AI問診により変わる医療現場!導入によるメリット・デメリットを解説!
医療業界のデジタル化にともない、AI問診に注目が集まっていることをご存じでしょうか。この記事では、AI問診とWeb問診の違いやAI問診のメリット・デメリット、活用事例などを紹介します。医療機関の開業を検討している方や、すでに医療機関を経営している方はもちろん、患者さんとしてAI問診を使用する予定のある方にとっても参考になる内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
近年注目されるAI問診とは
AI問診という言葉を聞いて、なんとなく想像はできても具体的にどのようなものなのかがわからない方は多いかと思います。そのためまずは、AI問診とはどのようなもので、Web問診とはどのような違いがあるのかを説明します。
AI問診とは
AI問診とは、専用のタブレットもしくはスマートフォンなどを用いて、AIによる問診を行うサービスのことです。AIとはArtificial Intelligence(人工知能)のことであり、、患者さんが選択・記入した内容によってAIが次の設問を判断したり、不要な設問は省略したりすることができます。AIがある程度の診断をすることも可能なため、どの診療科が適しているかを提案してもらえたり、関連する病名や病状を提示してくれたりもします。
AI問診とWeb問診の違い
AI問診という言葉を聞いて、医療機関の予約を行った後にインターネット上で記入する問診票のことをイメージした方もいらっしゃるかと思います。では、AI問診とWeb問診にはどのような違いがあるのでしょうか。AI問診もWeb問診も、タブレットやスマートフォンなどを用いてインターネット上で行う問診であることには変わりありません。違いとしては、AI問診は前述したように回答に応じて質問内容や提案内容が変化しますが、Web問診の場合は質問内容や選択内容がはじめから決められており、回答に応じて変化するようなことはありません。そのため、Web問診では明らかに関係がないと思われるような設問でも、回答が必要な項目であれば患者さんは回答する必要があり、回答を確認する医療従事者は、すべての回答を確認したうえで想定される病名を予測するという流れになります。また、AI問診に関しては、回答内容が電子化されて医療機関に共有されるため、電子カルテへの入力の手間が省けるというメリットもあります。これは、医療従事者の業務効率化や、患者さんの待ち時間短縮につながります。
AI問診のあるWeb問診システム開発会社
Web問診システムを開発・販売している会社はいくつかありますが、AI問診を導入している会社はまだそこまで多くありません。一例としてご紹介すると、Ubie株式会社が販売を行うユビーAI問診が、代表的なAI問診システムとして知られています。また、株式会社プレシジョンの「今日の問診票」もよく知られており、このシステムは3000の疾患と700の病状を網羅する、本格診療支援システムとなっています。
AI問診システムで人気の「ユビーAI問診」とは
ユビーAI問診は、回答に応じて自動で設問を生成する問診機能とともに、お薬手帳や紹介状を読み取ることで自動転記が可能になるシステムを備えているなど、さまざまな医療業務の負担を軽くしてくれるシステムとして人気です。ここでは、そんなユビーAI問診に関して詳しく説明します。
ユビーAI問診とは
ユビーAI問診は、Ubie株式会社が提供しているAI問診システムです。社内の医師を中心とした医療専門家チームとデータサイエンティストとの協働によって定期的に改善が行われており、検証と改善のサイクルを繰り返すことで、専門的なサービスの提供を可能としています。ユビー AI問診を使用している医療機関は全国に広がっており、そのほかに体調がすぐれない方や受診すべき診療科がわからない方へ向けた「症状検索エンジン ユビー」も月間700万人以上の方に使用されています。
ユビーAI問診ができること
