クリニックの診療効率化を成功させるには?待ち時間削減と業務改善のポイントを解説
クリニック運営において、効率的な診療フローづくりは重要な課題です。診療効率が悪いままでは患者さんの満足度低下やスタッフの負担増につながり、経営上のリスクにもなりかねません。
本記事では待ち時間を減らし業務を改善する方法や効率化を成功させるためのコツを解説します。
クリニックで診療効率化が求められる理由

- クリニックで診療効率化が必要とされる背景を教えてください
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医療業界では慢性的な人手不足が大きな課題です。少子高齢化による労働人口減少もあり、人材確保が年々難しくなるなか、限られたスタッフで現場を回すためには業務効率化が欠かせません。
また、大病院と違いクリニックでは看護師や受付スタッフが多岐にわたる業務を担っており、常に忙しい状態が続きがちです。その結果スタッフの疲弊や離職につながるケースもあります。
こうした背景から、スタッフの負担を軽減しつつ質の高い医療サービスを提供するために、クリニックでの診療効率化が求められているのです。 - 診療効率が下がると患者満足度にどのような影響がありますか?
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診療効率の低下は、主に待ち時間の長さとして患者さんに影響します。厚生労働省の調査では、外来患者さんが医療機関に感じる不満の第1位が「待ち時間の長さ」で、患者さんの約4人に1人が待ち時間に不満を抱えています。つまり、診療に時間がかかりすぎて待ち時間が長くなると、その分患者満足度は低下しやすいといえます。
このように、診療効率の低下は患者さんの信頼や満足度を損ない、クリニックの評価にも影響を与えることがあります。
参照:『令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況』(厚生労働省) - 混雑や待ち時間の長さがクリニック経営に与えるリスクはありますか?
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待ち時間が長いことは、患者数の減少として数値にあらわれ、売上の低下につながります。
待合室が常に混雑し、患者さんを長時間お待たせする状況では、患者さんにストレスを与えます。
特に、高齢の方や体調の優れない方は長時間の待機は負担です。ようやく診察となったときには疲れ切ってしまうこともあり、患者さんに悪い印象が残ってしまうこともあります。
身体への負担の大きさと、診療に対する不満から患者さんが別のクリニックに切り替えるケースは珍しくありません。
また、待ち時間が長いクリニックは、スタッフの離職率が高くなる可能性があります。
患者さんからのクレームには看護師や受付スタッフが対応します。患者さんからの苦情や不満を直接受け止めるスタッフは心理的な疲労が蓄積し、離職しやすくなります。
離職率の高さは、採用活動や教育などのコストによる収支の悪化につながりかねません。 - 診療フローの見直しはどのように行えばよいですか?
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まずは、患者さんが来院してから帰るまでの流れを可視化しましょう。まずは受付から会計までのプロセスを書き出します。代表的な流れは下記のとおりです。
- 予約
- 受付
- 問診
- 診察
- 検査
- 会計
これらの所要時間や待ち時間を把握してみましょう。こうすることで、どの段階で無駄や滞りが生じているかを発見できます。予約や受付、問診や診察、会計はデジタル化することで効率化しやすい領域です。
院内レイアウトも含めて見直し、患者さんの動線とスタッフ動線を効率化するとよいでしょう。患者さんやスタッフの移動距離を短くするだけで、トータルの効率は向上します。 - 受付業務を効率化する方法を教えてください
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受付業務がスムーズがスムーズに進むと診療全体も円滑になります。効率化の方法として、以下のような施策が有効です。
- オンライン予約システムの導入
- Web問診票の導入
- 自動精算機(自動会計システム)の導入
これらの施策により、受付の中断業務が減り、結果として業務効率が向上します。特に、クリニックでは予約や順番問い合わせの電話が集中しがちですが、Web予約の仕組みを整えることで煩雑な電話対応から解放されるでしょう。まずは取り入れやすい部分から実践し、受付業務の効率化を図りましょう。
