内科医の年収は?仕事の内容や働き方も紹介
日本の医療機関で働く医師の約20%は内科に勤務しており、すべての診療科目の中で最も医師の人数が多いと言われています。
内科は明確な症状が出ているときだけでなく「どの診療科を受診すればいいかわからない」という場合に受診する患者さんも多く、ニーズが非常に高い診療科です。
そのため、内科で働く医師には幅広い知識と診療経験が求められますが、一方で安定した収入を得やすいというメリットもあります。
そこで本記事では、内科医の年収事情や働き方、年収をアップさせる方法などについてまとめています。
内科医の年収事情
内科医は特定の領域にとらわれることなく、幅広い症状や疾患に対して総合的な診療を提供します。発熱や喉の痛み、腹痛、便秘・下痢、吐き気、めまいなどの急性症状から、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病をはじめとする慢性疾患まで守備範囲は広く、初期のプライマリケアから専門的知識を要する治療まで診療の難易度もさまざまなため、医師によって年収の幅は大きいと言えます。
- 内科医の平均年収はどれくらい?
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、内科医の平均年収は1247万円となっています。ただ、調査全体の内訳を見てみると、年収1000万円を超える人が68.5%いるのに対して、500万~1000万円の人が20.9%、500万円以下の人が10.6%いることもわかっており、高い年収を得ている医師とそうでない医師の格差が大きいということが推察されます。
- 内科医の年収は、なぜ個人差がある?
- 一言で「内科」と言っても、そこには消化器内科や呼吸器内科、循環器内科、脳神経内科、血液内科、内分泌内科などとさまざまな専門分野が存在しており、どの分野の診療を行うか、どれくらいの難易度の治療を行えるかによって年収に差が生まれます。また、働き方によって年収が変動することもあります。例えば、入院施設がある「有床医療機関」では、外来診療だけでなく入院患者さんの管理や日当直の業務まで担う必要があるため、時間外勤務が多くなります。
そのためプライベートの時間をなかなか取れないというデメリットはありますが、その一方で時間外手当てや日当直手当てが支給されて平均以上の収入を得ることができるでしょう。
無床の医療機関で働く場合は往診などに対応する場合もありますが、時間外勤務を行わなければいけないという場面は少なく、ワークライフバランスを保つことができます。
その分、収入面は有床医療機関で働く医師より少ない傾向にあるということを理解しておきましょう。
- 内科医の年収は平均より低い?
- 「勤務医の就労実態と意識に関する調査」で対象となった診療科全体の平均年収は1267万円のため、内科医の年収は平均よりも低いと言えます。例えば、くも膜下出血や脳卒中など緊急を要する治療や手術を行うことが多い脳神経外科は、繊細な技術やより専門的な医療知識が求められるため、平均年収が1480万円と高めの傾向にあります。その次に産婦人科や外科、麻酔科、整形外科が続き、内科は7番目に年収が高いというデータが出ています。
- 内科の開業医の年収は?
- 大学病院や地域のクリニックに勤める「勤務医」ではなく、自ら医療機関を経営する「開業医」の平均年収は約2340万円です。前述した勤務医の平均年収をはるかに上回るため、そこに魅力を感じる方も多いかもしれません。ただ、この収入のすべてを自由に使えるわけではなく、医療機器の購入費やスタッフの人件費、研修会や勉強会に参加するための費用などをこの中から負担する必要があります。
また、年収が高い、理想とする医療を提供できる、自由に働けるというメリットがある一方で、経営スキルが求められたり何か問題が起きたときに責任が重くのしかかったりするというデメリットもあります。
内科医の年収はなぜ変わる
ここまでは勤務医や開業医別の内科医の平均年収について紹介しました。では、年齢や地域、医療施設などによっては年収にどのような違いがあるのでしょうか。また、なぜ年収に個人差が生まれるのでしょうか。
- 年齢別で内科医の年収に違いはある?
- 内科医として働く20代の医師の中で、年収が1000万円未満の方は25%、1000〜1500万円の方は50%、1500万円以上の方は25%というデータがあります。30代になると1500万~2000万円を超える方が徐々に増えていき、働き盛りと言われる50代までは年収も上がり続ける傾向にあります。また、前述したように内科はニーズが高く、開業に強いこともあり、60代以降でも高収入を得られるでしょう。
- 地域別で内科医の年収に違いはある?
- もちろんあります。人口に対して医師や医療機関の数が少ないとされている北海道や東北地方、四国・中国地方では、平均年収が1500万〜2000万円の方の割合が72%、62%と突出しています。関東や関西地方などの都市部ではこの数値が50%前後のため、地方の内科医のほうが、年収が高い傾向にあると言えます。
- 医療施設別で内科医の年収に違いはある?
- 内科医の平均年収を医療施設別で調査したところ、無床の病院と200床以上の入院設備を備える病院では年収2000万円以上の方の割合が10%に満たなかったのに対し、地域クリニックでは20%を超えています。このことから、クリニックを経営している医師のほうが年収が高い傾向にあることがご理解いただけるでしょう。しかし、大きな病院とクリニックでは担っている役割や働き方の自由度、必要とされる専門性、責任者にかかる重圧などが異なるということも頭に入れておくことが大切です。
内科医が年収を増やす方法
「今の年収に満足していない」「より収入の高い場所で働きたい」という場合はどうすれば良いのでしょうか。ここからは、実際に内科医が年収を増やす方法として代表的なものを紹介していきます。
- 開業で年収が増える?
- 内科医としての経験を積み、「診療スキルに自信がついてきた」「専門性を生かしたい」と考えている方であれば開業をするのがおすすめです。勤務医よりも年収が高いと言われており、通院する患者さんが増えれば増えるほど年収も増えていきます。また、自分の理想とする方針で仕事を進められることや、患者さんとの距離が近いこと、職場での人間関係におけるトラブルが少ないことなどがメリットとして挙げられます。
一方で、思うように収入が得られなかった場合のリスク管理や、医院を存続させるための経営知識、近隣病院へ患者さんを紹介するためのネットワークを備えておくことが重要です。
- 民間の医療機関への転職で年収が増える?
- 大学病院や国公立病院で勤務している場合は、民間の医療機関に転職することで年収アップが見込めます。大学病院などは研究や医師教育といった非採算性業務も多く行っており、利益率をそこまで重視していないため給与が少ない傾向にあります。医療法人などを掲げている民間の内科であれば、利益追求が強いため、これまでよりも高い収入を得ることができるでしょう。
- アルバイトで副収入を得ることができる?
- 「職場を変えずに年収を上げたい」「開業するにはまだ早い」という場合には、現在の職場で働きながらほかの病院やクリニックで非常勤として働く方法やアルバイトをする方法などもあります。大学病院の医師のほとんどはアルバイトによって収入の不足分を補っており、医師がアルバイトをすることは珍しくなく、都市部であれば求人も豊富です。特に内科の医師はニーズが高いため、効率的に収入アップを目指すことができるでしょう。また、アルバイトには、自身のスキルアップにつながったり新たな視点を得られたりできるというメリットもあります。
編集部まとめ
今回は、内科医の年収についてまとめました。ただ、年収だけに目を向けるのではなく、その働き方が自分にあっているか、内科の医師としてやりがいを感じられるかを意識することも大切です。ぜひ今回の記事を参考に、ご自身の今後の働き方を見つめ直してみてください。