顔認証付きカードリーダーは何がおすすめ?選び方のポイントや導入手順を解説
2021年10月に本格運用が開始され、2023年4月から原則義務化された「オンライン資格確認」により、マイナンバーカードを健康保険証として利用することができるようになりました。本記事では、顔認証付きカードリーダーの仕組みや導入のメリット・デメリット、導入手順、選び方のポイントなどを詳しく解説します。まだ、オンライン資格確認の導入を検討中のクリニックは、ぜひ参考にしてみてください。
顔認証付きカードリーダーとは
- 顔認証付きカードリーダーとは何ですか?
- 顔認証付きカードリーダーとは、マイナンバーカードでオンライン資格確認を行う際に必要となる機器のことです。マイナンバーカードのICチップを読み取り、登録された顔写真と患者さん本人の顔データを照合して本人確認を行います。2021年10月より本格運用が開始され、2023年4月から原則義務化された「オンライン資格確認」により、マイナンバーカードを保険証として利用できるようになりました。顔認証付きカードリーダーは、この「オンライン資格確認」で、顔写真を照合して本人確認を行うという重要な役割を担っています。本人確認の基本的な手順は、まず患者さんがマイナンバーカードをカードリーダーにセットします。次に、顔認証または暗証番号のどちらかの認証方法を選択し、顔認証の場合はカメラに顔をかざし、暗証番号の場合は暗証番号を入力して本人確認を行います。その後、医療機関が患者さんの薬剤情報や特定健診情報などを閲覧することに同意し、本人確認が完了します。このように、顔認証付きカードリーダーを使用することで、患者さん自身で受付を行うことが可能となり、受付業務の負担軽減にもつながります。
- 顔認証付きカードリーダーを導入するメリットを教えてください。
- 顔認証付きカードリーダーの導入には、いくつかのメリットがあります。まず、「オンライン資格確認」の導入により、マイナンバーカードでは最新の保険資格が自動的に医療機関システムに取り込むことができ、患者さんの保険資格がその場で確認できるようになるため、資格過誤によるレセプト返戻などの窓口業務が削減できます。これにより、事務スタッフの業務負担が軽減され、人為的ミスも減少します。また、顔認証付きカードリーダーは、車椅子利用者や子どもでも認証可能な広角カメラレンズや、軽いタッチで操作できる静電容量方式タッチパネルが搭載されているため、様々な患者さんに対応することが可能です。さらに、顔認証付きカードリーダーは、既存のレセプトコンピューター(レセコン)と連動させることができ、資格確認端末とレセコン端末を一体化することができるため、省スペース化も可能です。加えて、メーカーによっては1年半〜5年の保証が付帯していたり、各種公費医療券の読み取りにも対応していたりします。
- 顔認証付きカードリーダーを導入するデメリットはありますか?
- 顔認証付きカードリーダーを導入する際は、いくつかのデメリットにも考慮する必要があります。まず、オンライン資格確認の導入・運用には費用がかかるということがデメリットの一つとして挙げられます。顔認証付きカードリーダーは無償提供されますが台数に上限(診療所は1台まで)があるため、それ以上の台数が必要な場合とそのほかの機器類・ソフトウェアの導入や、既存システムの改修、ネット環境の整備などに費用がかかります。さらに、運用開始後も端末の修理費用やメンテナンス費用、ネット回線の月額利用料などの運用費用が発生します。ただ、導入やそれに付随する改修にかかった費用に関しては医療情報化支援基金による補助金制度がありますので、申請すれば受給が可能です。次に、問い合わせへの対応が必要になることもデメリットの一つといえるでしょう。オンライン資格確認は新しい保険制度のため、マイナンバーカードの取り扱いや資格確認端末操作に不慣れな患者さんからの問い合わせの増加が予想されます。特に導入当初は高齢の患者さんが多い医療機関では、端末操作に関するサポート対応が大きな負担になる恐れがあります。
顔認証付きカードリーダーの導入手順
- 顔認証付きカードリーダーの導入手順を教えてください。
- 顔認証付きカードリーダーを導入するには、まずオンライン資格確認の参加に必要な「医療機関等向け総合ポータルサイト」でアカウント登録を行います。併せてシステムベンダーに見積もりをとり、オンライン資格確認端末の導入やシステム改修について依頼します。見積もり内容を確認後、運用開始の1カ月前を目途にシステムベンダーに発注します。次に、「医療機関等向け総合ポータルサイト」から、顔認証付きカードリーダーの申し込み、オンライン資格確認の利用申請、補助金の申請を行います。最後に、システムベンダーによる運用テストを行い、オンライン資格確認や顔認証付きカードリーダーの導入に必要な一連の手順は完了です。また、導入準備としてオンライン資格確認導入後の受付業務の流れを確認し、スタッフに共有する必要もあります。患者さん向け「個人情報保護の利用目的」の更新も忘れずに行うようにしましょう。
- システムベンダーとは何ですか?
