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診療情報提供書の書き方|記載項目とわかりやすく書くポイントを解説

                   
投稿日: 2026.07.06
更新日:2026.06.13
                   

診療情報提供書は、患者さんの診療を別の病院や診療所へ円滑に引き継ぐための書類です。開業後は、病診連携や地域医療連携のなかで作成する機会があり、正確でわかりやすい記載と、保険診療上のルールへの理解が求められます。

この記事では、診療情報提供書の基本的な役割、記載すべき項目、診療報酬上の扱い、紹介先に伝わりやすい書き方や個人情報の取り扱いを解説します。

診療情報提供書の基本と役割

診療情報提供書の基本と役割
診療情報提供書とはどのような書類ですか?

診療情報提供書は、保険医療機関が自らの診療内容をもとに、別の保険医療機関での診療が必要と判断した場合に作成する公的な書類です。患者さんの同意を得たうえで、診療状況を記した文書を添えて紹介するために用いられます。

傷病名や紹介目的、症状の経過、検査結果、治療内容、現在の処方などを記載し、紹介先が患者さんの状態を把握できるようにします。診療情報提供書は、診療情報を共有する手段であり、紹介元と紹介先の連携を支える書類です。

紹介状との違いを教えてください

一般的に、医療現場や患者さんの間で紹介状と呼ばれている書類が、制度上は診療情報提供書にあたります。呼び方は異なりますが、実質的な役割に大きな違いはありません。患者さんが別の病院や診療所を受診するときに、これまでの診療経過や現在の病状、検査結果などを引き継ぐために使われます。所定の様式に沿って作成し、要件を満たすことで、診療情報提供料として算定できます。

どのような場面で作成されますか?

診療情報提供書は、別の保険医療機関で専門的な診療や検査、治療が必要と判断された場合に作成されることが一般的です。例えば、診療所から病院へ精密検査を依頼する場合や、専門診療科での評価を依頼する場合などが該当します。

そのほか、患者さんの同意を得て、区市町村や指定居宅介護支援事業者、精神障害者施設などへ情報提供する場合にも作成されます。小児慢性特定疾病やアレルギー疾患のある児童、医療的ケア児が学校生活を送るうえで必要な情報を学校医などへ提供する場合にも用いられます。セカンドオピニオンは、患者さんが別の医師の意見を求めるために、必要な資料を添えて診療情報を提供します。

算定できる診療報酬と算定できないケースを教えてください

別の保険医療機関などへ紹介を行った場合は、診療情報提供料(Ⅰ)を患者さん1人につき月1回に限り算定できます。認知症専門医療機関への紹介、ハイリスク妊産婦の紹介、精神障害者施設などへの退院後の情報提供と紹介に関する加算などもあります。

セカンドオピニオンのために情報提供した場合は、診療情報提供料(Ⅱ)の算定対象です。ただし、セカンドオピニオンを受ける病院側の対応は、原則として自費診療になることを患者さんに伝える必要があります。また、紹介元の保険医療機関からの求めに応じて情報提供した場合は、連携強化診療情報提供料が算定できます。一方で、紹介元への単なる受診報告や経過報告など、受診行動を伴わない情報提供や、実際の診療を伴わない情報提供は算定できません。

参照:『新規開業医のための保険診療の要点(総論)』(東京都医師会) 

診療情報提供書に記載すべき項目

診療情報提供書に記載すべき項目
基本的な記載項目を教えてください

診療情報提供書には、厚生労働省が定める様式に基づき、必要な情報を漏れなく記載します。紹介先が診療方針を判断しやすいよう、患者さんの基本情報、紹介目的、診療経過、検査結果、治療内容を過不足なく伝えることが大切です。

主な記載項目は以下のとおりです。

  • 紹介先医療機関等名、担当診療科
  • 紹介元医療機関の所在地および名称、電話番号、医師氏名または記名押印
  • 患者さんの氏名、住所、性別、電話番号、生年月日、職業
  • 傷病名、紹介目的
  • 既往歴および家族歴
  • 症状経過および検査結果、治療経過、現在の処方、備考
  • 特に、紹介目的と現在の処方は紹介先での対応に直結するため、わかりやすく記載します。

    様式やフォーマットに決まりはありますか?

