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オンライン診療計画書とは?必要項目と作成のポイントを徹底解説!

                   
投稿日: 2026.01.19
更新日:2026.01.12
                   

オンライン診療は、通院が難しい方や忙しい方にとって、医療へのアクセスを広げる方法として活用が進んでいます。

一方で、安心して診療を受けてもらうためには、医療機関が診療の流れや対応方針をあらかじめ整理し、文書として示すことが欠かせません。そこで必要となるのが、オンライン診療計画書です。計画書を作成すると、医療機関内の手順が統一され、患者さんにも診療の全体像を伝えやすくなります。

本記事では、計画書の役割や記載項目、作成のポイントをまとめます。

オンライン診療計画書とは

オンライン診療計画書とは

オンライン診療計画書は、医療機関がオンライン診療を実施する際の方針をまとめた文書です。診療の対象や診療の進め方に加えて、情報管理や緊急時の対応なども記載します。計画書を用いることで、院内の診療フローが統一され、患者さんとスタッフが同じ理解を持てるようになります。

オンライン診療は視診や問診だけでは判断が難しい場合があるため、対面の診察と併せての運用が基本とされています。計画書には、対面診療へ切り替える場面や判断の基準も記載します。こうした内容を明確にすることで、安全性が高まり、診療の質の向上にもつながります。

参照:『オンライン診療について』(厚生労働省)

オンライン診療に計画書が必要な3つの理由

オンライン診療に計画書が必要な3つの理由

オンライン診療で診療計画書が必要な理由を解説します。

患者さんが対面診療との違いを正しく理解するため

オンライン診療では、対面診療のように触診や聴診などで詳細な情報を得ることができません。そのため、オンライン診療の際には直接の対面診療に代替できる程度には、患者さんの心身の状態に関する情報を得られるように工夫する必要があります。

例えば、補助的な手段として、画像や文字などによるやりとりなどがあります。

しかし、オンライン診療中に、患者さんの心身の状態について十分に必要な情報が得られていないと判断された場合には、オンライン診療は中断し、直接の対面診療を提案する必要があります。

このように、オンライン診療では、対面診療とまったく同じような診療は難しい旨を計画書に明記することで、患者さんが対面診療との違いを正しく理解できるようになります。

医療機関の説明責任を果たすため

医療機関は、患者さんへの病名や診療内容などの情報提供や、よりよい信頼関係の構築が求められています。

また、医師や歯科医師も、医療を提供する場合には適切な説明を行い、医療を受ける側の理解を得るように努めなければならないとされています。

オンライン診療計画書を患者さんと共有すると、患者さんに施す予定の医療行為についての説明ができます。さらに、セキュリティ・リスクなど、オンライン診療特有のデメリットに関しての理解も深まるでしょう。

参照:『医療法(◆昭和23年07月30日法律第205号)』(厚生労働省)第一条の四

オンライン診療特有のリスクを明確化するため

オンライン診療が行われる場合、オンライン診療システムに関わるセキュリティ・リスクはどうしても避けられません。

診療計画を作成する際に、患者さんに対してオンライン診療で使用するシステムに関連したセキュリティ・リスクについても記載することで、そのリスクを明確化できます。

なお、医療機関としては、セキュリティ対策や責任の所在についても患者さんからの問い合わせに対応できるようにしておくことも欠かせません。具体的な方法としては、説明文書の作成や、対応者の整備を行うなどがあります。

オンライン診療計画書の記載項目

オンライン診療計画書の記載項目

オンライン診療を実施する際には、医療機関側は患者さんに対して十分な説明を行い、利用への同意を得る必要があります。診療計画書は、説明に用いる資料の一つです。オンライン診療計画書の具体的な記載項目には、以下のようなものがあります。

