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医院経営に役立つキャッシュレス決済サービスの選び方|キャッシュレス決済サービス10選を紹介

                   
投稿日: 2025.10.10
更新日:2025.11.13
                   

近年は医療機関でもキャッシュレス決済サービスの導入が進み、患者さんの利便性や医院経営の効率化につながっています。本記事では、キャッシュレス決済の基本と医院向けの選び方、導入時の注意点や課題、導入のメリットを整理し、主要10社のサービスを紹介します。自院に適した運用像を描くための指針としてご活用ください。

目次

  1. 1 キャッシュレス決済サービスとは?
  2. 2 医院向けキャッシュレス決済サービスの選び方
  3. 3 キャッシュレス決済を導入する際の注意点と課題
  4. 4 キャッシュレス決済サービスを紹介
  5. 5 キャッシュレス決済サービス導入による医院のメリット
  6. 6 まとめ

キャッシュレス決済サービスとは?

キャッシュレス決済サービスとは?

まずは、キャッシュレス決済サービスの基本的な仕組みや種類を整理し、医療機関が抱える会計上の課題、さらにキャッシュレス化が患者さんの満足度にどのような影響を与えるのかを解説します。

キャッシュレス決済の仕組みと種類

キャッシュレス決済とは、現金を使わずにクレジットカードやデビットカード、電子マネー、QRコード決済などで支払いを完了させる仕組みを指します。近年はスマートフォンアプリを利用した決済が普及し、タッチ決済やモバイルウォレットなど選択肢が拡大しています。医療機関で導入されるサービスも、端末を介して会計システムやPOSと連携し、自動的に入金処理を行えるものが主流です。

医療機関における会計の課題

従来の会計は現金中心で、会計処理や釣銭の準備、レジ締めなどに手間と時間がかかっていました。特に患者数が多い医院では、受付や会計窓口に行列が発生し、待ち時間が長くなることが課題です。また、現金管理の負担や誤差のリスク、未収金の発生も経営上の悩みとなってきました。こうした背景から、キャッシュレス決済の導入は業務効率化と経営安定化の有力な解決策といえます。

キャッシュレス化が患者さん満足度に与える影響

キャッシュレス決済を導入すると、支払いがスピーディーになり、患者さんの待ち時間を短縮できます。また、クレジットカードや電子マネー、QRコードなど多様な決済手段への対応により、患者さんのニーズに合った支払いが可能となり利便性が向上します。さらに高額診療でも現金を持ち歩く不安が解消され、落ち着いて受診できる点もメリットといえるでしょう。結果として、医院のサービス満足度やリピート率の向上にもつながります。

医院向けキャッシュレス決済サービスの選び方

医院向けキャッシュレス決済サービスの選び方

キャッシュレス決済サービスを導入する際は、単に利用できるサービスや費用の比較だけでなく、医療機関特有の業務フローや患者層に合った仕組みを見極めることが大切です。選定時に確認しておきたい4つのポイントを整理して解説します。

対応できる決済手段の幅

クリニックを利用する患者さんの世代やニーズは多様で、現金に加えてクレジットカード、電子マネー、QRコード決済など幅広い決済手段に対応していることが求められます。特に高額診療ではカード決済が好まれる一方、若年層はスマートフォンによるQRコード決済や交通系ICカードを利用する傾向が強いため、多様な支払い方法に対応できるサービスを選ぶと利便性が高まります。

導入コストとランニングコスト

キャッシュレス決済サービスは、端末導入の初期費用や毎月の利用料、決済ごとに発生する手数料など、複数のコストが発生します。費用体系はサービス提供会社によって異なるため、月額固定型か従量課金型かの確認が大切です。導入当初はキャンペーンで費用が抑えられる場合もありますが、長期的なランニングコストを試算し、自院の収支に合うプランを選びましょう。

会計システムや電子カルテとの連携

医療機関でキャッシュレス決済を導入する際に欠かせないのが、既存の会計システムや電子カルテとの連携です。レセコンやPOSと自動的に情報が連携されれば、会計の二重入力を防ぎ、業務効率化とミス防止につながります。特に診療後の会計処理がスムーズに進めば、患者さんの待ち時間短縮にも直結するため、導入前に連携の可否を確認しましょう。

サポート体制とセキュリティ

キャッシュレス決済は日常的に使うインフラであり、端末の不具合や通信障害が起これば診療業務全体に影響します。導入前に提供会社のサポート体制を確認し、トラブル時に迅速に対応できる仕組みがあるかを見極めましょう。また、患者さんのカード情報や取引データを扱うため、セキュリティ基準を満たしているかどうかも判断材料です。信頼して利用できる仕組みを備えたサービスを選ぶことで、医院と患者さん双方にとって利便性の高い運用が可能となります。

キャッシュレス決済を導入する際の注意点と課題

キャッシュレス決済を導入する際の注意点と課題

キャッシュレス決済サービスは利便性や効率化に寄与する一方で、導入にあたってはいくつかの注意点や課題も存在します。費用や利用率の偏り、システムの安定性、スタッフの対応力などを総合的に考慮しなければ、十分な効果を得られない可能性があります。医院が押さえておくべき4つの視点を整理します。

