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オンライン診療の導入方法を徹底解説!導入要件やスケジュール、成功のポイントとは

                   
投稿日: 2026.01.25
更新日:2026.01.24
                   

近年、初診からのオンライン診療が条件付きで認められたことなどから、オンライン診療を導入する医療機関は増加しています。一方でオンライン診療を導入するには、厚生労働省の定める指針の遵守や、体制の整備などさまざまな準備が必要です。

本記事では、オンライン診療を導入するメリット、具体的な要件、導入時のスケジュールや成功のポイントを解説します。

オンライン診療を導入するメリットと医療機関に求められる役割

オンライン診療を導入するメリットと医療機関に求められる役割

オンライン診療は、情報通信機器を用いてリアルタイムに診察を行う遠隔医療の一つの形態を指します。ここではオンライン診療を導入するメリットと医療機関に求められる役割を解説します。

患者さんの受診機会を広げられる

オンライン診療の大きなメリットは、患者さんの受診機会を大きく広げられることです。

ご高齢の方や慢性疾患を抱える患者さん、遠隔地に住んでいる患者さん、移動に介助が必要な患者さんなどにとって、通院にかかる時間や体力的な負担は想像以上に大きいものです。オンライン診療を活用することで、こうした物理的・身体的な障壁を取り除き、継続的な医療提供が可能になります。

院内混雑の緩和や待ち時間の短縮 

オンライン診療の導入は、院内混雑の緩和や待ち時間の短縮にもつながります。

病状が安定しており、定期的な処方が中心の再診患者さんや、経過観察中の患者さんをオンライン診療に移行することで、院内の混雑を軽減できます。オンライン診療の活用により、感染症のリスクが高い季節でも、患者さん同士や医療スタッフとの接触を可能な限り減らしながら、必要な医療を提供できます。

また、オンライン診療を導入することで、待ち時間の短縮にもつながります。

オンライン診療の患者さんは、予約した時間に対応しますので待ち時間自体がほぼ存在しません。オンライン診療に移行した患者さんに関する受付や会計業務がなくなりますので、対面診療の患者さんの待ち時間を短縮可能です。

継続診療が必要な患者さんの満足度向上

高血圧などの慢性疾患の患者さんは、定期的な受診が欠かせません。通院にかかる時間や労力は、特に高齢の方や持病を抱える方にとって大きな負担となることがあります。オンライン診療によって通院の負担が軽減されることで、患者さんの満足度向上につながります。

クリニックの差別化と経営効果の向上

オンライン診療の導入は、ほかの医療機関との差別化としても有効です。オンライン診療に対応していることで、新規の患者さんの獲得につながる可能性があります。特に若い世代や仕事をされている方にとって、オンライン診療は医療機関選択の重要な判断材料となりえます。

経営面では、予約システムと連携したオンライン診療により、診療の効率化が図れる可能性があります。事前問診や決済のオンライン化により、受付業務の負担も軽減され、スタッフは本来の医療業務に集中できるようになります。ただし、オンライン診療の初診料は対面診療より低く設定されています。収益面だけでなく、患者サービスの向上や業務効率化といった総合的な視点で導入効果を評価することが重要です。

参照:『オンライン診療の適切な実施に関する指針』(厚生労働省)

オンライン診療導入の要件

オンライン診療導入の要件

オンライン診療を適切に実施するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。厚生労働省の指針や診療報酬の施設基準に基づき準備を進めます。具体的な要件を解説します。

オンライン診療の診療報酬の対象範囲と条件

オンライン診療で診療報酬を算定するためには、まず、地方厚生局への施設基準の届出が必要です。そのうえで、オンライン診療で算定できる診療報酬には複数の項目があります。

主な対象範囲は下記のとおりです。

  • 情報通信機器を用いた初診料や再診料
  • 特定疾患療養管理料の一部
  • 精神科領域の管理料
  • 服薬管理
  • 生活指導に関連する項目

これらは対面診療と同じく患者さんの状態に応じて算定しますが、オンラインで実施しても医学的に支障がないと判断できる内容に限られます。

オンライン診療でこれらの項目を算定するためには、厚生労働省のオンライン診療の適切な実施に関する指針に沿って診療を行うことが求められます。同指針で、オンライン診療は対面診療と適切に組み合わせて実施することが基本とされています。

