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調剤薬局はどこがおすすめ?医院経営を支えるパートナー選び|調剤薬局10選を紹介

                   
投稿日: 2025.10.17
更新日:2025.11.13
                   

調剤薬局は処方箋の対応にとどまらず、患者さんの健康を継続的に支援し、地域医療を支える存在です。近年は電子処方箋やオンライン服薬指導の普及により、医院経営の効率化や患者満足度の向上にも直結するパートナーとなっています。本記事では、調剤薬局を選ぶ際に押さえるべき視点と近年の取り組みを整理し、信頼できる10社を紹介します。

患者さんから選ばれる調剤薬局とは?

患者さんから選ばれる調剤薬局とは?

調剤薬局は単に処方箋に基づいて医薬品を渡す場ではなく、患者さんが信頼して通える、かかりつけとしての役割が求められる時代になっています。医師と薬剤師、患者さんの三者が信頼関係を築き、健康を継続的に支援できる体制があるかどうかが、選ばれる調剤薬局の大きな基準です。本項目では、調剤薬局の従来型薬局との違いと地域医療での重要性を整理します。

従来型調剤薬局との違い

従来の調剤薬局は、処方箋を受け付けて薬を調剤し、交付することが中心でした。しかし現在は、服薬指導や副作用のチェック、生活習慣に関するアドバイスなど、より幅広いサービスが求められています。特に電子処方箋やオンライン服薬指導の普及により、薬局は情報管理やデータ連携の拠点としての役割も担うようになりました。薬剤師が患者さんの背景や既往歴を把握し、きめ細かなフォローを行える薬局は、患者から選ばれる存在として定着していきます。

地域医療における調剤薬局の重要性

高齢化の進行に伴い、地域包括ケアシステムのなかで調剤薬局の存在感はますます高まっています。患者さんが自宅で療養する在宅医療の場合でも、薬剤師が訪問し服薬管理を支援するケースが増加しています。さらに、健康サポート薬局として、検査機器や健康相談を提供する薬局も増えており、単なる薬の受け渡しを超えた役割も果たしています。こうした取り組みは医院にとっても大きなメリットであり、地域住民から信頼を集める薬局との連携により、医院の評価や経営の安定にもつながります。

調剤薬局のイマ

調剤薬局のイマ

調剤薬局を取り巻く環境はここ数年で大きく変化しています。従来は処方箋を受け付け、薬を渡す場所としての機能が中心でしたが、現在はデジタル技術や制度改革によって役割が拡張しています。オンライン服薬指導や電子処方箋、予約システムやセルフレジの導入、さらにはかかりつけ薬剤師制度や健康サポート機能など、多面的に進化しているのが今の調剤薬局の姿です。本章では、主要な3つのトピックを整理します。

オンライン服薬指導・電子処方箋の普及

新型コロナウイルス感染症の流行を契機に、非対面での服薬指導や電子処方箋の普及が一気に加速しました。患者さんは自宅からスマートフォンを通じて薬剤師の指導を受けられ、処方箋情報も電子的に共有されるため、来局時の待ち時間や紙のやり取りが大幅に削減されます。電子処方箋の導入は、薬剤の重複投与や相互作用の確認などの信頼性の強化にも直結します。今や、オンライン対応しているかどうかが、薬局を選ぶ際の新しい基準となりつつあります。

待ち時間短縮のための予約・セルフレジ導入

調剤薬局の大きな課題の一つが待ち時間です。患者満足度を左右する要素であり、待ち時間短縮の取り組みは各薬局で進んでいます。代表的なのが、処方箋の事前予約システムとセルフレジの導入です。予約システムを使えば、患者さんが来局前に処方情報を送信でき、薬剤師は事前に調剤を進められます。また、会計業務のセルフレジ化により、薬剤師や医療事務スタッフの業務負担を軽減し、窓口の混雑緩和にもつながります。効率化と利便性を両立させる仕組みづくりが進んでいます。