事項 ポイント
オンライン診療で行う診療内容および期間 計画書を記載する時点で明らかになっていることを記載するとともに、見通しについても説明するとよい
オンライン診療と対面診療、検査などの組み合わせに関する事項 初診は対面で行うことが基本で、オンライン診療は対面と組み合わせて進める診療方法であることを計画書に明示する
診療時間(予約)に関する事項 オンライン診療は原則予約診療なので、予約の確定方法について具体的に示すと患者さんにとって混乱が少ない
オンライン診療の方法・使用する機器 患者さん側と医療者側それぞれが使用する器具やシステムについて具体的に示す
オンライン診療を行わないと判断する条件 以下のいずれかの場合には、オンライン診療では対応できず、実施しない場合があることを記載する
  • 患者さんの心身の状態について、十分に必要な情報が得られていないと判断された場合
  • 体調に変化が現れ、対面診療の必要性が認められる場合
  • 情報通信機器の障害などによりオンライン診療を行うことができない場合
これらのどれかに該当するときには、直接の対面診療に切り替えることを明記しておく
患者さんへの情報伝達の協力依頼 オンライン診療の実施に際しては、患者さんは診療に対して積極的に協力し、身体や心の状態を医師に伝える必要があることを記載する
急変時の対応方針 患者さんの体調が急変したときの方針として、自院では対応できない場合の紹介先の医療機関を具体的に記しておく
複数の医師がオンライン診療を行う予定任分界点
  • 複数の医師が診療に参加する場合には、誰がどの段階を担当するか、また必要に応じてほかの医師が同席するかどうかも含めて示す
  • ほかの医師がオンライン診療を行う場合、自分が同席することも明示する
情報漏洩などのリスクを踏まえたセキュリティに関する責任分界点
  • 想定されるセキュリティ・リスクとして、医療機関およびオンライン診療システム提供事業者に対するサイバー攻撃などによる患者さんの個人情報の漏洩(ろうえい)や改ざんなどを挙げておく
  • オンライン診療の適切な実施に関する指針で示されている情報セキュリティのルールを遵守したシステムを構築し、常に適切な状態を維持する
  • 医師は、セキュリティに関するリスクを考えたうえでオンライン診療のシステムを選ぶ
  • システムを利用する際の権利や義務を、患者さんと医師が理解できるように示す
  • リスクや情報漏れへの対策について、患者さんにわかりやすく説明できる事業者を選ぶことも記載
オンライン診療の映像や音声などの保存 患者さん・医師ともに、オンライン診療で得られた映像や音声は記録しないことを記載する

参照:『ICTを活用した医師に対する支援方策の策定のための研究』(厚生労働科学研究成果データベース)
   『資料3 オンライン診療導入時の診療計画説明』(厚生労働科学研究成果データベース)

オンライン診療計画書には、これらの10項目について記載します。

厚生労働省からは、診療計画書のフォーマットは提供されていません。そのため、医療機関が作りやすい形式で作成します。

計画書は必要な情報を簡潔にまとめて、スタッフや患者さんが確認しやすい内容にしましょう。

オンライン診療計画書作成のポイント

オンライン診療計画書作成のポイント

オンライン診療計画書には、盛り込むべき事項がたくさんあります。そこで、ここでは、オンライン診療計画書をスムーズに作成するためのポイントを解説します。

既存の運用フローを踏まえて組み込む

対面診療は、患者さんからの予約から始まり、診療前の準備、診療開始時、そして診療、会計、処方箋発行という流れが一般的です。

オンライン診療の場合でも、なるべく医療機関の負担が少ない形でこの運用フローに診療計画書の作成を組み込むようにしましょう。

具体的には、事前準備の際に診療計画をある程度定めておくとよいでしょう。さらに、初診の場合には、まずは対面で診療を行うことが原則となります。初診が始まった後に、症状の様子を確認しながら診療計画の作成を進めます。

なお、診療計画は通常のカルテに記載する内容との重複もあるため、診療計画と診療録を一体的に作成することもできます。

患者層やニーズを意識した設計にする

患者層やニーズは、病院や診療科によって異なります。高齢の方が多い場合は、フォントを大きくするなど読みやすさを重視したものにします。家族やケアマネジャーが支援に関わることが多い場合は、連絡先を計画書に記載する方法も考えられます。

