医院向け医療費後払いサービスの仕組みと特徴|医療費後払いサービス10選を紹介
医療費後払いサービスは、診察後にその場で支払いを行わず、後日オンラインや口座振替などで決済できる新しい仕組みです。患者さんの利便性を高めるだけでなく、医院側の会計業務を効率化し、未収金リスクを軽減する効果も期待できます。さらにキャッシュレス化や電子カルテとの連携にも対応し、医療DXの推進にも貢献します。本記事では、医療費後払いサービスの仕組みや特徴、医院向けおすすめサービス10社を紹介します。
目次
医療費後払いサービスとは?

医療費後払いサービスとは、診察や治療を受けた患者さんが当日その場で支払いをせず、後日決済できる仕組みです。会計の混雑や待ち時間を減らせるほか、現金を持ち合わせていなくても受診できるため、患者満足度の向上にもつながります。近年はスマートフォンアプリやWeb決済を通じて手続きを完結できるサービスも増え、クリニックや中小病院を中心に導入が進んでいます。本章では、基本的な仕組みやキャッシュレスとの違い、導入の背景となるニーズを解説します。
医療費後払いの基本的な仕組み
患者さんは診療後、受付で後払いを選択し、会計データが専用システムに登録されます。後日、請求書や通知がアプリ、メールで届き、クレジットカード、口座振替、コンビニ払いなどから決済できます。医院側は入金状況を自動管理でき、未収金の発生を防止できるのが特徴です。会計業務の効率化や、スタッフの負担軽減にも寄与します。
クレジットカード決済やキャッシュレスとの違い
クレジットカードや電子マネーによる支払いは、会計時に即時決済が必要ですが、医療費後払いサービスは、後日まとめて支払う点が異なります。利用者が一時的に立て替えを受ける形で支払いを後回しにできるため、手持ちがなくても診療を受けられる信頼感があります。医院側も決済代行会社を通じて入金されるため、会計トラブルのリスクが低減します。
患者さん・医院それぞれにとってのニーズ
患者さんにとっては、急な体調不良や高額な医療費が発生した際でも不安なくスムーズに受診できる点がメリットです。一方、医院にとっては、会計窓口の混雑緩和や業務時間の短縮、未収金防止による経営安定化などの効果が期待できます。近年は医療DXの一環として、電子カルテや会計システムと連携できる後払いサービスの需要が高まっています。
医療費後払いサービスの主な機能と特徴

医療費後払いサービスは、単に支払いを後にする仕組みではなく、受付や会計、入金管理までを一元化できる包括的な会計支援システムです。導入により、患者さんの利便性向上だけでなく、会計業務の効率化や未収金防止など、医院運営全体に多くのメリットをもたらします。本章では、主な機能と特徴を3つの観点から解説します。
受付・会計業務の効率化
受付時に患者情報や診療内容を自動でシステムに登録できるため、スタッフの入力作業を削減できます。診療後は会計処理が自動化され、患者さんの待ち時間も短縮できます。特に電子カルテや会計ソフトと連携できるタイプでは、診療データから請求までを一貫して管理できるため、人的ミスや事務負担を大幅に減らせます。結果として、スタッフの業務効率化と患者対応の質向上を同時に実現します。
支払い忘れや未収金対策
決済情報はクラウド上で管理され、後日メールやSMSで支払い通知が自動送信されます。請求や入金状況は管理画面で一覧化され、支払い漏れがあってもシステム側で自動督促が可能です。また、決済代行会社が立替払いを行う仕組みを採用している場合、医院側は漏れなく入金を受け取れるため、未収金の発生リスクを大幅に軽減できます。
多様な決済手段への対応
医療費後払いサービスはクレジットカードや口座振替、コンビニ払い、QRコード決済など、幅広い支払い方法に対応している点も特徴です。患者さんは自分に合った決済方法を選択できるため、利便性が高く、再診時のストレスも軽減されます。現金管理の手間を減らし、キャッシュレス化を推進したいクリニックにも適したシステムです。
医療費後払いサービス導入前に確認すべき注意点

医療費後払いサービスは、会計業務の効率化や未収金対策に有効ですが、導入にあたってはコストや運用面での確認が欠かせません。システム構成や契約内容によっては、思わぬ費用負担や業務フローの変更が発生する場合もあります。本章では、導入前に押さえておくべき3つのポイントを解説します。
導入コスト・手数料の有無
医療費後払いサービスは、初期設定費用や月額利用料のほか、決済手数料が発生する場合があります。料金体系はサービスごとに異なり、患者1件あたり数%の手数料を設定しているケースも少なくありません。費用を比較する際は、初期費用だけでなく、年間コストや振込サイクル、入金保証の有無まで確認しましょう。補助金制度や無料トライアルを活用できるサービスもあるため、慎重な検討が必要です。
患者さんの利便性