かかりつけ薬剤師制度と健康サポート機能

2016年に創設されたかかりつけ薬剤師制度により、薬剤師が患者さん一人ひとりの服薬履歴や生活背景を把握し、継続的に支援する体制が広がっています。かかりつけ薬剤師は、24時間対応や在宅訪問にも関わり、地域住民にとって頼れる存在です。また、国が認定する健康サポート薬局では、血圧測定や禁煙支援、栄養相談など、健康づくりを支援する機能も提供されています。薬局は単なる医薬品の提供場所から、地域の健康ステーションへと進化しています。

調剤薬局を選ぶ際の注意点

調剤薬局を選ぶ際の注意点

調剤薬局はどこも同じに見えがちですが、実際には対応力やサービス水準に大きな差があります。自院の患者さんが信頼して利用でき、経営面でもプラスになる薬局と連携するためには、複数の視点からの比較検討が欠かせません。本項目では、立地やアクセスだけで選んでしまうリスクや、薬剤師の専門性、さらにはシステム投資とコストのバランスの3つの観点から注意点を整理します。

立地やアクセスだけで判断しない

患者さんにとって通いやすい立地は重要ですが、それだけで薬局を選んでしまうのは不十分です。アクセスがよくても、待ち時間が長かったり、対応できる医薬品の範囲が限られていたりすれば、患者満足度は低下してしまいます。立地条件とあわせて、薬局の体制や提供サービスの幅広さを確認しましょう。

薬剤師の専門性や対応力の確認

調剤薬局の質を左右する要素は、薬剤師の専門性と対応力です。処方箋どおりに薬を渡すだけでなく、相互作用や副作用のチェック、服薬指導、生活習慣改善へのアドバイスなど、多面的な支援ができるかどうかがポイントになります。かかりつけ薬剤師として継続的に患者さんをサポートできる体制があるかも確認しておきましょう。

システム投資とコストのバランス

調剤薬局では、電子処方箋やオンライン服薬指導、セルフレジなどの導入にコストを投じています。こうしたシステム投資は薬局にとって負担ですが、その分、患者さんの待ち時間短縮や業務効率化につながります。大切なのは、どの程度システム投資を行っている薬局かと、その効果のバランスを見極めること です。新しいシステムを備えていれば患者満足度は高まりやすく、逆に投資が不十分だと利便性が損なわれる可能性があります。調剤薬局選定の際は、自院の患者層や診療スタイルに合う水準の投資をしている薬局かどうかの確認が重要です。

調剤薬局

ここでは、全国のクリニックや病院と連携実績を持つ大手の調剤薬局を10社紹介します。それぞれの薬局には、地域密着型として在宅医療やかかりつけ対応を強みとするところ、新しい電子処方箋やセルフレジを導入して利便性を高めているところなど、特色があります。選定にあたっては、立地や規模だけでなく、薬剤師の専門性やサービス水準、システム対応力にも注目するとよいでしょう。

アイングループ|株式会社アインホールディングス

アインホールディングスは、調剤薬局業界で大手の地位を築く企業です。全国に1,200店舗以上を展開し、広域ネットワークを活かしてさまざまな医療機関と連携しています。同社の薬局では、医薬品の提供に加え、患者さんに寄り添った情報サービスも行っているのが特徴です。また、ITシステムを活用して服薬情報や薬歴を一元管理しており、連携するクリニックにとっても信頼性の高い服薬支援が期待できます。特に複数の診療科から処方箋が集まる医療モール内の薬局や、広域の患者さんを受け入れる大規模病院前の薬局などに適しています。

