医院に適切な自動精算機の選び方と導入メリット|自動精算機メーカー10選を紹介
医院経営において会計業務の効率化や患者さんの待ち時間短縮は大きな課題です。近年注目を集めている自動精算機は、スタッフの負担軽減やキャッシュレス決済への対応を実現し、患者さんの満足度向上にもつながります。
本記事では自動精算機が注目される背景や基本的な仕組み、選び方、導入メリット、主要な製品を解説します。
目次
医院で自動精算機が注目される背景

自動精算機が注目を集める背景には、人手不足や感染症対策、キャッシュレス化といった社会的要因があります。本章では、それぞれの要因を取り上げ、導入が進む理由を整理します。
人手不足と業務効率化のニーズ
多くの医院では、慢性的な人手不足が課題となっており、受付や会計にかかるスタッフの負担は大きな問題です。自動精算機を導入することで会計業務をシステム化し、レジ締めや釣銭管理といった作業を削減することが可能です。これにより業務効率化が進み、限られたスタッフを診療や患者さんへの対応に集中することができます。
非接触対応で患者さんの安心感を高める
新型感染症の影響を背景に、非接触での会計ニーズは年々高まっています。自動精算機は、現金投入口やタッチパネルを介して患者さん自身で決済でき、スタッフとの直接的な金銭授受を最小限に抑えられます。患者さんにとって衛生面での不安が軽減され、医院全体の衛生対策や信頼性の向上につながります。
医院経営におけるキャッシュレス化の流れ
キャッシュレス決済が浸透するなか、医院でもクレジットカードや電子マネー、QRコード決済への対応が求められています。自動精算機は、複数の決済手段に対応できるため、患者さんが支払い方法を選びやすくなり、利便性の向上につながります。医院経営においても、キャッシュレス化は時代の流れに沿った重要な取り組みといえるでしょう。
自動精算機の仕組みと基本的な役割

自動精算機は、患者さんが会計をスムーズに行えるだけでなく、医院の業務効率化や経営管理にも寄与します。この章では、自動精算機の基本的な仕組みや役割に加え、電子カルテやレセコンとの連携によって得られる効果を解説します。
会計業務を効率化する仕組み
自動精算機は、診療後に発生する会計処理を患者さん自身で完結できる仕組みを備えています。発行されたバーコード付きの明細書を端末に読み取らせ、表示された金額を現金やクレジットカード、電子マネーなどで支払います。釣銭の自動計算や領収書発行まで一連の作業が自動化されるため、会計業務のスピードアップとミス防止を同時に実現します。また、スタッフによる金銭授受やレジ締め作業を削減し、業務効率化も後押しします。
電子カルテ・レセコンとの連携
自動精算機は、電子カルテやレセコンと連携できる点も導入メリットのひとつです。診療内容に基づいて算出された金額データがレセコンから自動精算機に反映されるため、スタッフが手入力する手間を減らせます。その結果、入力ミスや金銭のやり取りに関するトラブル発生のリスクを抑えられます。さらに、会計データはシステム上で一元管理されるため、日次・月次の売上集計もスムーズに行えます。これにより、医院経営の見える化が進み、経営判断に役立つデータの活用にもつながります。
自動精算機を選ぶポイント

数ある製品のなかから適切な一台を選ぶには、判断基準を押さえておくことが重要です。ここでは使いやすさやサポート体制、導入コストと機能のバランスという3つのポイントをお伝えします。
使いやすさ
自動精算機は、患者さん自らが操作して会計を完結する機器です。そのため、誰にとっても直感的に操作できる画面設計が重要です。タッチパネルの反応速度や画面表示のわかりやすさ、文字サイズの見やすさなどは、高齢の方が多い医院では特に配慮すべき点です。また、診察券やバーコードの読み取り精度も操作のスムーズさを左右します。ストレスなく利用できる機器を選ぶことが、患者さんの満足度に直結します。
サポート体制
導入後のサポート体制も見逃せないポイントです。自動精算機は、日々の会計業務を担うため、万が一のトラブル時に迅速な対応が求められます。保守契約の有無や、障害発生時にリモート対応や代替機を手配できるかといった運用体制を確認しておくことが大切です。長期的に安定して利用するには、定期的なメンテナンスやソフトウェアのアップデートが充実しているメーカーを選ぶことがおすすめです。