若い方やデジタル機器に慣れている方が多い場合は、患者さんが自分の端末を使う場面を想定します。その際は、セキュリティの注意点や情報管理の範囲を明確に示し、同意を得ておきます。

リスクマネジメントを文書化する

オンライン診療では、スマートフォンを紛失した場合や、パソコンがウイルスに感染した場合に、医療情報が外部に漏れるおそれがあります。そのため、対策パスワードの設定や生体認証設定、ウイルス対策ソフトのインストール、OSのアップデートなどの対策について文書化しましょう。

また、オンライン診療においてチャット機能の使用やファイルの送付、特に外部URLへの誘導を含むチャットはセキュリティ・リスクが高いため行わないことなども記載しておくとよいでしょう。

定期見直しを前提とした記載にする

オンライン診療は制度改定が多く、運用の基準も更新されるので、計画書には見直しの時期を記載するとよいでしょう。

オンライン診療計画書の雛形を作成するときには、バージョンを示す欄を設ける方法もあります。改訂履歴を残すと、変更内容と時期がわかりやすくなります。

計画書の作成は医師が担いますが、雛形の見直しは院内のスタッフのなかで担当者を決めておくと更新が滞りにくくなります。定期的に内容を見直すことで、制度や診療環境の変化に対応できるでしょう。

オンライン診療計画書の運用フロー

オンライン診療計画書の運用フロー

ここでは、オンライン診療計画書を実際に運用する際の流れを整理します。計画書をもとに、診療前の準備、診療の進め方、文書の保存方法などを確認し、院内で統一した手順を確立します。流れを明確にすると、医師と患者さんの双方にとって負担の少ない診療につながります。

初回オンライン診療前

初回のオンライン診療を行う前には、医師が診療計画の大まかな方針を定めます。症状の性質や必要な情報を確認し、オンラインで対応できる内容かどうかを判断します。

かかりつけ医以外が初診を担当する場合は、過去の診療録などから医学的な情報を把握します。状況に応じて、事前の相談や対面診療が必要かどうかを検討します。

初回の診療時

診療では、患者さんの症状や経過を確認しながら診療計画を調整します。

オンラインでの判断が難しい場合は、対面診療に切り替えるかどうかを検討します。

なお、初診からオンライン診療をするときは、診察後にその後の方針を患者さんに伝えます。例えば、次回の診察の日時や方法、症状が悪化した場合の対面診療の受診先などの事項について情報提供しましょう。

オンライン診療計画書の保管方法

オンライン診療計画書は、オンライン診療による患者さんの診察が終わった日を起算日として、2年間保存します。これはオンライン診療に関する記録をしっかりと残すための対応です。オンライン診療計画書は、診療録と併せて、5年間の保存が望ましいでしょう。

また、診療計画書は、文書または電磁的記録により、患者さんが参照できるようにすることが望ましいとされています。

電子データとして保存する場合には、適切な権限設定や情報管理の仕組みが必要です。改訂を行った際は、古い版を保管し、改訂履歴を明確にしましょう。

参照:『オンライン診療について』(厚生労働省)
   『オンライン診療の適切な実施に関する指針 平成 30 年3月 (令和5年3月一部改訂)』( 厚生労働省)

まとめ

まとめ

オンライン診療計画書は、オンライン診療を運用するための重要な文書です。診療内容や対面への切り替え基準、情報管理の方法などを整理し、医療機関内で共有することで、診療の質と安全性を維持できるでしょう。

患者さんにとっても、診療計画書があることで診療の流れや注意点が理解しやすくなり、オンライン診療を利用しやすくなります。

また、制度改定が多い分野であるため、計画書は定期的に見直す必要があります。医療機関の実情に合わせて内容を整え、更新を続けることで、オンライン診療を安定して提供できる体制が整うでしょう。