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整形外科開業医の年収はいくらぐらい?必要な開業資金や開業を成功させるためのポイントを解説!

                   
投稿日: 2024.06.29
更新日:2024.07.03
                   

整形外科は、運動器疾患を扱う診療科として、幅広い年齢層の患者さんを対象としています。超高齢化社会が進むにつれて、整形外科医療のニーズは今後さらに高まることが予想されます。そのような状況下で整形外科医院を開業することは、医師としてのキャリアにおける重要な選択肢の一つといえるでしょう。本記事では、整形外科の開業医の年収や、開業を成功させるためのポイントについて説明します。これから開業を検討している整形外科医の方は、ぜひ参考にしてみてください。

整形外科開業医の年収について

整形外科開業医の平均年収はいくらぐらいですか?

整形外科開業医の平均年収は、厚生労働省が公表している「第22回医療経済実態調査報告」によると平均約2990万円です。ほかの診療科目と比較すると、整形外科開業医の平均年収はやや高い傾向にあります。また、労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、整形外科勤務医の平均年収が約1290万円とされているので、開業すると大幅に年収が増加することがわかります。

(出典:勤務医の就労実態と意識に関する調査

(出典:第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告

地方と都市圏での整形外科開業医の年収の違いについて教えてください。

一般的に地方と都市圏だと、地方の方が競合クリニックが少ないため、整形外科開業医の年収が高くなる傾向にあります。特に高齢化の進む地域では、整形外科へ通う患者さんが多いため、安定した需要を見込めるでしょう。一方、人口が密集する都市圏ではクリニック同士の競争が激しく、収益が分散されるため必ずしも年収が高くなるとはいえません。整形外科開業医の年収は、クリニックの立地や周辺の需要、競合状況などによって地域差が生じるため、開業を検討する際は地域の特性を十分に考慮する必要があります。

整形外科のクリニック開業を成功させるためのポイント

整形外科のクリニック開業を成功させるためのポイント
整形外科でクリニックを開業する場合、集患はどれぐらい難しいですか?

現代の日本は、65歳以上の高齢者の割合が人口の29%となり、超高齢社会といわれています。そのような状況の中、整形外科のクリニックは集患しやすいイメージがありますが、開業すれば自然と患者さんが集まるわけではありません。実際には健康寿命が延びていることや、整形外科だけでなく接骨院やリハビリ施設など、ほかの業態の競合の数も増えているため、集患が難しくなってきているという見方もあります。

また、すでに整形外科のかかりつけ医がいる患者さんの場合、よほどの理由がない限り途中で担当医を変えることは少ないでしょう。そのため、整形外科で開業する場合は、ホームページの開設や広告の出稿など、集患対策をあらかじめ準備しておくことが重要です。

整形外科のクリニックを開業するためには、どれくらいの資金が必要ですか?

整形外科の開業資金は、立地や施設の規模、導入設備、診療方針などによって大きく変わります。概算ですが、土地や建物の費用に3000万円、設備投資に2000万円とすれば、最低でも5000万円の開業資金が必要になります。具体的にどのような費用がかかるのか、主な費用項目について解説します。

・物件に関する費用

整形外科のクリニックをどのような形態で開業するかによって、必要な資金の額が変わってきます。ビルや商業施設の中の貸店舗を借りて開業するテナント開業の場合、保証金や敷金といった初期費用だけで開業ができます。一方で、一軒家を購入して開業する戸建て開業の場合は、物件の購入費用だけでなく、その土地の購入費用もかかる場合があります。

・機器と設備に関する費用

整形外科ではレントゲン装置、超音波装置(エコー)、内視鏡システム、診察用ベッド、リハビリテーション機器、待合室の備品などが必要です。これらの機器と設備の購入やリースにかかる費用が必要です。

・医療器具と消耗品に関する費用

医療器具や消耗品は定期的に補充する必要があります。施術用具や消毒薬、包帯などの購入費用も考慮する必要があります。

・人件費

医師や看護師、事務スタッフなどの給与や福利厚生費、社会保険料などがかかります。

・販促費

病院にも販促費はかかります。具体的には、広告宣伝費用やウェブサイト構築費などが必要です。

クリニックを開業する際は新しい設備や高性能な機器を購入したくなるものですが、本当に必要なのか慎重に検討する必要があります。開業してから経営が軌道に乗るまでは優先順位の低い設備の購入を控えることが、結果的に年収の増加につながるでしょう。

立地・物件選びは、どのような場所を選択するのが良いですか?

整形外科を開業する際に立地や物件として良いとされているのは、需要が高く供給が足りていないと考えられる地域に開業することです。また、競合が少ないところに開業することもポイントです。しかしながら、整形外科では接骨院や整体院なども競合施設になりますが、それらを競合として捉えるのではなく、連携を取りあうことで立地が近いことが逆にお互いのメリットになる場合もあります。

整形外科で開業する際は、人通りの多い場所を選ぶようにしましょう。例えば、駅近のビルの一階などは物件の前を通る人数も多く、目立ちやすい看板を設置することで認知をより高められ、集患しやすくなるでしょう。自宅に近いからなどの理由で開業場所を決めるのではなく、事前に競合調査をしっかりと行うことが肝要です。

整形外科開業医の年収を早く増やす方法はありますか?

整形外科開業医の年収を早く増やす方法として、承継開業という選択肢があります。承継開業とは、既存の医院やクリニックを引き継いで開業する方法のことで、建物や医療設備、スタッフなどを引き継げるため、開業に必要な初期投資を抑えることができます。集患においても、既に一定の患者基盤がある状態から経営を開始できるため、新しく開業する場合に比べて経営を安定させやすいというメリットがあります。開業初期の患者数確保に苦労することなく、スムーズに経営を軌道に乗せることができれば、早期に年収を増やすことも可能でしょう。

整形外科クリニックの開業を成功させるためのポイントを教えてください。

整形外科クリニックの開業を成功させるためには、下記のようなポイントに気をつけると良いでしょう。

・高齢の患者さんに考慮した立地や設備にする

整形外科の患者さんは、高齢者が半数以上を占める傾向にあります。そのため、高齢者にとって通いやすい場所、過ごしやすい空間作りが重要です。例えば、車椅子の患者さんが行き来しやすいようにスロープやエレベーターの導入を考えたり、車での送迎を想定して駐車場を設けたりするなど、高齢者の通院を想定した立地や設備を検討しましょう。

・スタッフを育成する

整形外科の場合、治療だけでなくリハビリのために通院をするケースも多く、その際に対応するのは医師以外のスタッフになるため、雇用するスタッフの対応力や施術力がクリニックの評判に直結します。そのために、看護師、理学療法士、作業療法士などのスタッフの育成に注力し、患者さんの施術満足度を上げる取り組みを積極的に行うことが重要です。

編集部まとめ

本記事では、整形外科の平均年収や開業に必要な資金、そして開業を成功させるためのポイントについて解説しました。この記事が整形外科での開業を検討する方の参考になりましたら幸いです。