クリニックにも自動再来受付機は必要?メリットや費用相場、選び方や導入の流れを解説
クリニックの経営において、患者さんの待ち時間短縮やスタッフの業務負担軽減は大きな課題です。
そこで注目されているのが、患者さんの利便性を高め、受付業務の効率化が期待できる自動再来受付機です。特に再診の患者さんが多いクリニックでは、受付の混雑を防ぎ、スムーズな案内につなげられる可能性があります。
本記事では、クリニックにおける自動再来受付機の必要性から、導入メリット、選び方のポイントなどを、詳しく解説します。
目次
クリニックの自動再来受付機とは?

まずは自動再来受付機の機能や種類について解説します。
自動再来受付機の機能
自動再来受付機は、再診の患者さんが診察券を機械に通すことで受付を完了できる機器です。
受付スタッフが手作業で行っていた患者さんの確認、電子カルテへの入力、受付票の発行などの一連の作業を自動化できるので、業務効率化と患者さんの利便性向上が期待できます。
診察券の読み取り形式は、磁気ストライプ、バーコード、QRコード、ICカードなど多岐にわたります。患者さんが提示した診察券を読み取ることで、電子カルテシステムと連携して患者さんの基本情報や予約状況を照合します。機種によっては、診察順番票の発行や、会計番号の表示機能、保険証確認や問診の入力などの機能が備わっているものもあります。
自動再来受付機の種類
自動再来受付機は設置方法により卓上タイプとスタンドタイプに分類されます。それぞれ詳しく確認しましょう。
卓上タイプ
卓上タイプは受付カウンターの上に設置できる小型の自動再来受付機で、タブレットタイプの機種も登場しています。省スペースで設置可能でレイアウト変更時にも対応しやすく、スタンドタイプと比較すると初期投資を抑えられるという特徴があります。
スタンドタイプ
スタンドタイプは床に設置する自立型の自動再来受付機です。操作画面が大きいため視認性や操作性に優れており、高齢の患者さんにも使いやすい設計です。患者さんの数が多いクリニックや複数の診療科をもつ施設に適しています。
クリニックにおける自動再来受付機の必要性
医療ニーズの多様化と経営環境の変化に伴い、日々の業務に追われるクリニックも少なくありません。
ここでは、クリニック経営の現状と受付業務における課題について解説します。
クリニック経営の現状と課題
近年のクリニック経営は、診療報酬の改定などにより収益の伸びが限定的で、人件費や設備費などの固定費は増加傾向にあるといわれています。
また、多くのクリニックに共通する課題として、慢性的な人手不足や業務の煩雑化が挙げられます。特に受付業務では、限られたスタッフが来院対応や電話対応、会計業務などを並行してこなす必要があり、診療時間中は常に慌ただしい状況にあります。患者さんにとっても受付の混雑や待ち時間の長さはストレスとなり、満足度の低下にもつながりかねません。
電子カルテやレセコンの導入が進んでいても、受付業務はアナログな運用であるケースも少なくなく、効率化が後回しになりがちです。クリニック全体の生産性と患者さんの満足度を両立するためにも、受付業務の見直しとシステム化は重要です。
再診患者さんの受付に要する業務量と時間
再診患者さんの受付業務には、診察券や保険証の確認、予約情報の確認、問診票の案内など複数の工程が含まれます。
仮に1人あたりに要する時間が2〜3分で、1日50人対応したとすると受付作業だけで100〜150分を要します。混雑時には受付窓口が行列になり、スタッフの対応が追いつかないことも珍しくありません。受付で患者さんの滞在時間が長引くことは、クリニック全体の回転効率や待合室の混雑にも影響を与えます。
クリニックで自動再来受付機を導入するメリットと課題