また、安定した通信環境の確保、本人確認、診療内容の記録、必要時に速やかに対面診療へ切り替える体制などの要件もあります。これらはオンライン診療を行う医療機関に共通する前提であり、診療報酬を算定する際にも重要な条件です。

なお、オンラインによる初診料には追加の要件があります。原則として、初診はかかりつけ医が実施することとされています。ただし、患者さんの医学的情報が十分に把握でき、医師が可能と判断した場合はかかりつけ医でなくても初診が可能です。

参照:『オンライン診療の適切な実施に関する指針』(厚生労働省)

オンライン診療計画書の作成と提出

オンライン診療を安全に実施するために、診療体制や運用方針を整理したオンライン診療計画を作成する必要があります。

オンライン診療計画書に記載する主な項目は下記のとおりです。

  • オンライン診療で扱う疾患
  • 診療内容
  • 診療の進め方
  • 対面診療への切り替え基準

また、通信環境の確認手順、本人確認の方法、診療内容の記録方法など、診療を行ううえで必要な事項を整理します。こうした内容を明確にすることで、医師だけでなく看護師や医療事務などオンライン診療に関わるすべてのスタッフが共通の手順で対応できる体制が整備されます。作成した計画書は、医療機関内で共有し、必要に応じて見直すことが求められます。

診療設備・通信環境の整備

オンライン診療を実施するためには、診療設備と通信環境の整備が必要です。必要な機器は、下記のとおりです。

  • カメラとマイクを備えたパソコンまたはタブレット
  • 安定したインターネット回線
  • ヘッドフォンやイヤフォン(音声の質が低い場合に必要)

診察を行う場所は、患者さんの情報が第三者に聞かれることのない環境が必要です。

オンライン診療システムの選定も重要です。専用のオンライン診療システムを導入すると、予約から決済までをシステム内で完結できるため、事務作業が効率化され、患者さんの利便性が高まります。

情報セキュリティ対策

オンライン診療では、患者さんの医療情報を情報通信機器を通じてやり取りするため、高度な情報セキュリティ対策が求められます。

具体的には、通信の暗号化、適切なアクセス管理(二段階認証など)、ウイルス対策ソフトの導入などです。

特に、電子カルテシステムと同じ端末でオンライン診療を行う場合は、セキュリティインシデントが発生した際に、すべての患者さんの情報に影響が及ぶリスクがあるため、十分な対策が必要です。

オンライン診療対応スタッフの役割分担

オンライン診療をスムーズに運用するためには、オンライン診療対応スタッフの役割分担を明確にしておくことが重要です。まず、受付・事務スタッフは、オンライン診療の予約受付、患者さんへの操作説明、保険証確認・支払い対応、そしてトラブル時の初期対応などを担当します。

看護師は、対面診療と同様、診察前の情報整理、状態把握などを担います。患者さんが自己測定した体温や血圧の値などを確認したり、患者さんの状態を確認したりします。

高熱がある、腹痛があるなど対面診療が必要だと考えられる場合は、医師にその旨を報告します。医師は、オンライン診療が可能かどうかを判断し、対面診療が必要だと判断した場合は、速やかに患者さんがアクセスできる医療機関への受診を手配します。

オンライン診療が可能であれば、診療計画書など必要書類を説明のうえ同意を取得し、診察を行います。

また、情報システム担当者がいる場合は、通信環境のトラブル対応や、定期的なセキュリティチェックなどを行います。

オンライン診療導入の全体スケジュール

オンライン診療導入の全体スケジュール

オンライン診療の導入には、計画立案からシステム選定、環境整備、スタッフ研修、そして届出の提出といった、複数のステップが必要です。医療機関の規模や準備状況によって異なりますが、ここでは一般的な導入スケジュールの一例を示します。

まず、導入検討段階で導入目的を明確化し、自院の患者層やニーズを分析、オンライン診療の対象となる診療科や疾患を検討します。

次に、オンライン診療システムの選定と契約を行います。複数のシステムを比較検討し、機能、セキュリティ、費用、サポート体制などを確認し、自院に適したものを選びましょう。そして、必要な設備の購入と設置、診療環境の整備を行います。具体的には、診察室の準備、通信環境の確認、情報セキュリティ対策の実施です。

