【開業医向け】クリニック・病院経営に必須の資格|あると役立つ資格についても解説
クリニックの開業を考える際に、病院経営に必須の資格とはなにか?または、あらかじめ取得しておくことで経営に役立つ資格はあるのか?このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。なにも知らずに開業をしてしまい、後々取得しておいたほうが良かったと、後悔することはできるだけ避けたいものです。
本記事では、
- 病院経営に必須の資格とは?
- あらかじめ取得しおくと役立つ資格
- 具体的なメリットと取得方法
これらについて解説します。
開業準備中の方や将来開業を考えている方にとって、後悔のない開業準備の参考になれば幸いです。
目次
クリニック・病院経営の資格に関する疑問
- クリニック・病院経営をするのに必須資格はありますか?
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必須の資格は医師免許のみとなります。
仮に経営者が医師免許を持っていなかったとしても、医師または歯科医師の免許を持つ者が病院の管理者となれば、開業をすることができます。
- クリニック・病院経営で持っていると役立つ資格を教えてください。
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クリニックや病院経営をするにあたり、下記の資格を持っていると役立つ場面があるでしょう。
- 病院経営管理士
- 医療経営士
- 医業経営コンサルタント
- 防火管理者
これらの資格は、経営に必要な財務管理やマネジメント、マーケティングなどに関する知識とスキルの習得が期待できます。
その他にも、ファイナンシャルプランナーや簿記の資格は、基本的な金融知識、売上管理や帳簿付けをするのに役立つため、取得する医師が増えてきています。
【病院経営管理士】に関する疑問
- 病院経営管理士はどんな資格ですか?
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病院経営管理士は、一般社団法人日本病院会の認定資格で、資格保有者数は956名(2023年時点)になります。
病院経営をするうえで必要な、医療機関に特有の管理能力や、従業員のエンゲージメントを高めるマネジメントを学ぶことができる資格です。
- 資格を持つメリットを教えてください
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- 医療機関の経営に関する知識を幅広く習得できる
- コンサルティング業務に従事する際に専門性を示せる
- 経営者同士の交流が広がるので有益な情報を得る機会が増える
- 資格の取得方法を教えてください
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病院経営管理士通信教育を2年間受講し、5つのカリキュラム内にある全39科目を修了すると資格を取得できます。
<5つのカリキュラム>
- 医療関連科目
- 経営管理科目
- 経営管理演習
- 特別講座
- 卒業論文
【医療経営士】に関する疑問
- 医療経営士はどんな資格ですか?
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医療経営士は、一般社団法人日本医療経営実践協会の認定資格で、1級から3級までの3段階に分類されています。
医療機関の経営をサポートする戦略立案や財務管理、人材管理、医療サービスの質の向上など、広範な分野に関する知識があることを証明する資格です。
- 資格を持つメリットを教えてください
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- 医療機関の経営に関する知識を幅広く習得できる
- 1〜3級までのレベルに分類されているので必要に応じた知識習得ができる
- 医療経営に関わる情報感度が高くなる
- 資格の取得方法を教えてください
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医療経営士資格認定試験に合格することで、資格が取得できます。
2、3級の試験は、医療経営に関する知識をマークシートにて回答します。1級の試験は、筆記試験に加えて口頭試問や個人面接があります。
まずは、誰でも受験可能な3級から検討をしてみるといいでしょう。
<受験資格>
- 3級は「誰でも受験可能」
- 2級は「3級合格者かつ、日本医療経営実践協会の正会員」
- 1級は「2級合格者かつ、日本医療経営実践協会の正会員」
【医業経営コンサルタント】に関する疑問
- 医業経営コンサルタントはどんな資格ですか?
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医業経営コンサルタントは、公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会が認定する資格で、行政機関の認定登録もされています。
先に紹介した資格とは異なり、資格取得後も継続研修が義務付けられています。
医業に関わる最新の知識やスキルを継続習得できるため、資格を取得しようとする医師が増えています。
- 資格を持つメリットを教えてください
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- 資格取得後も継続研修があるため知識や技能をアップデートできる
- 医業経営について体系的に学ぶことができる
- 自院の経営だけでなく他院の経営コンサルできる技能が身につく
- 資格の取得方法を教えてください
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医業経営コンサルタントの資格は下記の手順で取得することができます。
- 協会の指定講座を受講(計17.5時間)
- 一次試験(筆記試験)に合格する
- 二次試験(論文審査)に合格する
- 医業経営コンサルタント協会の正会員になる
- 取得後の継続研修として3〜4年で100時間の研修履修が必要
【防火管理者】に関する疑問
- 防火管理者はどんな資格ですか?
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防火管理者は、建物や施設の火災予防と安全管理に関する責任者です。
収容人数が30人以上の建物である場合、必須で選任することが消防法で定められています。
防火管理者は、経営者や医師ではなく、スタッフなどの職員でも問題はありません。しかし、スタッフは退職するリスクもあるため、経営者や医師が資格を取得しておいた方が、後々、あわてて取得し直すこともなくなります。
そのため、通常、開業前に経営者または医師が取得するクリニックが多いようです。
- 資格を持つメリットを教えてください
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- 開業前に経営者が取得しておけば、職員の入替えにも対応できる
- 安全管理の実務を行うので、有事の際にも適切な対処ができる
- 資格の取得方法を教えてください
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防火管理者の資格を取得するには、一般財団法人日本防火・防災協会が実施する、防火管理講習(おおむね10時間)を受講する必要があります。
受講後「防火管理選任届」と「消防計画書」などの必要書類を届ければ取得ができます。
参考:一般財団法人日本防火・防災協会|防火・防災管理講習
編集部まとめ
この記事では、クリニックを開業する際に必要な資格、開業前に取得しておくと役立つ資格について解説しました。
クリニックの開業に必須の資格は、医師免許のみです。
しかし近年、クリニックは増加傾向にあり、インターネットの情報や口コミから、患者さんがクリニックを選択する時代となっています。
このような状況で、病院経営を成功させるには、経営に関する深い知識や専門的なスキルが、強力な武器として役立つことになるでしょう。
ぜひ、ご自身にあった、病院経営の資格取得をご検討ください。