日本調剤|日本調剤株式会社

日本調剤は、全国に約795店舗(2024年3月末時点)を展開する大手調剤薬局チェーンです。電子お薬手帳をはじめとする医療IT化を推進し、質が高い薬剤師によるサービス提供に注力しています。薬局では、薬歴管理にITインフラを積極的に活用しており、連携するクリニックにとっては処方箋情報の一元管理や事務作業の効率化が期待できます。また、ジェネリック医薬品の普及にも力を入れており、薬剤コストの適正化も支援しています。特にIT化を積極的に進めたいクリニックや、費用対効果を重視する診療方針を持つ医院に適しています。

クオール薬局|クオールホールディングス株式会社

クオールホールディングスは、Quality of Life(生活の質)の実現を掲げ、全国に約1,000店舗を展開しています。患者さんのQOL向上を重視し、かかりつけ薬局や健康サポート薬局の機能強化を積極的に推進しています。また、地域の医療機関や自治体との連携にも力を入れており、地域包括ケアシステムの構築に貢献しています。さらに、在宅医療や訪問看護などの取り組みにも注力しているため、クリニックとの協力体制を広げやすい基盤を持っています。特に地域とのつながりを深めたいクリニックや、薬の提供だけでなく健康相談を含む幅広いサポートを求める医院に適しています。

なの花薬局|株式会社メディカルシステムネットワーク

なの花薬局を運営するのは、株式会社メディカルシステムネットワークです。同社は、地域住民の健やかな暮らしへの貢献を企業理念として掲げています。地域密着型の薬局運営に加え、医薬品ネットワークを活用した薬局経営支援サービスを提供していることが特徴です。クリニックが連携すれば、グループのサプライチェーンを活かした安定的な医薬品調達や経営支援などのメリットを享受できます。また、地域医療とのつながりを強化しやすい仕組みを持つため、地域包括ケアへの貢献を重視するクリニックや、薬局経営のサポートも含めて連携したい中小規模の医院に適しています。

ユニスマイル薬局|株式会社ユニスマイル

ユニスマイル薬局は、医薬品流通大手スズケングループの株式会社ユニスマイルが展開しています。同社はグループの流通網と知見を強みとしています。全国26都道府県に展開し、在宅患者支援や地域連携薬局の機能強化を推進していることが特徴です。同社の薬局では、疾患ごとの専門薬局の取り組みや、かかりつけ薬剤師による継続的な健康サポートにも注力しています。連携により、スズケングループの流通網を活かした安定した医薬品の供給体制と、迅速な薬剤提供が期待できます。特に在宅医療や多岐にわたる専門治療を行うクリニックに適しています。

ファーマみらい|東邦ホールディングス株式会社

ファーマみらいは、東邦ホールディングスグループの中核企業の株式会社ファーマみらいが展開しています。医療DXの推進による患者さんへの利便性と正確性向上への注力、かかりつけ薬局や地域連携薬局の機能強化が特徴です。同社と連携することで、東邦ホールディングスグループの供給体制を活かした安定的な医薬品供給が期待できます。また、医療DXにより、薬歴情報や処方内容の安全かつ円滑な共有も可能です。特に電子処方箋や医療DXに積極的に取り組むクリニックや、在宅医療を含む地域医療連携を重視するクリニックに適しています。

アイセイ薬局|株式会社アイセイ薬局

株式会社アイセイ薬局が運営しているアイセイ薬局は、全国に広範なネットワークを持つ調剤薬局グループです。おくすり予約サービスやオンライン服薬指導など医療DXを推進し、患者さんの利便性向上に注力しています。また、ヘルス・グラフィックマガジンなどの独自の健康情報プロダクトを展開し、予防医療にも貢献しています。連携により、同社が運営する医師向け開業支援を含む多様な事業連携が可能で、IT活用による薬歴情報の正確かつ円滑な共有も期待できます。特に新規開院を検討しているクリニックや、予防医療への取り組みを重視するクリニックに適しています。