導入コストと機能のバランス
自動精算機は、現金のみ対応のタイプからクレジットカード・電子マネー・QRコード決済まで幅広く対応できる多機能型まで、さまざまな機種があります。高機能な機器ほど初期費用や月額費用が高くなる傾向にありますが、必ずしも多機能であることが適切とは限りません。医院に来院する患者さんの年齢層や利用状況を踏まえ、必要な機能を見極めて導入することが重要です。また、補助金やリース契約を活用すれば、コストを抑えながら新しい機種を導入できるケースもあります。費用と機能のバランスを取りつつ、長期的に医院経営を支える一台を選ぶことが求められます。
自動精算機メーカー・機種を紹介
自院に合った自動精算機を導入するには、メーカーごとの強みや機能を理解していくことが大切です。この章では、代表的な10機種を取り上げ、それぞれの特徴を紹介します。自院の運営スタイルに合った機種選びに役立ててください。
NOMOCa-Stand(株式会社GENOVA)
株式会社GENOVAが提供する「NOMOCa-Stand」は、全国で2,000台以上の導入実績があるクリニック専用自動精算機です。奥行き30cmの省スペース設計で、現金・クレジットカード・電子マネー・QRコード決済に対応しています。レセコンとの連携率は96.6%と高く、診療内容に基づいた金額を自動で反映できる点が特徴です。
領収書や明細書の発行機能を備え、締め作業を短時間で行えるよう設計されています。さらに、全国対応の保守やリモートサポート体制も整備されており、導入後の運用面にも配慮されています。オプション機能も豊富で、クリニックごとのニーズに合わせた柔軟な構成が可能です。
診療費支払機 FHP-S11(グローリー)
診療費支払機 FHP-S11は、通貨処理機の大手メーカーであるグローリーが開発したクリニック向け自動精算機です。現金を正確に処理し、数え間違いによる誤差を抑えられる仕組みを備えています。現金カセットの回収や自動精査機能により、締め作業にかかる時間を短縮できる点も特徴です。
患者さんのために音声ガイダンスやLED表示による案内が用意され、操作を直感的に行いやすい設計となっています。さらに、取忘れ防止機能を搭載し、現金の受け取り忘れを防止する仕組みが組み込まれています。全国に100ヵ所以上の拠点を持ち、約1,000名の技術者による保守体制が整っています。
FIT-A(株式会社アルメックス/株式会社ノーザ)
FIT-Aは、クリニック向けに開発された省スペース型の自動精算機です。奥行き350mmと小型化されており、限られた受付スペースにも設置しやすい仕様となっています。紙幣や硬貨を一括で処理できる還流式ユニットを搭載し、現金処理を効率化します。標準機能として磁気カードリーダーやバーコードリーダー、レシートプリンターを備え、診療費領収証の自動発行に対応しています。
また、医療会計システムのWiseStaff-Fやcleviaと連携することでQR会計も可能です。オプションを追加することで、クレジットカードや電子マネー、QRコードなど多様なキャッシュレス決済に対応できる拡張性を持っています。
クリニックキオスクBIZ(株式会社クリニックキオスクBIZ)
クリニックキオスクBIZは、クリニックや診療所向けに開発された自動精算機で、これまでに1,000件以上の医療機関で導入されています。奥行き30cm未満の薄型設計で、限られたスペースの受付環境でも設置が可能です。95%以上の電子カルテやレセコンと標準連携し、会計業務の効率化に貢献します。
また、領収書・明細書・お薬引換券自動発行にも対応しています。タッチパネルと音声ガイダンスに対応しており、幅広い年齢層の患者さんが利用しやすい仕様です。釣り銭の自動処理機能は、会計時のミスや違算金の発生を防止します。加えて、予防接種券売モードや自動再来受付などのオプションを備え、各医院の運用ニーズに合わせて機能を拡張することができます。低価格での導入が可能であり、全国対応の保守サポート体制も提供されています。
参照:クリニックキオスク BIZ
セルフォート(日立チャネルソリューションズ)