ユビーAI問診では、回答内容によってその後の設問が変化することで、より病状に沿った質問や詳しい診断が可能となります。また、「症状検索エンジン ユビー」では、スマートフォンやパソコンからページにアクセスし、用意された設問に回答していくことで、自身が抱えている症状と関連がある病状を調べることができます。対処法などを提案してもらえるほか、その症状に応じた診療科や近隣の医療機関を調べることも可能です。症状検索エンジン ユビーは無料のサービスとなっており、「症状の名前から調べる」「病気の名前から調べる」「診療科から探す」「スマートフォン問診を利用できる近くの医療機関から調べる」「AI相談窓口に対応した近くの医療機関から調べる」など、多種多様な調べ方ができるという特徴もあります。
AI問診がもたらすメリット・デメリット
AI問診システムの概要や、AI問診システムを使ってできることをご説明しました。ではAI問診システムには実際にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
AI問診がもたらすメリット
AI問診がもたらすメリットとしては、まず患者さんにとっては「問診票の記入を、時間や場所を問わずに行えること」「診療時の待ち時間を減らせること」が挙げられます。AI問診はスマートフォンやタブレットなどを使ってオンラインで行えるため、自宅や職場にいながら問診を受けることが可能です。手があいた時にさっと対応できるということは、時間を有効に使えるというメリットのほか、じっくりと時間をとれるため記入漏れを防ぐことなどにもつながるでしょう。
また、回答内容はそのまま医療機関に送られ電子カルテに記入されます。そのため、問診表の作成や診療前の問診時間を削減することができ、患者さんにとっては医療機関での待ち時間の短縮につながります。さらに、何かしらの症状はあるものの「どの診療科に行けばいいかわからない」「病院に行くほどの症状なのかどうか自分では判断できない」という場合に、AIがその判断を手助けしてくれる点も特長です。医療機関を探す手間が省けたり、自己判断で症状を放置して病気の発見が遅れるといったデメリットを防ぎやすくなったりと、いくつものメリットがあります。
医療機関にとっては、前述したような問診・カルテ記入にかかる時間を減らせることのほか、それにより業務効率を大きく改善できることが大きなメリットとなっています。一般的に問診から紙カルテへの記入にはある程度の時間がかかるため、問診を終えた後もカルテへの記入を続ける必要があります。しかし、AI問診を活用すれば、診察中に必要事項の記入を終えられるため、診療が可能な患者数も増えると考えられます。さらに、より細かく問診と記入が行えることもメリットとなっています。紙カルテの場合、記入できる範囲が限られていることから、基本的な内容を記入するのが一般的ですが、AI問診であればそのような制限がないため詳細に問診・記入をすることができます。これは、より適切な医療の提供にもつながっています。
AI問診がもたらすデメリット
メリットがある一方で、当然ではありますがデメリットも存在しています。その一つが、スマートフォンやタブレット、インターネットなどが不慣れな患者さんにとっては使いづらく、記入に時間がかかってしまうということです。基本的な設問が用意された簡易的なWeb問診とは違い、AI問診では患者さんの回答内容によって設問が自動生成されていきます。そのため、設問数が増え、問診票記入に時間がかかることもしばしばです。そのような状態で、さらに不慣れなデジタル操作を行わなければならないとなると、負担が大きくなってしまう人もいるということを頭に入れておきましょう。
AI問診の導入事例
ではここからは、実際にAI問診を導入した医療機関の声を紹介させていただきます。まずは、AI問診を導入したことにより、業務がどのように変化したのかという事例についてです。
問診時間が大幅短縮
まずご紹介するのは、沖縄県にある医療機関の看護師の事例です。この病院では、新型コロナウイルスの感染拡大以降、発熱診療を希望する患者数が爆発的に増え、看護師の手が足りていない状況でした。その当時は発熱診療を専門に問診を行う看護師やスタッフを10名ほど立て、電話で対応していましたが、それでも間に合わない状況だったといいます。そこで導入したのがAI問診です。これにより、問診スタッフを10名から2名にまで減らすことができ、大幅な業務効率化を可能にしました。問診対応に時間がとられていたスタッフが本来の業務に時間をさけるようになったことで、残業時間も減り、人件費も削減できるようになったとのことです。また、それに伴って診療時の待ち時間が減ったことで、患者さんからのクレームも減っていったといいます。