ファーマライズ薬局|ファーマライズホールディングス株式会社

全国に広範なネットワークを持つ調剤薬局のファーマライズ薬局は、ファーマライズホールディングス株式会社が運営しています。調剤薬局事業に加え、物販やクリニック開業支援、医学資料保管、管理事業など、多角的な事業展開を行っており、地域でのかかりつけ薬剤師の推進にも注力していることが特徴です。免疫抑制剤取扱店の情報公開など、専門的な分野への対応力も有しています。連携により、同社が持つクリニック開業支援のノウハウ活用や、事業継承に関する相談が期待できます。特に新規開業を検討しているクリニックや、専門性の高い診療科を持つクリニックに適しています。

たんぽぽ薬局|株式会社トーカイ

たんぽぽ薬局は、病院関連サービスや介護用品レンタルなどを行う株式会社トーカイが展開する事業の一つです。グループの広範な医療、介護サービスとの連携を前提とした運営が特徴です。調剤機能に加え、リネンサプライや業務支援、在宅介護サービスなどの周辺事業との高い親和性を持っています。連携により、薬の提供だけでなく、病院や介護現場の運営サポート、介護用品レンタルなど、グループが持つ多様なサービスを活用でき、医療機関のトータルサポートが期待できます。特に介護施設や在宅医療との密接な連携を重視するクリニックや、グループの総合的な医療、介護サービスの利用を検討するクリニックに適しています。

SHIPヘルスケアグループ薬局|シップヘルスケアホールディングス株式会社

シップヘルスケアホールディングスは、病院の設計や建設から医療機器、サプライの供給、介護、福祉まで手がけるトータルプロデュース企業です。同社が運営する調剤薬局は、総合病院周辺を中心に約130店舗を展開しています。店舗数の拡大よりも服薬指導や品質管理の質を高めることに注力しており、品質日本一を目指していることが特徴です。連携により、介護福祉施設を運営するグループ会社との連携など、医療環境全体を視野に入れた複合的なサポートが期待できます。特に在宅・オンライン調剤の導入を検討するクリニックや、広範囲な医療周辺事業との連携を求めるクリニックに適しています。

調剤薬局と連携するメリット

調剤薬局は単に医薬品を提供するだけでなく、医院経営を支える重要なパートナーとなり得ます。患者満足度の向上や地域医療での信頼性の確保、さらにはスタッフの負担軽減などの効果は、医院にとっても見逃せないポイントです。本項目では、調剤薬局との連携によって得られる具体的なメリットを解説します。

患者さんのリピート率向上

調剤薬局との円滑な連携により、処方から服薬指導、会計までの流れがスムーズになり、患者さんにとって利便性の高い体験が実現します。待ち時間の短縮や丁寧な服薬フォローは信頼感につながり、再来院やリピート率の向上を後押しします。患者さんにここなら信頼できると感じてもらうことが、医院の安定経営にも直結します。

地域医療連携による信頼性アップ

かかりつけ薬剤師制度や健康サポート薬局の広がりにより、調剤薬局は地域包括ケアの中核を担いつつあります。医院が信頼できる薬局と連携すれば、地域医療ネットワークの一員として評価され、住民や患者さんからの信頼性が高まります。特に在宅医療や慢性疾患の長期サポートでは、薬局の存在が欠かせません。

業務効率化とスタッフの負担軽減

調剤薬局側で電子処方箋やセルフレジ、予約システムを導入していれば、患者さんの待ち時間が減るだけでなく、医院スタッフの業務も効率化されます。会計処理や処方情報の確認などの事務作業が軽減されるため、スタッフは本来の患者対応や診療補助に専念できます。結果として、医院全体の運営効率が高まり、医療の質の向上にもつながります。

まとめ

調剤薬局は、患者さんの利便性向上から地域医療の信頼構築まで、医院経営を支える重要なパートナーです。選定の際は薬剤師の専門性やシステム対応力を見極め、自院に合う薬局と連携することが大切です。今回紹介した10社を比較し、経営改善と患者満足度向上につながる薬局を検討してみましょう。信頼できる薬局との連携は、医院の将来を左右する大きな一歩です。