による集患機能などの機能を備えた電子カルテが注目されています。

本記事では、自由診療のクリニックに電子カルテが必要かどうか、電子カルテの主な機能や選び方、メリット・デメリット、導入費用まで詳しく解説します。

自由診療のクリニックに電子カルテは必要?

自由診療のクリニックに電子カルテは必要?

保険診療でも自由診療でも、医師は診療録(カルテ)を作成する義務があります。

保険診療と異なり、自由診療のクリニックでは診療内容や価格設定に幅があるため、カルテ管理や会計処理の柔軟さが求められます。

紙カルテでも問題ありませんが、紙カルテでは手間がかかる情報整理や施術ごとに異なる処置記録の一元管理も、電子カルテであれば効率よく対応できます。さらに、予約システムや決済機能との連携により、受付から会計までの流れをスムーズにすることが可能です。

また、特に美容皮膚科や再生医療、審美治療などの自由診療は写真や画像による経過管理も重要で、画像を管理しやすい電子カルテは患者さんの情報を効率よく管理するためにも有効です。

電子化することでカルテの保管スペース削減や過去の情報検索もスムーズになるでしょう。

業務の質向上と効率化、患者さんの満足度向上が重視される自由診療のクリニックにおいては、電子カルテの導入は有効であると考えられます。

自由診療向け電子カルテとは

自由診療向け電子カルテとは

本章では自由診療向け電子カルテの特徴と保険診療向け電子カルテとの違いを解説します。

自由診療向け電子カルテの特徴

自由診療向けの電子カルテは、保険診療とは異なるニーズに対応するために施術内容やオプション、自由価格設定などを柔軟に記録・管理できるように設計されているのが特徴で、画像管理や経過記録の比較、カウンセリング内容の保存といった患者さんの満足度向上に役立つ機能、決済機能、オンライン予約やWeb問診などの機能を備えた機種があります。

また、マーケティング支援機能(メール配信、ステップメール、クーポン発行など)を備え、LINEなどのSNSと連携して新規患者さんへのアプローチや既存患者さんへのフォローを行える機能が充実している機種もあります。

このように、自由診療向けの電子カルテは診療科目やメニューに応じた柔軟な運用が可能になる機能が充実しています。

自由診療向け電子カルテと保険診療向け電子カルテの違い

保険診療用電子カルテは、診療報酬計算やレセプト出力など保険請求業務をサポートする機能が中心ですが、自由診療向け電子カルテではこうした機能を省き、その分マーケティングや顧客管理機能を充実させている点が大きな違いです。

自由診療向けの電子カルテは価格や施術内容、カウンセリング内容などを自由に設計・記録できる柔軟性と使いやすさや見やすさが重視されており、自費診療クリニックの運営に適した構成になっています。

自由診療向け電子カルテの主な機能

自由診療向け電子カルテの主な機能

自由診療向け電子カルテは、保険診療とは異なるニーズに対応するために施術内容やオプション、自由価格設定などを柔軟に記録・管理できるように以下のような機能が搭載されています。

SNSやメールなどの集患、リピート促進機能

LINEやメールとの連携機能により、予約日時のリマインド、ステップメール、キャンペーン情報の自動配信などが可能です。SNSやWebサイトと連携して、施術や治療事例(ビフォーアフター画像)を活用した宣伝も効率的に行えます。

自由診療に必要な書類作成機能

自由診療では料金提示や同意取得が法令で義務付けられており、同意書・契約書・見積書などの書類作成が必要です。電子カルテのテンプレート機能を使えば、これらの書類を簡単に出力・管理でき、紙カルテに比べて業務の効率化が図れます。

来院回数や個人情報、施術履歴などの顧客管理機能

患者さんの基本情報や来院回数、施術履歴などをカルテと紐づけて一元管理できます。会員登録機能やポイント管理機能と連動し、リピーター管理やクーポンを発行できる機能を有するもあります。集計・分析機能を使えば、患者属性別の来院状況や売上推移の把握にも役立ちます。