- システムベンダーとは、情報システムの構築・運用などを一括して請け負う事業者のことを指します。オンライン資格確認の導入においては、このシステムベンダーとの密な連携が重要になります。医療機関等向け総合ポータルサイトの「オンライン資格確認導入対応業者お問い合わせ先」で、対応可能なシステムベンダー一覧や各ベンダーの対応可能なエリアを確認することができます。クリニックでオンライン資格確認の端末を導入する場合、利用しているレセコンのベンダーに相談するのが近道でしょう。ただし、システムベンダーがオンライン資格確認に詳しくないケースもあるため、注意が必要です。適切なシステムベンダーの選定と連携が、スムーズな顔認証付きカードリーダーの導入を可能にします。
おすすめの顔認証付きカードリーダーの選び方
- 現在どのような顔認証付きカードリーダーが選べますか?
- 現在、複数のメーカーから様々な顔認証付きカードリーダーが提供されています。それぞれ機能や性能に特徴があり、医療機関のニーズに合わせて選択できます。まず、本体のサイズや形状に着目すると、コンパクトで設置面積の小さいモデルや、安定性の高い立方体に近い形状のモデルがあります。また、縦長のデザインでスマートさを追求したモデルもあり、省スペースでの導入が可能です。画面サイズについても、5〜10インチまで様々な選択肢があるため、患者さんのの使いやすさを考慮して選ぶことができます。
機能面では、なりすまし防止機能や、カードの置き忘れ防止機能、のぞき見防止機能などが搭載されたモデルが多くあります。これらの機能は、セキュリティや利便性の観点から重要な選択基準といえるでしょう。また、一部のモデルでは、「ひとり親家庭等医療証」「こども医療費受給者証」等の紙の公費医療券各種証明書の読み取りにも対応しています。
保守体制はメーカーによって異なりますが、多くのモデルで5年の無償保証が付帯されています。ただし、一部のモデルでは18カ月間の無償保証の後、有償保障に切り替わるケースもあるため、導入時に確認が必要です。
- おすすめの顔認証付きカードリーダーの選び方を教えてください。
- 顔認証付きカードリーダーを選ぶ際は、各メーカーから提供されている製品それぞれの機能や特徴を比較検討することが重要です。まず、本体や画面のサイズが自身のクリニックの設置スペースや操作性に適したものを選びましょう。また、なりすまし防止機能やのぞき見防止機能などのセキュリティ面も確認すべきポイントです。ほかには、照明の影響を受けづらい構造になっているか、カードの取り忘れ通知機能があるか、眼鏡やマスク着用時の顔認証に対応しているかなどが自身のクリニックに合っているかを見定めるポイントとして挙げられます。
また、衛生面では抗菌仕様のタッチスクリーンや、手袋での画面操作に対応したタッチパネルなどは、感染防止対策の観点から有用なおすすめの機能といえるでしょう。加えて、1台のパソコンで複数のカードリーダーを接続できるかどうかも、コスト削減や院内スペースの有効活用の観点から確認しておくべきポイントになります。
最後に、発注後のメーカーからの配送時期も事前に確認しておきましょう。オンライン資格確認の導入時期に合わせて必要な機器類が全て揃っているかは、スムーズな利用開始のためには重要なポイントです。メーカーによって納品までの必要日数が異なるため、システム改修のスケジュールを踏まえた調整が必要になります。
編集部まとめ
顔認証付きカードリーダーは、オンライン資格確認の導入に必要不可欠な機器になります。導入・運用には初期費用や運用費用がかかりますが、窓口業務の負担軽減や患者さんの利便性向上などのメリットも大きいでしょう。導入にはシステムベンダーとの連携や、スタッフへの教育も重要になります。本記事を参考に、自身のクリニックに合った適切な顔認証付きカードリーダーを選択し、オンライン資格確認の導入をスムーズに進めていただければ幸いです。