- 検査や処置の流れを改善するポイントを教えてください
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診察中に行う検査や処置の流れも工夫次第で効率化できます。ポイントは診察に直接必要な時間以外の部分を短縮あるいは並行することです。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。
- 診察室を2つ用意する
- 処置専用の処置室を設ける
- 医療クラークの配置と活用
以上のように診察オペレーション自体を見直し、並行作業や役割分担を導入することで、検査や処置を含めた診療の流れを大きく効率化できます。
- 診療効率を改善するために人員配置の見直しは有効ですか?
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人員配置の見直しは診療効率改善に有効な手段です。クリニックのスタッフ数や配置は、少なすぎても現場が回らずスタッフが疲弊し、多すぎても人件費負担が増えるという難しい側面があります。
そこで、診療ボリュームに見合った適切な人数を配置する工夫が必要です。例えば、来院が多い曜日や時間帯にはパートスタッフを増員し、逆に閑散時間帯は人数を絞るなどシフトを柔軟に組むといった対策が考えられます。
また、スタッフの役割分担や配置場所を見直すことで効率アップにつながるケースもあります。 - クリニックの診療効率化に役立つツールやシステムを教えてください
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デジタルツールの活用は診療効率化の強い味方です。近年はクリニック向けにもさまざまなITソリューションが提供されていますが、特に次のようなシステムは導入効果が高いと考えられます。
- オンライン予約システム
- 電子カルテ
- Web問診システム
- 待ち順管理・呼び出しシステム
- 自動精算機(セルフ会計機)
- 勤怠管理・経費精算ツール
以上のようなツールを活用することで、予約から受付、診療、会計にいたる各プロセスをデジタル化あるいは自動化でき、待ち時間短縮やヒューマンエラー防止に役立ちます。
導入にはコストも伴いますが、中長期的にみれば患者満足度向上とスタッフ負担軽減を期待できるでしょう。 - 業務の標準化やマニュアル整備は効率化に効果がありますか?
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業務手順の標準化とマニュアル整備は効率化に役立ちます。クリニックの仕事は人によってやり方が違う部分が多いと、属人的になってしまい業務にばらつきが生じます。
そこで、ベテランスタッフのノウハウをマニュアル化し、誰が対応しても一定の水準で業務を遂行できるよう手順を定めておくことが重要です。
新人スタッフでもマニュアルを見れば業務をこなせるため即戦力化しやすく、ベテランに業務が集中するのも防げます。
また、マニュアル整備の過程で業務内容を見直すことで、無駄な手順に気付いて改善するきっかけにもなります。標準化された業務フローは安定したサービス提供につながるため、結果として患者さんの満足度向上にも寄与するでしょう。 - 教育体制や業務分担の見直しで改善できることを教えてください
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スタッフ教育や業務分担の見直しも診療効率向上には欠かせません。
まず、教育体制の強化では新人や若手スタッフの早期戦力化と定着に効果があります。明確な教育プログラムがあると新人も安心して成長できますし、スタッフ全体のモチベーション向上にもつながります。
次に、業務分担の見直しです。一人のスタッフに雑務まで何でも抱えさせていないか、逆に役割があいまいで同じ作業を重複して行っていないかなどを確認しましょう。こういった対策を行うことで、結果として患者さんへのサービス向上と診療の円滑化につながります。
クリニックの診療効率化のための基本施策

編集部まとめ

クリニックの診療効率化は、患者さんの満足度向上と経営の安定化の両面において重要です。スタッフにとっても業務負担の軽減や働きやすい職場づくりにつながり、サービス品質の維持と向上に好循環をもたらすでしょう。
診療効率化はWeb予約や電子カルテ導入、レイアウト調整、役割分担の明確化など、できることから少しずつ改善を重ねることが大切です。小さな改善の積み重ねが患者さんとスタッフ双方の満足度アップにつながり、ひいては選ばれるクリニックとしての信頼獲得と安定経営の実現につながるでしょう。