導入コストと決済手数料の負担

キャッシュレス決済には端末の初期費用や月額料金、そして取引ごとの決済手数料が発生します。高頻度で利用されれば利便性は高まりますが、手数料の積み重ねが収益を圧迫する場合もあります。サービス選定時には、複数のプランを比較し、長期的なコストバランスを見極めることが欠かせません。

患者さん層による利用率の違い

高齢の方が多い地域では、依然として現金決済を希望する患者さんも少なくありません。キャッシュレスのみの導入はかえって不便を招く恐れがあります。患者層の特徴を把握し、現金とキャッシュレスを併用できる体制を整えることで、幅広いニーズに対応できます。

システムトラブルや通信障害のリスク

キャッシュレス決済はオンライン環境や端末に依存するため、システム障害や通信不良が発生すると決済が滞るリスクがあります。診療の流れを止めないためには、オフライン時の対応策を決めておくことが重要です。提供会社のサポート体制や復旧スピードも、導入前に確認すべきポイントです。

スタッフ教育と運用ルールづくり

新しい仕組みを導入する際は、受付スタッフがスムーズに対応できるよう教育を行うことが不可欠です。患者さんへの案内方法や返金対応の手順など、トラブルを想定した運用ルールを事前に整備しておきましょう。現場での運用が安定する程、キャッシュレス決済の効果を発揮できます。

キャッシュレス決済サービスを紹介

クリニックや診療所で導入実績のある代表的なキャッシュレス決済サービス10社を取り上げます。各サービスの特徴や対応可能な決済手段、サポート体制を整理しました。自院に適したモデルを検討する際の参考にしてください。

Airペイ|株式会社リクルート

株式会社リクルートが提供する決済サービスで、幅広い決済方法に対応している点が特徴です。クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などをまとめて導入できます。決済端末はiPadまたはiPhoneと接続して使用し、操作がシンプルでわかりやすいです。売上データは自動的に集計され、日々の業務負担を軽減できます。また、導入時の審査はありますが、一度通過すれば複数の決済方法をまとめて利用できます。多様な決済手段に対応したいクリニックに適しており、サポート体制は電話やメールで提供されています。

Square|Block, Inc.

Block, Inc.(旧Square, Inc.)が提供する決済サービスは、初期費用や月額固定費が無料である点が特徴です。アカウント登録後、オンラインで当日から決済受付を開始でき、専用の決済端末は小型で持ち運びやすく、iPadやiPhoneと接続して利用します。売上金の入金は翌営業日以降で、振込手数料はかかりません。クレジットカードや電子マネー、QRコードなど複数の決済方法に対応しており、無料のPOSレジアプリで売上管理やレポート機能も利用できます。小規模でキャッシュレス決済をすぐに導入したいクリニックや、オンライン決済を検討しているクリニックに適しています。

STORES決済|STORES 株式会社

STORES株式会社が提供するSTORES決済は、クレジットカードや電子マネー、QRコードなど多様な決済方法に対応しており、月額固定費はかかりません。決済端末の代金は無料で、万が一の故障時には無償交換に対応しています。売上金は早ければ翌々営業日にすべての金融機関の口座へ振り込まれ、振込手数料はかかりません。また、POSレジや予約システム、ネットショップなど、決済以外の業務ツールも利用できる点が特徴です。コストを抑えつつ、決済以外の業務ツールもまとめて導入したいクリニックに適しています。サポートは電話やメールなどで対応されています。

USEN PAY|株式会社USEN

USEN PAY|株式会社USEN
引用元:https://usen.com/

株式会社USENが提供するUSEN PAYは、1台の端末でクレジットカードや電子マネー、QRコードなど約70種類の決済ブランドに対応しています。Visa/Mastercardの利用手数料率は2.99%です。レシート機能も内蔵されており、決済に必要な機能が1台に集約されています。初期費用と月額利用料は導入形態により異なり、お問い合わせが必要です。全国に拠点を持つUSENが、導入から運用までサポートします。多様な決済手段を一元化して管理したいクリニックや、長期的なサポートを重視するクリニックに適しています。

PayPay|PayPay株式会社

PayPay株式会社が提供するPayPayは、国内で広く利用されているQRコード決済サービスです。加盟店側は初期費用や月額固定費無料で導入できるプランがある点がメリットです。ユーザーはアプリを利用してQRコードを読み取るだけで決済が完了するため、手軽に利用できます。結果として、会計時の待ち時間短縮につながる可能性があります。導入後のサポートは、Webサイトのヘルプセンターや電話窓口で対応しています。多くの患者さんがPayPayを利用していると考えられるクリニックや、初期費用を抑えてキャッシュレス決済を導入したいクリニックに適しています。

チョキペイ|株式会社チョキ

株式会社チョキが提供するチョキペイは、医療機関の会計業務の効率化を目的として開発された、クリニックや薬局に特化したキャッシュレス決済サービスです。クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などに対応したオールインワンデバイスで、Android OSを搭載しているため、外部システムとの連携開発に柔軟に対応できる点が特徴です。現金のやり取りが不要になり、会計時の待ち時間短縮や、お釣りのミス防止、衛生的な環境維持に役立ちます。オンラインでのサポート体制も提供されており、会計の効率化と衛生管理を重視するクリニックに適しています。