自動再来受付機の導入はクリニックに多くのメリットをもたらす一方で、考慮すべき課題も存在します。ここではメリットと課題を詳しく解説します。
クリニックで自動再来受付機を導入するメリット
クリニックで自動再来受付機を導入するメリットには主に次の4つが挙げられます。
患者さんの待ち時間の短縮
自動再来受付機を利用することで、受付の混雑を回避し、スムーズな受付が可能になります。来院後すぐに機械で受付手続きできるので受付窓口で順番待ちをする必要がなく、患者さんの待機時間が短縮されます。特に再診患者さんが多いクリニックでは、受付業務の効率化と待合室の混雑緩和が期待できるでしょう。
スタッフの業務量の削減・ミス低減
これまで受付スタッフが行っていた受付業務の大部分が自動化されるため、スタッフの業務量が削減されます。また、入力ミスや確認漏れなどのヒューマンエラーも抑えられ、業務の正確性が向上し、患者さんとのトラブル防止にも寄与します。
感染リスクの軽減
新型コロナウイルス感染症の流行以降、感染症対策は医療機関にとって重要な課題となっています。自動再来受付機は、患者さんとスタッフ、あるいは患者さん同士の接触機会を最小限にすることで、感染リスクを軽減できます。一部の機種では、体温スクリーニング機能や症状チェック機能も搭載されており、包括的な感染対策が可能です。
患者さんのプライバシー保護
自動再来受付機を利用することで、口頭でのやり取りを減らすことができます。名前や診療内容を周囲に聞かれにくくなることは、特にメンタルクリニックや婦人科などのデリケートな診療科では患者さんの信頼や安心感につながるでしょう。
クリニックで自動再来受付機を導入する際の課題
自動再来受付機の導入にはいくつかの課題も存在します。これらを事前に認識し対策を講じることが、スムーズな導入と運用につながります。
患者さんによっては操作が難しい
自動再来受付機は便利なシステムですが、すべての患者さんがスムーズに使えるとは限りません。特に高齢の患者さんや機械操作に慣れていない方は、手順の理解やタッチパネルの操作が難しいと感じたり戸惑ったりするケースもあるでしょう。
受付スタッフによる補助対応など柔軟な対応が求められることもあるので、導入前にわかりやすい表示やスタッフによるサポート体制を整えることが大切です。
患者さんとのコミュニケーション量が減少する
受付業務が自動化されることで、受付スタッフと患者さんとのコミュニケーションの機会が減少します。受付でのちょっとした会話が患者さんの安心感や信頼関係につながっていることもあり、患者さんとの関係構築の機械減少や、患者さんの細かな変化に気付きにくくなる可能性がある点には注意が必要です。
クリニック向け自動再来受付機を選ぶときのポイント

クリニック向け自動再来受付機を選定する際は、いくつかの重要なポイントを押さえることが大切です。ここでは、適切な自動再来受付機を選定するための4つのポイントを解説します。
設置スペースを確認する
まず、クリニック内の設置可能スペースを確認しましょう。卓上タイプの場合は受付カウンター上に十分なスペースがあるか、スタンドタイプの場合は十分なフロアスペースがあるかを確認します。また、車椅子の患者さんでも正面から操作できるスペースが確保されているかも重要です。
既存システムとの連携の有無を確認する
既存の電子カルテシステムや予約システムとの連携が可能かどうかは重要なポイントです。患者さんの情報の自動読み込み、診察券データ照合、受付完了情報の自動反映などが適切に行われるかを確認する必要があります。連携が不十分だと手作業での入力が発生し、期待される業務効率化のメリットが損なわれてしまう可能性があります。
サポート体制の充実度を比較する
自動再来受付機は精密機械のため、トラブルが発生することもあります。クリニックの診療時間中に対応可能なサポート体制か、代替機器の貸出サービスがあるかなどを確認します。また、定期メンテナンスの頻度、ソフトウェアアップデートへの対応も重要な評価項目です。導入時の研修などもあわせて確認しましょう。
操作性を院長や事務長、スタッフが実機で確かめる
最終的な機種の選定では、院長や事務長、スタッフが実機で操作性を確かめることが重要です。実際に患者さんの立場になって受付から受付票発行までの一連の流れを操作し、診察券挿入の直感的操作、画面表示の見やすさ、音声案内のわかりやすさなどを確認します。
車椅子を利用している方や高齢の方が操作するという視点で、音声ガイダンス機能やディスプレイ、わかりやすいアイコン表示であるかなどの使いやすさを確認しましょう。
クリニック向け自動再来受付機の費用