    診療情報提供書は、基本的に国が定めたフォーマット(別紙様式11)に準じて作成します。記載欄に収まらない場合は、必要に応じて続紙を添付することも認められています。電子カルテなどのシステムから出力する場合も、所定の様式に沿っていることが前提です。

    検査結果や画像などの添付資料について教えてください

    診療上必要がある場合は、検査結果画像診断のデータ診療経過がわかる資料などを添付します。紹介先で診断や治療方針を判断しやすくなり、同じ検査の繰り返しを避けることにもつながります。添付する資料は、紹介目的に関係するものを中心に選びます。すべての検査結果を機械的に添えるのではなく、紹介先の医師が患者さんの状態を把握するために必要な情報を、みやすい形で添付します。

    診療情報提供書の書き方とポイント

    診療情報提供書の書き方とポイント
    経過や治療内容はどこまで詳しく書くべきですか?

    経過や治療内容は、紹介先の医師が診療方針を判断できる範囲で、簡潔に書きます。情報が少なすぎると判断しにくくなりますが、細かい経過をすべて並べると要点が伝わりにくくなります。いつからどのような症状があり、どの検査を行い、どの診断で、どの治療を行ったのかを時系列で示します。現在の処方は、薬剤名、用法、用量まで正確に記載します。

    略語や専門用語の扱いについて教えてください

    診療情報提供書は、自院と異なる診療科の医師が読むこともあります。そのため、特定の診療科だけで使われる略語や、院内だけで通用する表現は避けます。誤解なく伝えるには、標準的な医学用語を使うことが基本です。略語を使う場合は、初回に正式名称を添えると伝わりやすくなります。難解な専門用語を重ねるよりも、診断名、検査結果、治療内容、依頼したい内容が明確にわかる文章にします。

    紹介目的を明確に伝えるためのコツはありますか?

    紹介目的は、紹介先の医師が何を依頼されているのかをすぐに理解できるよう、結論から明確に書きます。紹介目的は、紹介先での対応を左右する項目です。

    例えば、〇〇の疑いによる精密検査の依頼、〇〇に対する外科的治療の依頼、貴科における今後の治療方針に関するご相談などのように依頼の趣旨を具体的に示します。単によろしくお願いしますと書くだけでは、検査依頼なのか、治療依頼なのか、方針相談なのかが伝わりにくくなります。

    個人情報の取り扱いで注意すべきことを教えてください

    診療情報提供書には患者さんの個人情報が含まれるため、取り扱いには配慮が必要です。病院同士の連携に必要な情報提供については、利用目的を院内掲示などで示しておき、患者さんから特別な申し出がなければ、黙示の同意があったものとして扱える場合があります。

    実務では、紛失や渡し間違い、送付先の誤りを防ぐことも大切です。封筒の宛先、患者さんの氏名、生年月日、紹介先の病院名を確認し、手渡しや郵送、FAX、電子的な送付のいずれでも、院内で確認手順を決めておくとよいです。

    編集部まとめ

    編集部まとめ

    診療情報提供書は、地域医療における病院同士の連携を深め、患者さんに継続的な医療を提供するための書類です。基本的な様式や記載要領を守り、診療情報提供料(Ⅰ)や診療情報提供料(Ⅱ)、連携強化診療情報提供料などの算定要件を正しく理解することが大切です。

    作成時は、紹介先の医師が短時間で状況を把握できるよう、紹介目的、症状経過、検査結果、治療内容、現在の処方を記載します。同時に、個人情報の取り扱いや同意の考え方も確認しておく必要があります。診療情報提供書を適切に作成することは、患者さんの診療を途切れなく引き継ぎ、円滑な病診連携を進めることにつながります。