オンライン診療Pay|株式会社アルファノート

株式会社アルファノートが提供するオンライン診療Payは、オンライン診療に特化した決済サービスです。専用のオンライン診療システムが不要で、既存のZoomやSkypeなどでの診察後に、患者さんに専用URLを送るだけで決済を行えます。管理画面でリアルタイムに支払い状況を確認できるほか、アプリ登録などの手間がないため、患者さんの利便性も高い点が特徴です。決済セキュリティ基準であるPCI DSSに準拠しており、セキュリティも対策されています。オンライン診療を導入し、決済業務を効率化したいクリニックに適しています。

EZキャッシュレスサービス|カシオ計算機株式会社

EZキャッシュレスサービス|カシオ計算機株式会社

カシオ計算機株式会社が提供するEZキャッシュレスサービスは、レジとキャッシュレス決済をワンストップで提供します。レジと決済端末が連動しているため、金額の二度打ちが不要となり、会計業務を効率化できます。会計時のミスを減らし、スムーズな診療をサポートします。クレジットカードや電子マネー、QRコードなど多様な決済方法に対応しており、タッチ決済も可能です。また、365日対応のコールセンターがあり、導入後のサポート体制も整っています。レジの入れ替えを検討しているクリニックや、会計業務のミスを減らし、効率を高めたいクリニックに適しています。

stera pack for クリニック|GMOペイメントゲートウェイ株式会社

GMOペイメントゲートウェイ株式会社が提供するstera pack for クリニックは、医療機関向けの決済サービスです。30種類以上の決済方法に対応したオールインワン端末stera terminalが特徴で、Visa/Mastercardの手数料率が永年1.50%と設定されています。月額料金を支払うことで、修理や交換、レシートロール紙の追加費用はかかりません。また、患者さんがスマートフォンで診察券を管理できるアプリと連携し、受付業務の負担軽減にも貢献します。会計業務の効率化とコスト削減を重視するクリニックに適しています。

日本医師会員向けキャッシュレスサービス|日本医師会ORCA管理機構

日本医師会ORCA管理機構が提供する本サービスは、日医標準レセプトソフトとの連携が可能です。日レセが算出した請求金額をPOSレジが取り込むことで、会計時の入力ミスや請求誤りの低減が期待できます。また、日本医師会員向けに特別手数料、価格で提供されており、初期費用はかかりません。1台の端末でクレジットカードと電子マネーに対応し、往診向けモバイル端末も用意されています。NTTデータと協力し、高いセキュリティ水準の決済環境が実現されていることも強みです。会計業務の効率化とコスト削減を重視する日本医師会会員のクリニックに適しています。

キャッシュレス決済サービス導入による医院のメリット

キャッシュレス決済サービス導入による医院のメリット

キャッシュレス決済サービスは、単なる支払い手段の追加にとどまらず、医院の業務効率や経営基盤の強化にもつながります。導入によって得られる代表的なメリットを4つの観点から解説します。

会計業務の効率化と待ち時間短縮

決済の自動化により、受付スタッフによる現金の受け渡しやレジ締め作業が削減されます。診療後の会計処理がスピーディーになり、患者さんの待ち時間が短縮され、医院全体の回転率も向上します。スタッフはよりコアな業務に集中できるようになり、患者さんの満足度も向上します。

現金管理の負担軽減とミス防止

現金の取扱いを減らせる点も大きなメリットです。釣銭の準備や管理の手間、ヒューマンエラーによる渡し間違いが減少し、業務ストレスを軽減できます。また、未収金や現金紛失のリスクを抑えることにもつながります。

患者さん満足度とリピート率の向上

クレジットカードや電子マネー、QRコードなど多様な決済手段に対応すれば、患者さんは自分に合った支払い方法を選べます。特に高額診療でもキャッシュレスで対応できることで利便性が高まり、現金離れの進む若年層の取り込みにも効果を発揮します。医院に対する評価や信頼度が上がり、リピート率向上にも直結します。

医院経営の安定化と将来性

キャッシュレス化を進めることで、会計の際に生じがちな未収金が減少し、売上の入金サイクルが安定します。経営計画を立てやすくなり、資金繰りの見通しが確保される点は大きなメリットです。さらに、決済データの分析により患者さんの利用傾向や診療科目別の収益が可視化でき、経営判断にも活かせます。今後は非接触型決済やオンライン診療の普及に加え、電子カルテや予約システムとの統合が進むことで、医院全体のデジタル化が加速し、持続的な成長と競争力強化を後押しするでしょう。

まとめ

キャッシュレス決済サービスは、患者さんの利便性を高めるだけでなく、会計業務の効率化や医院経営の安定化にも直結します。本記事で紹介した選び方や10社のサービスを参考に、自院に合った仕組みを導入しましょう。導入後は運用を継続的に見直すことで、より確かな経営改善へとつなげられます。将来的な医療DXの基盤として有効であり、早めの検討が医院の成長を後押しします。