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医院とクリニックの違いは?名称をつける際のよくある疑問についても解説

                   
投稿日: 2024.04.03
                   

開業をする際に、よくある悩みの一つがクリニックの名称です。

  • 医院とクリニック、どちらの名称を使えばいいの?
  • 診療科はクリニックの名称に入れた方がいいの?
  • 最近、地名がついた名称も多いけどなにがいいの?

このような、悩みや疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

通常、一度決めたクリニックの名称を変更することはありませんので、後悔しないためにも、よく考え慎重に決めたいものです。

この記事では、

  • 医院とクリニックの違いに関する疑問
  • 病院の名称は付けてもいいのか
  • 名称をつける際のよくある疑問

これらについて解説します。

医療機関の名称は広告規制の対象にもなりますので注意も必要です。

本記事が納得できる名称決定の参考になれば幸いです。

医院とクリニックの違いに関する疑問

医院とクリニックの違いに関する疑問
医院とクリニックの違いはなんですか?

医院とクリニックの名称に法律的な違いはありません。

呼び方の違いだけで同じものを指しています。

医療機関の名称に用いる際、一般的に「医院」は、地元地域に根付いて診療を行う、生活者に親しみある印象を与えることができます。

その一方で「クリニック」は、最近開業した比較的「新しい医療機関」の印象を与えることができるでしょう。

診療所との違いはなんですか?

診療所は、医院とクリニックと同様に、呼び方の違いだけで同じものを指しています。

実は、医療法では「診療所」のみの言葉が明記されており、医院やクリニックについては記載がありません。

下記が「医療法第1条の5」の原文です。

この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。

引用:医療法|e-Gov法令検索

つまり、入院設備がない、もしくは、あったとしても19人以下しか入院できない医療機関は、診療所に分類されます。

医療法の記載に準ずるなら、医院やクリニックより「診療所」の名称の方が正しいと言えますが、近年ではクリニックの名称を使う診療所が増えています。

病院と診療所(医院・クリニック)の違いに関する疑問

病院と診療所の違いはなんですか?

医療法にて、入院設備、医療従事者の人数、診療行為の役割によって、病院と診療所の違いが定義されています。

  • 病院は20人以上の入院設備がある、診療所は無床もしくは19床以下
  • 医師や看護師などの医療従事者の人数が定められている
  • 病院では医師1人当たりの診療できる患者数が定められている
  • 役割の違い。病院は外傷や急性疾患、手術や入院が必要な治療を担う
実施できる診療内容に違いはありますか?

一部特殊な診療以外は、病院も診療所も実施できる医療行為に法律的な制限はありません。

ただし、先ほど紹介したように、入院や治療に必要な医療機器など、設備の違いから、診療所では実施が困難な医療行為はあります。

診療所に「病院」の名称をつけてもいいですか?

診療所に「〇〇病院」といった名称をつけることはできません。

これは、医療法第3条の2で、病院の定義に該当しない診療所は「病院」「病院分院」と紛らわしい名称を使ってはならないと定められています。

医院・クリニックの名称をつける際のよくある疑問

医院・クリニックの名称をつける際のよくある疑問
名称をつける際の注意点を教えてください。
  • 地域住民が覚えやすく親しみのある名称にする
  • インターネットで検索されやすい名称にする
  • クリニックの特徴がわかりやすい名称にする
  • 医療法や医療広告ガイドラインを遵守した名称にする
  • 保健所や医師会に事前相談をする

名称をつける際には「集患の視点」と「規制の遵守」がポイントになります。

最近では、スマホで検索してクリニックを探す患者さんが圧倒的に多い傾向にあります。インターネットで検索されやすい名称、例えば「地名+診療科」なども選択肢として考慮することは必要でしょう。

覚えやすく、やわらかい印象を持ってもらうために、「ひらがな」を使用するクリニックも増えています。「地名+院長名+診療科」ですと、漢字が続き堅い印象になってしまうので、それを避けるためにも、ひらがなの使用も検討しましょう。

医療広告の規制にも注意が必要です。

医療広告は、一般的な広告よりも厳しく規制されているため、医療法や医療広告ガイドラインに遵守した名称にしなければなりません。

診療科目の名称をつけた方がいいですか?

診療している内容がわかりやすいので、診療科名をつけるクリニックは多いようです。

ネット検索のキーワードにもよく入るため、検索結果にヒットさせる狙いで、診療科名はクリニック名称に入れておくといいでしょう。

最近では、標榜する診療科名にも変化がでてきています。

  • 小児科 → こどもクリニック
  • 婦人科 → レディースクリニック
  • 皮膚科 → スキンクリニック
  • 眼科  → アイクリニック

上記のように、時代や開業地域の雰囲気に合った名称にすることも大切です。

名称をつける際の規制やルールはありますか?
  • 医療法
  • 医療広告ガイドライン
  • その他、所轄の保健所や医師会の規制

これらの法律と規制は必ず遵守しましょう。

医療法では、診療所が病院と勘違いする紛らわしい名称をつけることを規制しています。

診療所なのに「〇〇病院」とつけることはできません。

また、医療広告ガイドラインでは、比較優良や誇大広告が禁止されています。

例えば、「最先端クリニック」「ノーペインクリニック」などは、ほかのクリニックとの比較や最上といった誤解をまねく表現になるので使用できません。

名称が規制に抵触していないか気になる場合は、所轄の保健所に相談することをおすすめします。

地域によっては、

  • 原則として開設者の氏名を名称に用いること
  • 地名をクリニックの名称に用いることは認めない
  • 周囲の医療機関と混同するような名称は認めない

など、保健所や医師会で地域特有の制限があります。

せっかく考えた名称が規制の対象だったとならないように、事前に保健所に相談するようにしましょう。

編集部まとめ

この記事では、医院とクリニック、診療所は病院となにが違うのか。また、医療機関の名称をつける際のよくある疑問について解説してきました。

クリニックの名称は、開業後の集患や増患に大きく影響しますので、法律や規制と合わせてよく検討することが大切です。

後悔のない名称を決める一助として、本記事が参考になれば幸いです。