株式会社日立チャネルソリューションズが提供するセルフォートは、ATMの開発で培われた技術を応用した医院向け自動受付精算機です。シンプルでわかりやすい画面とイラストによる案内が特徴で、高齢の方でも簡単に操作できます。紙幣と硬貨をまとめて投入でき、入金された現金を釣り銭として再利用する還流方式を採用しているため、釣り銭切れが起こりにくい仕様です。
タッチレス操作は、オプション機能で、感染症対策に有効です。また、日本医師会キャッシュレスサービスに対応しています。受付と精算を1台で担う省スペース設計で、卓上やカウンター、自立型の3種類の設置方法が選択できます。会計締め処理は、自動計数とレポート印刷で大幅に短縮できます。全国に約300の保守拠点があり、ATMと同等の迅速な保守体制が整っています。
Flexcom Pay(日本金銭機械株式会社)
貨幣処理機器を手がける日本金銭機械株式会社が開発したFlexcom Payは、クリニック向けに設計された自動精算機です。この機種は、横幅360mm、奥行250mmのコンパクトサイズと、自社開発・自社生産による低価格が特徴です。
現金・クレジットカード・QRコード・電子マネーといった多様な決済手段に対応し、多くのレセコンと連携実績があり、スムーズな会計が可能です。操作は10.1インチのタッチパネルで行い、画面表示と音声案内を日本語または英語で選択できるため、高齢の方や外国人の方でも利用できます。
設置方法は、卓上仕様のほか、カラーオプションやサイドテーブルを組み合わせることで、院内の雰囲気に合わせた柔軟な配置が可能です。導入後のサポート体制として、年中無休で8時から24時まで対応する専用コールセンターと、全国70ヶ所の拠点が提供するオンサイトメンテナンス体制が整っています
Mer’C(島津メディカルシステムズ株式会社)
島津メディカルシステムズ株式会社が提供するMer’Cは、医院の受付カウンターに設置できる卓上型の自動精算機です。従来の自立型よりも設置面積を60%以上削減しており、限られたスペースでも導入可能です。
診察券や請求書のバーコードを読み取り、上位のシステムと連携して正確な請求金額を表示します。支払いが完了すると、領収書や明細書を即時発行し、同時にシステムへ入金情報が自動で通知されます。現金の受け渡しを機械化することで、スタッフと患者さんの物理的な接触を減らし、感染症のリスクを抑えることができます。
本体のカラーバリエーションが複数用意されており、院内の雰囲気に合わせて導入できます。小規模な診療所向けに特化した設計で、スタッフの業務負担を軽減し、安全性が高い会計処理を支援する機器です。
セルフレジ380シリーズ(モリタ)
歯科医療機器を専門に扱うモリタが提供するセルフレジ380シリーズは、歯科医院を中心に導入されているセルフ決済システムです。本シリーズはコンパクトに設計されており、診療入力後に、セルフ・一連のボタンを押すだけで会計処理が完了します。患者さんが自身で入金を行い、領収書や明細書が自動で発行されるため、スタッフの業務負担を軽減できます。
紙幣の投入は券売機と同様の水平挿入方式を採用しており、直感的な操作が可能です。トラブル発生時には、エラー解除方法をアニメーションで案内します。また、履歴参照や装置監視機能も搭載されているため、状況の把握や対応をスムーズに行えます。
本シリーズは釣り銭の計算や集計ミスを防ぎ、会計時間を短縮することで業務効率の向上に貢献します。
参照:【モリタ】セルフレジ[380シリーズ] / 自動つり銭機
卓上再来受付自動精算機(株式会社カナデン)
医療機器を扱う専門商社の株式会社カナデンが提供する卓上再来受付自動精算機は、個人病院やクリニックに特化した卓上型のモデルで、再来受付機能と自動精算機能を備えています。
診察券を読み込ませると自動で受付表が発行され、会計時には現金とクレジットでの支払いに対応しています。領収書や診療明細書を即時発行し、QRコードや一次元バーコードの読み取り、さらに顔認証による受付・精算も可能です。
この機種は、ATMで高いシェアを誇る沖電気工業株式会社との共同開発により、直感的でわかりやすいUIを実現しています。初めて利用する患者さんでもスムーズに操作できます。また、省スペースの卓上型であるため、限られた受付環境にも柔軟に導入できます。
参照:卓上再来受付自動精算機
ハヤレジ(ハヤレジ株式会社)
