精神科の開業医の年収はいくらぐらい?ほかの診療科との比較や開業を成功させるポイントを解説
精神科医として開業することは、医師としてのキャリアにおける重要な選択肢の一つですが、その場合の年収はほかの診療科の開業医と比較するとどの程度になるのでしょうか。 本記事では、精神科開業医の平均年収や、ほかの診療科の開業医との収入の差について解説します。また、精神科の開業を成功させるためのポイントや年収アップのコツについても取り上げます。これから精神科の開業を考えている医師は、ぜひ参考にしてみてください。
精神科医の年収について
- 精神科の勤務医と開業医の平均年収について教えてください。
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厚生労働省が公表している「第22回医療経済実態調査報告」によると精神科開業医の平均年収は約2590万円です。精神科勤務医の平均年収が約1230万円とされているので、開業することで大幅に年収が増加するといえます。また、精神科は基本的に問診や心理検査、心理療法や薬物療法などによる治療が中心となり、手術を行うことがありません。そのため、経営が軌道に乗っているという前提のもとでは、開業した場合でも体力的な負担は比較的少ないといえるでしょう。
(出典:勤務医の就労実態と意識に関する調査)
- 地方と都市圏での、精神科開業医の年収の違いについて教えてください。
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精神科開業医の年収について、一概に地方と都市圏でどちらの年収が高い、低いとは言い切れません。ただ、地方と都市圏だと、地方の方が集患がしやすい可能性があり、年収を増やしやすいケースがあります。これは都市圏だと、大病院だけでなく多くのクリニックや医院があり患者さんに多くの選択肢がありますが、地方は都市圏ほど医療機関が充実しておらず、選択の幅が狭まり通える病院が限られてしまうためです。そのため、精神科に限らず、一般的に都市圏よりも地方の方が開業医の平均年収が高いとされています。
- 精神科医の中でも、年収に差があるのはなぜですか?
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精神科医の年収は、資格の有無によって大きく左右されます。精神科には「精神科専門医」や「精神保健指定医」という資格があり、特に後者は法律に基づいて措置入院などを判断する権限を持ち、診療報酬も2割弱上乗せされます。中でも精神科スーパー救急病棟などでの勤務では、この資格が重視されるため、給与に反映されることが多いようです。一方で、「精神保健指定医」は、クリニックでの勤務や開業においては必須の資格ではないため、目的に応じて取得するか検討するといいでしょう。
精神科で開業した際に年収が下がってしまう原因
- 精神科で開業した際に、年収が下がってしまう原因を教えてください。
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精神科の開業は、多くの場合で年収の増加につながりますが、開業後に勤務医の頃よりも年収が下がってしまうケースも中にはあります。年収が減少する主な原因には下記のようなものがあります。
・経営スキルが不足していた
精神科の開業医は、医師としての知識や経験だけでなく、経営者としてのスキルも必要になります。財務管理や経理、人事や労務管理、マーケティングなど、経営に必要な知識やノウハウといった幅広いスキルが求められます。年収を増やすためには、早期に経営を安定させる必要があります。そのため、医療の知識だけではなく、経営に関するスキルを身につけていないと、年収が下がるリスクが高まります。
・集患に苦戦した
安定したクリニック経営には、患者数の確保が不可欠です。開業しても思うように患者さんが集まらない場合、経営が悪化してしまう可能性があります。増患のためには様々な方法がありますが、まずは開業した地域の特性を理解し、それに合った施策を選ぶことが重要です。
精神科のクリニック開業を成功させるためのポイント
- 精神科のクリニックを開業するためには、どのくらいの資金が必要ですか?
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精神科を開業する際にどれくらいの開業資金が必要になるかは、どれくらいの設備を準備するかや、どれくらいの広さの医院やクリニックを持つかによって異なります。精神科の場合、ほかの診療科に比べ設備投資が少なく済むため、比較的開業資金を安く抑えられます。それでも、2000万円程度は必要となります。
開業時に医療設備やシステムを充実させることも大切ですが、開業後の需要が見えない状態で多く投資を行うことは赤字経営につながります。一般的に開業時はなるべく費用を抑え、経営が安定してきてから追加投資を行うことをおすすめします。
- 立地・物件選びは、どのような場所を選択するのが良いですか?
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精神科を開業する際に立地や物件として良いとされているのは、需要が高く供給が足りていないとされている地域に開業することです。また、競合が少ないところに開業することもポイントです。このような状況把握には、事前調査が必要になります。
「自宅に近いから」といった安易な理由で開業場所を決めるのではなく、事前に競合調査を行うようにしましょう。
- インターネットを活用した集患対策の重要性について教えてください。
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精神科で開業するにあたって、インターネットを活用した集患対策はとても重要です。近年では多くの患者さんがインターネットを通じて情報収集し、通院する医療機関を探す傾向にあります。そのため、ホームページの開設はもちろんのこと、検索結果でより上位に表示されるためのSEO対策やSNSの運用も、自院の認知度を高めるために必要になります。
- 保険診療だけでなく、自由診療を行うことは年収の増加につながりますか?
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開業した際に、保険診療だけでなく自由診療を取り入れることは、ほかのクリニックとの差別化を図る施策の一つになります。患者さんのニーズに応えるかたちで自由診療を行うことは、年収の増加につながるでしょう。
- 精神科開業医の年収を、早く増加させる方法はありますか?
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精神科開業医の年収を早く増加させる方法には、承継開業という選択肢があります。既存の医院やクリニックを引き継いで開業する方法のことで、建物や医療設備、スタッフなどを引き継げるため、開業に必要な初期投資を抑えることができます。また集患においても、既に一定の患者基盤がある状態から経営を始められるため、新規に開業する場合に比べて経営を安定させやすいというメリットがあります。患者数の確保に悩むことなく、スムーズに経営を軌道に乗せられれば、早期の年収増加も見込めるでしょう。
編集部まとめ
この記事では、精神科開業医の年収に関する情報と、開業を成功させるためのポイントや年収アップのコツについて解説してきました。精神科開業医の年収は、勤務医と比較して1300万円ほど高いとされています。また、開業を成功させるためには、適切な資金調達や立地・物件選びなど、様々な要素が重要です。これらのポイントを考慮し、精神科開業医としての成功を目指しましょう。