次は研修の段階です。

全スタッフ向けにシステム操作方法、受付・会計手順、急変時の対応、情報セキュリティルールなどに関する研修を実施します。可能であればリハーサルを繰り返し行うとよいでしょう。準備が整ったら、届出・書類作成を行います。

診療計画書や同意書のひな形を作成し、地方厚生局へ施設基準の届出をします。届出から受理までに時間がかかる場合があるため、余裕を持って準備します。

その後、運用段階に入りますが、試験運用期間を設けてもよいでしょう。

限定的な患者さんを対象に運用を行い、問題点や改善点を洗い出します。スタッフからのフィードバックを集め、運用フローの改善に役立てます。本格的な運用開始前に、ホームページや院内掲示などで患者さんへ周知し、本格的な運用を開始します。

なお、導入後も定期的に運用状況を評価し、スタッフからのフィードバックをもとに改善を続けることが大切です。

オンライン診療導入成功のポイント

オンライン診療導入成功のポイント

オンライン診療を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

診療の質を保つための評価基準の設定

オンライン診療は対面診療と比べて得られる情報が限定されるため、診療の質を維持するための評価基準を設定することが重要です。厚生労働省の指針では、オンライン診療が安全で最善のものとなるよう、医師は対面診療と同様に治療成績などの有効性を評価する必要があるとされています。

また、オンライン診療から対面診療への切り替えが必要となったケースについて検討することも大切です。定期的なカンファレンスを開催し、オンライン診療での診療内容や判断の妥当性をスタッフ間で共有することも、質の維持向上に有効です。

トラブル対応の責任範囲を事前に明確化

オンライン診療中には、通信障害や映像の乱れなど特有のトラブルが生じる場合があります。医療機関は、診療の中断基準や対面診療へ切り替える手順、緊急時の対応方法をあらかじめ定め、診療前に患者さんへ説明しておく必要があります。

また、情報漏洩などのリスクについても、使用する機器のセキュリティ対策や注意点をわかりやすく伝えます。トラブル時の対応方針を共有することで、診療中の混乱を防ぎ、安全にオンライン診療を進められます。

特に、オンライン診療では触診や画像検査が行えないため、症状が悪化した場合や急病・急変が疑われる場合には対面診療へ速やかに切り替えることをきちんと伝えます。

さらに、オンライン診療に用いる機器・アプリの利用方法、本人確認の方法、処方箋の受け取り方など、患者さん側に求められる操作や準備についても事前に説明し、誤操作による医療事故を防ぐ体制を整えておきます。

保険算定ルールのアップデート対応

診療報酬制度は2年に一度改定されます。オンライン診療に関する算定要件も変更される可能性があるため、常に新しい情報を把握しておく必要があります。

細かな要件の変更にも対応できるよう、厚生労働省や各地方厚生局からの通知を定期的に確認する体制を整えましょう。

患者層に合わせたPRと認知獲得

オンライン診療導入を成功させるためには、対象となる患者さんの層に合わせて、適切な情報発信を行う必要があります。

まず、既存の患者さんに対しては、院内掲示やリーフレット、公式LINEなどを活用し、オンライン診療のメリットや利用手順を丁寧に説明します。特にご高齢の方や慢性疾患を抱える患者さんには、受付の方法などを視覚的に伝えることで利用のハードルを下げられます。

一方、若年層や子育て世代などデジタル機器に慣れた層には、公式サイト、SNSなどオンラインでの情報提供が有効です。

また、オンライン診療で対応できる疾患、できない疾患を明確に提示するとよいでしょう。このように、オンライン診療の認知度を高めるためには、自院の患者さんの層に合わせた効果的なPR活動が重要です。

まとめ

まとめ

オンライン診療は、患者さんの受診の機会を広げ、医療機関の業務効率化にも貢献する可能性があります。ただし、オンライン診療の導入には、厚生労働省の指針に基づいた要件の遵守、適切な設備・環境の整備、スタッフの研修など、さまざまな準備が必要なので、計画的に進める必要があります。

オンライン診療において重要なのは、オンライン診療では限界があることを認識し、患者さんにとって適切な医療を提供するという姿勢です。

診療の質を維持しながら、患者さんの利便性向上と医療機関の効率化を実現するために、オンライン診療の導入を検討しましょう。