患者さんの写真を記録する画像管理機能

自由診療では施術や治療前後の写真を残しておくことが多く、電子カルテ上で画像を登録・管理する機能があります。複数の写真を並べた比較のための資料の作成が容易になり、患者さんへの説明もスムーズに行えます。

自由診療のコース管理機能

クリニック独自設定の施術や治療コースがある場合、コース管理機能がある機種なら異なるメニューや価格体系を細かく設定でき、患者さんごとのコース残回数や有効期限の管理、スタッフごとの対応内容などを記録することが可能です。

この機能を活用することで『◯回コース終了後は◯割引』『〇ヶ月以内に消化』などの条件管理や患者さんの満足度向上のための施策実施を効率的に行うことができます。

自由診療向け電子カルテを導入するメリットとデメリット

自由診療向け電子カルテを導入するメリットとデメリット

本章では、自由診療向け電子カルテを導入するメリットとデメリットを詳しく解説します。

自由診療向け電子カルテを導入するメリット

自由診療向け電子カルテを導入すると、クリニック運営に以下のようなメリットがあります。


院内業務の効率化
予約・受付・会計・在庫管理などを一元管理できるため、紙ベースや別システムで分断されていた業務の効率化が図れます。複数端末での同時操作も可能で、スタッフ間の情報共有もスムーズになります。
患者体験の向上
オンライン予約やWeb問診、スマートフォンによるデジタル診察券で受診準備ができ、待ち時間短縮や受付手続きの簡便化が可能です。オンラインで予約日時の確認・変更ができるため、患者さんの利便性が高まり、受診のハードルが低くなります。
マーケティング強化・集患の促進
自由診療ではリピーターの増加が収益安定に不可欠です。電子カルテのステップメール配信やメール・SNS連携機能により、定期的なリマインダー送信やキャンペーン通知が可能で、患者さんの再受診を促せます。

デメリットと対策

電子カルテ導入にあたってのデメリットを把握し、対策を行うことで電子カルテ選びと導入がスムーズになります。


導入費用・ランニングコスト
システムの初期費用に加え、クラウド型であれば毎月の利用料が発生します。オンプレミス型の場合はサーバー設置など初期費用が高額になるため、費用負担の大きさが課題となりますが、クラウド型であれば初期費用を抑えられます。複数社の料金プランを比較し、自院の規模・予算に合った選択が重要です。
導入準備・選定の手間
複数の製品を比較・選定し、サンプル導入やデモ試用を行うには時間がかかります。専門コンシェルジュによる支援サービスの活用や、同業クリニックの導入事例を参考にすることで、効率的に選定できます。
慣れが必要
電子カルテを運用するには医師・スタッフの操作習熟が必須であり、初期導入時には入力テンプレート設定などの準備が必要です。メーカー提供の研修やオンラインマニュアルを活用し、導入前に十分なトレーニング期間を設けましょう。また、試験運用で課題を洗い出すことで本導入後の混乱を防げます。
業務フローの変更
紙カルテから電子カルテへ切り替える際、受付業務や会計ソフト、レジなどほかシステムとの連携が必要になる場合があります。導入前に既存機器・システムの対応状況を確認し、必要な連携・調整を計画しておきます。メーカーに相談し、想定される連携要件やシステム改修費用も事前に見積もっておくと安心です。

自由診療向け電子カルテを選ぶポイント

自由診療向け電子カルテを選ぶポイント

では、いくつもある自由診療向け電子カルテはどれを選べばよいのでしょうか。本章では、自由診療向け電子カルテを選ぶ際のポイントを解説します。

クラウド型とオンプレミス型とは

クラウド型はインターネット経由でデータを管理するため、初期導入費用やサーバー維持費を抑えられ、自動アップデートやバックアップもサービス側で行われます。

一方、オンプレミス型は院内サーバーを設置するため初期費用が高額になりますが、カスタマイズ性やセキュリティ面で優れています。自院の予算やIT環境に合わせ、導入コストと運用負担のバランスを考慮して選ぶことが大切です。