患者さんにとって利用しやすい仕組みであるかどうかも重要な判断基準です。Webやスマートフォンアプリから手続きが完結するタイプであれば、忙しい方や高齢の方も使いやすく、利用が普及しやすくなります。また、支払い期限や通知方法、決済手段の選択肢が明確であれば、支払い忘れの不安なく利用できる環境を提供できます。
医院の会計ソフトやシステムとの連携可否
既存の電子カルテや会計システムとの連携が可能かどうかも導入時の大きなポイントです。データ連携が不十分な場合、手入力や二重管理が発生し、かえって業務負担が増えることもあります。導入を検討する際は、利用中のレセコンや会計システムとの互換性、サポート体制、データ保全の仕組みを確認しましょう。
医療費後払いサービス
本章では、クリニックや中小病院で導入実績のある医療費後払いサービス10社を紹介します。各サービスの特徴や導入コスト、対応可能な決済方法、連携できるシステムの範囲などを比較し、自院に合ったサービスを検討する際の参考にしてください。
医療費あと払い|株式会社メディカルファイナンステクノロジーズ
医療費あと払いは、医療ファイナンスサービスを提供する株式会社メディカルファイナンステクノロジーズが展開する医療費後払いサービスです。同社の強みは、医療や介護分野に特化した口座振替サービスを含む立替払いスキームにより、医療機関の未収金リスクを抑えられる点にあります。通院時の支払いを後日にして診察後の待ち時間をなくし、患者さんは会計をせずにそのまま帰宅できます。決済方法は口座振替を基本とし、NTTファイナンス電話料金合算サービスやソフトバンク、auのキャリア決済にも対応しており、幅広い年代の患者さんにとって使いやすい仕組みです。
待たずにラク~だ|グローリー株式会社
待たずにラク~だは、通貨処理機の開発や製造、販売を手がけるグローリー株式会社が展開する医療費後払いサービスです。同社の強みは、長年にわたり培われた精算機技術と安定したシステム運用力にあります。アプリ不要でWebから簡単に登録でき、50代以上の利用者が半数を超える点も特徴的です。導入により、患者さんは会計待ち時間をゼロにしてそのまま帰宅でき、医療機関では入金消込の自動化やピーク時の業務平準化を実現します。VISA、Mastercardなど主要な国際ブランドに対応し、グローリー製の診療費支払機との連携も可能です。
Sma-pa CHECKOUT|株式会社USEN-NEXT HOLDINGS
Sma-pa CHECKOUTは、ホテルや医療機関向けのシステムを提供する株式会社USEN-NEXT HOLDINGSが展開しています。同社の強みは、施設運営の効率化を目的としたKIOSK端末や受付システムの提供実績です。医療費の後払い機能に加えて、デジタル診察券や待ち番号表示、診察予約依頼などの周辺機能をスマートフォンで統合的に提供できる点も特徴です。患者さんは会計待ち時間ゼロですぐに帰宅でき、病院側はスタッフの適正配置や対面会計の減少による業務負担軽減のメリットが得られます。クレジットカード決済に加え、コンビニ支払いにも対応しています。
CurePort|株式会社デジタルガレージ
CurePortは、決済プラットフォームやITソリューションを手がける株式会社デジタルガレージが、りそなホールディングスと共同開発したオンライン決済サービスです。このサービスは受付機や精算機の設置が不要で、インターネット接続があれば導入できる点が特徴です。患者さんは専用アプリにクレジットカードを事前登録して、診察後に会計待ちをせずに自動で決済が完了します。医療機関は、電子カルテとの連携機能により、診療報酬の算定結果を自動で取得し、請求できるため、事務作業の負担軽減のメリットが得られます。初期費用を抑えてキャッシュレス決済を導入したいクリニックや、会計業務を完全にオンライン化したい医療機関に向いています。
CADA払い|CADA株式会社
CADA払いは、医療費専用の立替払いサービスを提供するCADA株式会社が展開しています。入院費や高額医療費を満額立替払いし、医療機関の未収金リスクを解消できる点が強みです。患者さんが一括払いや分割払いを自由に設定でき、支払日も給料日や年金支給日に合わせて調整できる柔軟な返済システムです。患者さんは治療に専念でき、医療機関は未収金督促業務の削減と会計待ち時間短縮による業務平準化のメリットが得られます。決済方法は口座引落が基本で、専用の決済端末を利用します。高額な自費診療や入院診療を行う医療機関、特に患者さんの経済的負担を軽減したい病院に向いています。
NOBORI|PSP Corporation
NOBORIの医療費後払い機能は、医療情報システムを手がけるPSP Corporationが、PHRアプリの一機能として展開しています。決済だけでなく、検査結果の閲覧や医療情報の管理などのPHR機能と一体化している点が特徴です。アプリ内でクレジットカードを事前登録するだけで、診察後の会計待ち時間をゼロにしてすぐに帰宅できます。決済は当日または後日に自動で実行されます。決済はクレジットカードによる一括払いのみに対応しています。3Dセキュア認証を導入するなどセキュリティにも配慮されています。外来診療のキャッシュレス化と患者サービス向上を目指す医療機関に向いています。