医療機関向けのITサービスやキャッシュレス決済ソリューションなどを提供するハヤレジ株式会社が開発したハヤレジは、医院専用自動精算レジシステムです。用途に応じて、セミセルフ対応自動釣銭機のハヤレジ、卓上型のハヤレジセルフ、自立式のハヤレジスタンドという3つのモデルが展開されています。
現金とキャッシュレス決済に対応しており、多くの電子カルテやレセコンと接続することで、会計データの自動連携を実現します。導入後は専用のサポート体制により、業務の効率化に貢献しています。
また、予約・問診・医療費後払いサービスであるコノヒや、受付支援のLacoon、医療費後払いハヤペイも提供しており、会計から予約、決済までを一貫して支援しています。IT導入補助金の対象ツールにも認定されているため、コストを抑えた導入が可能です。
参照:クリニック向け自動精算機|歯科・薬局セルフレジならハヤレジ
医院が自動精算機を導入するメリット
自動精算機の導入によって得られる効果は多岐にわたります。ここでは、スタッフ負担の軽減、患者さんの満足度の向上、経営効率化という3つの観点から、そのメリットを具体的に解説します。

スタッフの負担軽減と人件費削減
自動精算機を導入するメリットは、受付や会計を担当するスタッフの業務負担を大幅に軽減できる点です。現金授受や釣銭管理、レジ締めなどを人の手で行っている場合、自動精算機を導入することでこれらの作業が自動化されます。
その結果、入力ミスや金銭トラブルのリスクが減少し、スタッフは診療補助や患者さんへの対応に集中できるようになります。さらに、人手不足が慢性化している医療現場では、会計に必要な人員を減らすことで人件費の抑制にもつながります。
患者さんの満足度と回転率の向上
自動精算機は、患者さんの待ち時間短縮にも効果を発揮します。診療後に受付が混雑すると、会計を待つ患者さんにとっては大きな負担となり、医院全体の印象にも影響します。自動精算機を導入すれば、複数の患者さんが同時に精算できるため、会計の処理速度が向上します。その結果、受付の滞留が解消され、診療から会計までの流れがスムーズになります。
さらに、キャッシュレス決済に対応した機種であれば、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など多様な支払い方法を選択できます。高齢の方から若年層まで、それぞれの生活スタイルに合わせた決済手段を利用できる点は利便性につながります。カードを差し込む、また、端末にかざすだけで非接触決済が完了するため、感染症対策の観点からも有効です。
こうした快適な体験が積み重なることで、患者さんの満足度は高まりやすくなります。待ち時間の少なさや支払い方法の多様さは、再来院の動機付けにつながるだけでなく、口コミや紹介によって新規の患者さんの獲得にも波及します。自動精算機は単なる会計機器ではなく、医院の評価や信頼性を高める役割も担う存在といえるでしょう。
経営の見える化と効率化
自動精算機は単なる会計端末ではなく、医院経営の効率化を支えるデータ活用ツールとしても機能します。電子カルテやレセコンと連携することで、診療内容に基づいた正確な金額が自動で精算機に反映されると同時に、会計データがシステム上に記録されます。この仕組みにより、日次・月次の売上集計、入金状況の確認が容易になり、経営状況の可視化が進みます。
また、会計処理のスピードアップや業務フローの適切化により、医院全体の運営効率改善にもつながります。さらに、蓄積されたデータを活用すれば、診療時間帯ごとの患者数や決済手段の利用状況を分析でき、今後の診療体制の調整や戦略立案の立案に役立てることが可能です。自動精算機の導入は、日々の会計業務を支えるだけでなく、医院の中長期的な成長を支援する仕組みともいえます。
医院に合った自動精算機を選んで経営を効率化!
自動精算機は、会計業務の効率化やスタッフの負担軽減、患者さんの満足度向上に直結する、これからの医院経営に欠かせないツールです。機能やサポート体制、導入コストのバランスを丁寧に見極め、自院にふさわしい一台をを導入することで、日々の業務がスムーズになり、医療の質の向上にもつながります。人手不足やキャッシュレス化の波に備えるためにも、今こそ導入を検討し、将来に向けた経営基盤を整えていきましょう。