業務の効率化に大きく貢献
次に挙げる事例は、熊本県の病院の事例です。この病院では、AI問診を導入するまでは事務スタッフが紙の問診表を使って問診を行っていました。しかし、医師や看護師ではなく事務スタッフが問診を行っていたため、情報量や正確性に不安があり、事務スタッフの問診後に再度看護師が問診を行うこともあったといいます。そこで導入したのがAI問診です。膨大なデータが蓄積されているAI問診システムを使うことで、情報量や正確性といった不安や、それにともなう業務量の増加を解消することを目的に導入されました。そして、その目的は導入後すぐに達成されました。AI問診により詳細な問診を行えるようになったことで、医師にとっては診察時間の短縮ができ、看護師にとっては情報収集が簡単になり、それにより検査や採血などの予測がしやすくなったといったメリットがあったようです。また、医療秘書や事務スタッフからみても、スキャンされた情報提供書や持参薬情報を医師とともに画面上で確認できるため、サポートがしやすくなったというメリットがあったとのことです。
診療の質が向上
最後に紹介するのは、北海道にある病院の事例です。この病院ではもともと、看護師と医師の事務作業補助者の業務負担が大きいこと、患者数が多く待ち時間が長くなってしまっていることが大きな課題でした。その課題を解決するために導入したのがAI問診です。AI問診を導入することで、看護師による問診時間の削減と医師の事務作業補助者の打ち込み時間の削減を期待していました。そして、導入したことで実際にその期待通りの結果となり、業務負担の軽減が実現できました。その結果、患者さんの待ち時間も短縮され、AI問診で事前に頭の中を整理できることで医師との問診では整理された情報を簡潔に話す患者さんが多くなったということです。それによって検査などにより時間をかけられるようになり、診療の質の向上にもつながったそうです。
AI問診の導入時、よくある質問
では最後に、導入を実際に検討している医療機関や医療従事者の方からのよくある質問を紹介します。
導入時の費用
導入時のよくある質問として、料金に関する質問があります。これは、AI問診システムを提供している会社にもよるので一概にはいえませんが、例えばUbie株式会社では、病床数20床未満の医療機関に対して無料のトライアル期間を用意しています。自動的に有料に切り替わるといったことはないため、導入を検討している方は一度トライアルを利用してみるのがおすすめです。また、無料トライアル期間終了後の費用に関しては、問診用のタブレット数やオプションの追加数などによって異なり、月額で設定している会社が多くなっています。
電子カルテとの連携について
ユビーAI問診では、電子カルテにAI問診へのURLリンクをつける簡易的な連携ではありますが、すべての電子カルテとの連携が可能となっています。
対応可能な診療科について
ユビーAI問診は、内科全般の対応が可能となっています。実際に導入されている診療科としては、一般内科・総合内科・総合診療科・救急科・婦人科・整形外科・消化器内科・呼吸器内科・神経内科・循環器内科・泌尿器科・糖尿病内科・内分泌・代謝内科・乳腺外科・膠原病・リウマチ科・皮膚科・アレルギー科・腫瘍内科などがあります。
導入開始までの期間
申し込みをしてから導入までは、医療機関の規模やネットワーク環境によりますが、1〜2カ月ほどが目安となっています。
情報流出の危険性
ユビーAI問診は3省2ガイドラインに準拠したクラウドサーバーを利用しており、情報流出の危険性は極めて低いといえます。
まとめ
近年注目が集まっているAI問診について説明しましたが、参考になったでしょうか。紙での問診表やWeb問診と違い、AI問診では回答内容に合わせた設問が自動で生成されていくことで、より詳細で患者さんの病状にあった問診が可能になり、医療従事者の業務効率化が図れます。医療機関で働いている方は、ぜひ実際のAI問診システムの導入を検討してみてください。