自院の診療科やメニューに必要な機能を洗い出す

自院の診療科や施術内容に応じて、必要な機能をリストアップしておくことが重要です。予約管理や在庫管理、CRM機能などが基本搭載かオプションかはメーカーによって異なります。

例えば、リピーター重視の場合は顧客管理やポイント管理機能を、治療時間が長く専門性の高い科目では画像管理や問診機能を重視するなど、自院の運営スタイルに合った機能を優先的に確認しましょう。

ほかのシステムと連携できるかどうかを確認する

既存の予約システムや決済システム、LINE公式アカウントなどと連携できるかも確認します。導入前に、連携が標準対応かオプションか、別途費用が必要かなどもしっかり把握しておくことが大切です。

サポート、保守体制を確認する

導入後もトラブル対応やバージョンアップなどが発生するため、メーカーのサポート体制も重要です。遠隔サポートや訪問サポート、時間帯対応など、万が一の際に速やかに対応してもらえるかがポイントです。サポート体制が充実したメーカーを選び、サポート契約内容も事前に確認しておきましょう。

自由診療向け電子カルテの導入費用とランニングコスト

自由診療向け電子カルテの導入費用とランニングコスト

自由診療向け電子カルテの導入を検討する際には、費用の目安を知っておくことも大切です。本章では、自由診療向け電子カルテの導入費用とランニングコストを解説します。

電子カルテの導入にかかる費用の目安

オンプレミス型はシステム本体やサーバー導入が必要なため初期費用が高くなりやすく、300~500万円が一般的で、レセプトコンピュータ導入も必要な場合は1,000万円近くになる場合もあります。

一方、クラウド型は自院でサーバーを用意せず、インターネット経由でサービスを利用するため、初期費用は10万円~数十万円程度と導入しやすく、トライアル期間や初期費用の優遇プランがある製品もあります。

電子カルテのランニングコストの目安

電子カルテは導入以外にもランニングコストがかかります。

オンプレミス型はサーバー保守費用やソフトウェア保守費用として月額2~5万円程度が一般的で、クラウド型はサービス利用料として月額1~5万円が相場です。ユーザー数や機能追加オプションによって価格が変動するため、契約時に確認が必要です。

オンプレミス型は院内サーバーを利用するため安定性とカスタマイズ性、外部リスクの低さが強みですが、設備保守やサーバー管理が必要でメンテナンスのための費用負担があります。

クラウド型は、初期費用を抑えやすく設備維持も不要ですが、インターネット環境やセキュリティ対策が必須で、継続的な利用料が必要です。

クリニックの規模や予算、セキュリティ体制、将来的な拡張性なども視野に入れて検討するのがおすすめです。

自由診療向け電子カルテ導入の手順

自由診療向け電子カルテ導入の手順

電子カルテ導入は、計画的かつ段階的に進めることが成功のポイントです。一般的な導入手順は下記のとおりです。

  1. システム選定:まずは自由診療向け電子カルテ製品を比較・検討します。
  2. 要件確認・契約:導入するシステムが決まったら、メーカーと打ち合わせを行い契約を締結します。
  3. 操作習得と試験運用:研修や操作マニュアルを活用し、医師・スタッフ全員が使い方を習得します。
  4. 本番稼働:試験運用で問題がなければ、本番稼働に移行します。

まとめ

自由診療クリニックが電子カルテを導入することで、業務効率化や集患強化、患者満足度向上など多くのメリットが得られます。

一方で、導入費用や運用・連携の手間などの課題も存在するため、自院にとって必要な機能やコストを明確にし、複数製品を比較検討したうえで、サポート体制の充実した製品を選ぶことが大切です。

医師法によりカルテ作成が義務付けられているため、電子化による保管・検索性の向上は大きな意義があります。自由診療向け電子カルテを上手に活用し、効率的かつ患者さんに選ばれるクリニック運営を目指しましょう。