自動再来受付機の導入を検討する際は、初期費用から運用コストまで、総合的に費用を検討することが重要です。
自動再来受付機の導入にかかる初期費用とランニングコスト
自動再来受付機の導入には、初期費用と月々のランニングコストが発生します。
初期費用は本体機器の購入費や設置工事費、ソフトウェアの設定費、既存システムとの連携にかかる費用などを含めて、おおよそ100〜400万円程度が目安といわれています。機器のスペックや機能、オンプレミス型とクラウド型などの導入形態により金額は変動します。価格が公開されていないことが多いので、資料を取り寄せて検討しましょう。
ランニングコストは月額1〜5万円が目安で、保守・メンテナンス費、システム利用料、通信費、消耗品費などが含まれます。
サービス内容によっては、24時間のサポート体制や障害時の対応を含むプランもあるので、選ぶプランによってコストと安心感のバランスを検討する必要があります。
そのほかに発生する費用
初期費用とランニングコスト以外にも、導入時の操作研修、継続的な教育プログラムのためのスタッフ研修費、患者さんの案内表示や院内掲示物の作成・更新費用、システム利用のためのネットワーク環境の整備費用が必要になる可能性があります。また、それぞれのクリニックにあわせたシステムのカスタマイズ費用が必要になることもあります。
自動再来受付機によって削減できるコストとは
自動再来受付機の導入により受付業務の一部が自動化されることで、スタッフが別の業務に割ける時間が増え、人件費の削減や残業時間の削減が期待できます。ヒューマンエラーが減少することで、診療報酬請求の修正や再手続きにかかる間接的なコストも抑えられるでしょう。
さらに、問診票のデジタル化などのシステムも取り入れることで紙の使用量を減らし、印刷コストや管理コストを削減できる場合があります。
初期投資は必要ですが、長期的に見れば効率化によるコスト削減効果が期待できるのが、自動再来受付機導入のメリットといえます。
自動再来受付機の導入フローと注意点

自動再来受付機を導入する際には、いくつかのステップを踏む必要があります。導入後のスムーズな運用開始のための導入フローと注意点について解説します。
自動再来受付機の選定から導入までのフロー
まずは現在の受付業務の課題を分析し、自動再来受付機に求める機能や予算を明確にします。複数のメーカーから提案を受け、実機でのデモンストレーションに参加することも有効です。機能面だけでなく、サポート体制や費用面も総合的に評価し、適切な機種を選定します。
自動再来受付機を運用開始する際の注意点
スムーズな運用開始と定着のためには、以下の点に注意が必要です。
スタッフ向け研修を実施する
導入時は受付スタッフだけでなく、全スタッフに対して操作方法や案内手順を共有する研修を実施しましょう。よくある質問やトラブル対応を事前に周知しておくと安心です。
患者さんへの院内掲示や使用マニュアルを作成する
機器の近くに操作方法の案内を設置し、大きな文字、イラストや写真を用いた直感的に理解できるマニュアルを用意します。クリニックの患者層に応じて、多言語対応の案内作成も検討しましょう。
停電やトラブル時の業務フローを策定する
停電などで自動再来受付機が使えなくなった場合に備え、手動での受付業務フローを明確に策定しておくことが重要です。例えば、手書きでの受付票発行や、電子カルテへの手入力など、代替手段を準備しておく必要があります。
また、システムトラブル時の対応は軽微なトラブルや重大なトラブルなどレベル別に分類し、ベンダーへの緊急連絡や手動運用への切り替えを実施できるよう事前に業務フローを策定します。
まとめ
自動再来受付機の導入は、クリニックの業務効率化と患者満足度の向上に大きく貢献します。
導入時は設置スペースや既存システムとの連携、サポート体制を事前にしっかりと確認し、スタッフ研修や患者さんへの案内を丁寧に行うことが大切です。初期費用は必要ですが、人件費削減の効果も期待でき、長期的には大きなメリットをもたらします。
適切な機器の導入により、スタッフの負担軽減と患者さんの利便性向上を実現し、よりよい医療サービスの提供につなげていきましょう。




