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クリニック開業の成功は立地が7割⁉ 選び方のポイントを解説

                   
投稿日: 2024.10.08
                   

どんなに腕の良い医師がいるクリニックでも、最新の設備を取り揃えているクリニックでも、立地が悪ければ患者さんからの認知度が低く、集患数が伸び悩む可能性があります。立地は経営の成功に大きな影響を与える要因の一つであるため、診療圏調査をしっかりと行い、慎重に選ぶことの重要性は言うまでもありません。

この記事では、クリニック開業の立地選びで、チェックしておくべきポイントを解説します。

クリニック開業を成功させる立地選びのポイント

クリニック開業を成功させる立地選びのポイント
クリニック開業を成功させる立地選びのポイントを教えてください。

立地を選ぶ時のチェック項目は次のとおりです。 

  • 交通アクセスの良さ
  • 駐車場の確保
  • ターゲット患者層の需要が高いエリア
  • 競合のクリニックが近くにどれくらいあるのか

    

患者さんが通いやすいように、電車やバスなどの公共交通機関のアクセスが良い場所を選ぶことがポイントです。特に駅やバス停から徒歩圏内であることは、患者さんにとっての利便性が高まり、通院のしやすさで再診率アップが期待できるでしょう。

また、人通りが多い道に面した物件はクリニックの存在を認知してもらいやすく、集患しやすいというメリットがあります。

車で通院する患者さんにとっては、駐車場の有無も非常に重要です。特に郊外や車社会の地域では、十分な駐車スペースを確保することで、患者さんの来院が促進されます。

クリニックの専門分野に合った患者層が多く住んでいる、または通勤・通学で利用するエリアを選ぶことも大切です。人口密度、年齢層、家族構成などのデータを基に、潜在的な患者数を判断します。

さらに近隣に同じ診療科目のクリニックが少ないか、競合が多くても自院が差別化できるポイントがあるかを考慮する必要があります。同じエリアに多数の競合があると、新規の患者さんを獲得するのが難しくなります。

診療科目によって立地の選び方は異なりますか?

診療科目によってターゲットの患者層が異なるため、それぞれに適した立地があります。

一般内科は、患者さんの自宅や職場の近くが選ばれる場合が多いでしょう。公共交通機関の駅の近くや住宅街、オフィスが多いエリアやオフィスビル内といった場所がおすすめです。

小児科は、ファミリー層が多く住む住宅街やマンションなど、子どもが多いと考えられるエリアが良いでしょう。ベビーカーでも来院しやすいように、なるべく1階で広い入り口が確保できる物件が理想的です。駐輪場、駐車場のスペースも確保しましょう。

精神科や心療内科、不妊治療を行う婦人科、美容外科などの、患者さんが通院を人に見られたくないと感じやすい診療科の場合は、大通り沿いを避け、ビルの2階以上を選ぶと良いでしょう。

クリニック開業における都市圏と地方の違い

クリニック開業における都市圏と地方の違い
都市圏に開業するメリット・デメリットを教えてください。

都市圏に開業するメリットとしては、公共交通機関が発達していて立地が良いエリアが多い、スタッフを募集した時に応募が集まりやすいといった点が挙げられます。

一方デメリットとしては、競合が多く新規参入のリスクが高い、開業の初期費用や人件費などのコストが高くなりやすいといったことが挙げられます。

地方に開業するメリット・デメリットを教えてください。

競合が少なく集患が見込みやすい、開業の初期費用などのコストが全体的に低めである点が地方に開業するメリットでしょう。

デメリットとしては、患者さんやスタッフが来院・通勤の際の交通の便が悪いということが考えられます。高齢化や人口減少など、エリアそのものに将来性があるかどうか慎重に考える必要があるでしょう。

診療科目やターゲットとなる患者さんの年齢や性別や属性といった条件を考慮し、じっくりと開業エリアを検討することが大切です。

クリニック開業の立地選びに必要な診療圏調査とは?

クリニック開業の立地選びに必要な診療圏調査とは?
診療圏調査とは何ですか?

診療圏とは、医療機関が提供する医療サービスの対象となる地理的範囲のことを指します。

診療圏調査とは、1日あたり何人の患者さんが来院する見込みか(推定患者数)を確認するために行う、立地条件や地域の医療ニーズを分析するための調査です。

推定患者数は、以下の式で求められます。

推定患者数 = 診療圏内の人口 × 該当診療科の受療率 × 競合補正係数

その他、自治体のホームページの統計情報などで、診療圏内の男女比や年齢層なども調べましょう。また、調べるだけでなく、実際に開業候補地へ足を運ぶことも重要です。

  • 平日や休日、日中や夜間における人の流れ
  • エリアの雰囲気
  • 最寄り駅から実際に歩いた経路

といったことを自分の目でチェックしましょう。実際に足を運ぶことで、調べただけではわからなかったことがわかるかもしれません。

診療圏調査の調査方法を教えてください

診療圏調査は、基本的に以下の手順で行います。

  1. 開業候補地を挙げる
  2. 開業候補地の周辺エリアを「診療圏」に設定する
  3. 診療圏内にある競合数をチェックする
  4. 統計情報を元に診療圏内の人口を把握する
  5. 推定患者数を算出する

調査の前提条件となるため、まずは開業候補地を決定します。

次に、該当する診療科目の診療圏を設定します。具体的には、開業候補地を円の中心と仮定して一般内科は半径240〜300m、耳鼻科や皮膚科などの急を要する患者は少ないが定期的に通院が必要な診療科目は、都市部なら半径500m~1kmを目安とすると良いでしょう。

診療圏を設定したら、診療圏内に競合となる医療機関がいくつあるかチェックします。山や川、高速道路を含んでいる場合、そこから先のエリアは除外するのがポイントです。

その際、競合のクリニックの口コミも忘れずに確認しましょう。インターネット上でも確認できますし、実際に足を運んだ際に自分で聞き込みをしてもいいでしょう。近隣に住んでいる住民の様子や雰囲気も確認できます。

診療圏内の人口は、自治体がサイトなどで公表している統計情報などを参照します。オフィス街なら昼間の人口、住宅地なら居住人口を考慮する必要があります。最後に、推定患者数を、基本式によって算出します。

編集部まとめ

クリニック開業の立地は、診療圏調査を行い慎重に選ぶ必要があります。都市圏と地方、どちらにもメリット・デメリットがありますが、いずれにしても交通アクセスの良さや競合クリニックの件数、ターゲット患者層の需要などを考慮することが大切なポイントです。

自分で足を運んで診療圏調査を行い、正確な推定患者数をしっかりと把握するようにしましょう。