届いてから払い|株式会社キャッチボール
届いてから払いは、後払い決済サービス後払い.comを運営する株式会社キャッチボールが展開する医療費専用の後払いサービスです。同社の強みは、EC分野で培った決済や請求業務代行のノウハウと、立替払いによる未回収リスクゼロのスキームです。患者さんの事前登録が不要で導入ハードルが低い点と、コンビニ払いの現金決済を含むマルチ決済に対応している点が特徴です。患者さんは診察後にすぐ帰宅でき、医療機関は請求書の発行、発送から入金確認、督促業務まですべて代行される業務効率化のメリットが得られます。現金派の高齢の方からキャッシュレス派まで幅広い層の利便性を向上させたいクリニックや病院に向いています。
コノヒ|GMOヘルステック株式会社
コノヒは、GMOヘルステック株式会社が提供する、LINE公式アカウントと連携したクリニックサポートツールです。高利用率を誇るLINEを基盤として、患者さんの利便性とクリニックの集患、再来を支援できる点が強みです。後払い決済機能に加え、当日順番予約、日時指定予約、デジタル診察券、個別メッセージ配信などの多機能をLINEアプリ内で完結できる予約システムである点が特徴です。クリニックは、予約から決済、情報発信までの業務を一元管理できます。LINEを通じた集患、再来を重視し、受付、会計業務のDX化を目指すクリニックに向いています。
リコーリース集金代行サービス|リコーリース株式会社
リコーリースの集金代行サービスは、リース事業や金融事業を手がけるリコーリース株式会社が展開する代金回収サービスです。このサービスは、口座振替サービスやコンビニ決済サービスを中心に提供され、訪問診療など、診療の都度の集金が困難な医療機関に向いています。初期導入費用が無料で、集金件数が少ない医療機関でも1件から利用できる点が特徴です。導入により、医療機関は診療費の回収に関する煩雑な管理業務から解放され、患者さん側は、診療の都度の現金用意や支払いの手間が減少します。集金業務の効率化と現金の取り扱いに伴うリスクの軽減を重視するクリニックや訪問診療事業者に向いています。
DSK後払い|株式会社電算システム
DSK後払いは、株式会社電算システムグループが提供する債権保証型の後払い決済サービスです。同社の強みは、民間企業として初めてコンビニ収納代行をスタートさせた決済、収納代行の長年の実績とノウハウです。コンビニ支払いを基盤としつつ、LINE PayやPAYSLEなどのアプリ決済にも対応した幅広い支払い方法を提供している点が特徴です。債権保証型であるため、電算システムグループが販売代金を立替払いし、未回収リスクを保証します。幅広い決済ニーズに対応し、未回収リスクの解消と業務負担の軽減を重視する医療機関に向いています。
医療費後払いサービス導入で得られるメリット

医療費後払いサービスの導入は、患者さんの利便性向上だけでなく、医院運営の効率化や経営の安定化にも直結します。会計業務の自動化やキャッシュレス化を進めることで、スタッフの負担を軽減し、より質が高い医療サービスを提供できる環境が整います。本章では、導入によって得られる主なメリットを3つの視点から解説します。
患者満足度の向上と通院継続率アップ
診察後の会計待ちが不要となり、スムーズに帰宅できる点は患者さんにとって大きな利点です。特に仕事や子育てで忙しい方など、時間的な制約がある人ほど利便性を実感できます。スマートフォンやWebから簡単に支払いが完了し、支払い手続きのストレスが軽減され、結果的に通院継続率の向上にもつながります。快適な受診体験は医院への信頼感を高め、再来院の促進にも効果をもたらします。
医院スタッフの業務負担軽減
会計処理や入金管理の自動化により、窓口業務にかかる時間と手間を削減できます。手作業による金銭授受やレジ締め作業が不要となり、スタッフは患者対応や事務以外のコア業務に集中することができます。さらに、レセコンや電子カルテとデータ連携できるサービスを選べば、入力ミスや二重管理の防止にもつながります。業務の効率化は、スタッフの働きやすさにも直結します。
未収金リスクの軽減と経営の安定化
決済代行会社による立替入金や自動督促機能により、未収金の発生を防止できます。これにより、医院は安定したキャッシュフローを確保しやすくなり、経営の安定化につながります。特に患者数が多いクリニックでは、現金管理の手間とリスクを同時に軽減できる点が大きなメリットです。医療費後払いサービスは、医療機関の経営基盤を支える実用的なDX施策です。
まとめ
医療費後払いサービスは、患者さんの利便性向上と医院の会計業務効率化を実現する有効な手段です。本記事で紹介した10社を参考に、導入コストや決済方法、既存システムとの連携性を比較検討しましょう。導入により未収金リスクを軽減し、経営の安定化と患者満足度向上を両立できます。医療DX推進の一環として、自院に適したサービスを選んでください。














