医療機器はいつまで使える?耐用年数を越えての使用はNG?医療機器の耐用年数に関する疑問を詳しく解説!
医療機器の使用可能な年数を確認し把握することは、計画的な保守管理と医療の安全性を確保することにつながります。本記事では、医療機器の法定耐用年数や、メンテナンスの重要性、廃棄処理の方法、そして医療機器を購入する際の注意点について詳しく解説します。
医療機器に定められた法定耐用年数とは
医療機器には決められた「法定耐用年数」というものがあるのをご存じでしょうか。ここでは、医療機器の法定耐用年数についてと医療機器の耐用年数・耐用期間・耐用寿命・使用期限、保証期間の違いについて説明します。
- 医療機器の法定耐用年数とはなんですか?
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医療機器の法定耐用年数とは、税制上の資産価値の寿命を指し、減価償却を通じて経費として処理できる期間のことをいいます。この期間は省令によって医療機器ごとに定められており、例えば、超音波治療器やX線・CT装置、診断用画像処理システムなどには4〜7年の法定耐用年数が設定されています。そのほかにも、ユニットや顕微鏡、口腔内カメラ、超音波スケーラ、電気メス、笑気吸入鎮静器、高圧滅菌器、マイクロ波治療器、骨密度測定装置なども法定耐用年数がそれぞれ定められています。医療機器の法定耐用年数は5年前後が一般的であり、これに基づいて減価償却が行われます。
- 医療機器は耐用年数を越えて使用しても良いのでしょうか?
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医療機器の耐用年数・耐用期間を過ぎたからといって、すぐに使用できなくなるというわけではありません。定期的な保守点検や標準的な使用方法により、長く利用することも可能です。ただし、使用年数の長期化は、故障や医療事故のリスクを高める可能性があります。また、医療機器の進歩や性能向上も考慮し、耐用年数・耐用期間が過ぎた場合は新しい機器への買い替えが推奨されることがあります。なお製造販売業者は、添付文書や取扱説明書に医療機器の「耐用期間」を明確に記載しなければならず、耐用期間が実質的な製品の使用可能期間とみなされます。耐用年数は減価償却費を計算する際に必要な情報ですが、耐用年数と耐用期間が一致する医療機器が多いため、耐用年数も同様に使用可能な期間といえるでしょう。
- 耐用年数に耐用期間、ほかにも似たような用語がありますが違いはありますか?
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耐用年数と似たような用語として、耐用期間をはじめ、耐用寿命、使用期限、保証期間などが存在します。まず、耐用期間は医療機器が通常の使用状況と定期的な保守に基づいて、部品の交換、修理、およびオーバーホールが必要となる条件下で、機器の安全性と信頼性が維持できると予想される期間を指します。各メーカーが独自の基準で設定しているため、統一された基準は存在しません。耐用期間を超えた使用は機器の故障や医療事故のリスクを増加させるため、できるだけ早い買い替えが推奨されます。次に、耐用寿命は物理的、経済的、医療技術的、および企業戦略的な要因に基づいて、機器が使用できなくなる結果としての期間を指します。また、使用期限は未開封で適切に保管された医薬品の品質が維持される期間を指します。これは食品の消費期限に似ていますが、医薬品の場合はより厳格に管理されます。最後に、保証期間は医療機器に不具合が生じ、かつ使用者に過失のない場合に、メーカーが無償で修理などの保証を提供する期間を指します。耐用期間中であっても、保証期間が切れると修理は使用者の負担となります。
医療機器の耐用年数に関する疑問
耐用年数の基準や廃棄処理の方法、メンテナンスを適切に行えば耐用年数を延ばすことができるのかといった疑問について 具体的な例を挙げながら説明します。
- 医療機器の耐用年数はどのような基準で決まっているのですか?
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医療機器の耐用年数は、製品の種類と特性、使用頻度と環境、そして製造者の指示に基づいて決まります。例えば、一度しか使われない使い捨て手袋と長期間使用される人工心肺装置では、耐用年数に大きな違いがあります。前者は単回使用で非耐久性を持ち、後者は定期的なメンテナンスと部品の交換が必要な耐久性が求められます。次に、使用頻度と環境も考慮すべき要素の一つです。手術器具は適切な範囲で何回も使用され、モニタリング機器は一日中稼働する必要があります。これが、耐用年数に変動をもたらします。最後に、製造者の指示も重要です。製造者は製品の設計や製造プロセスを理解しており、製品が安全で効果的な機能を保てる寿命も把握しています。これらの複合的な要素を考慮し、医療機器の耐用年数は決まっています。製品の取扱説明書やラベルに記載された耐用年数を守ることは、製品を正しく扱い、医療サービスを提供する上で非常に重要になるのです。
- 医療機器はメンテナンスで、耐用年数を延ばすことはできますか?
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医療機器の耐用年数を延ばすには、定期的なメンテナンスが欠かせません。清掃や部品交換、性能の点検、修理などの作業を適切に行うことで、医療機器は正確で安全な動作を維持し、耐用年数を最大限に引き延ばすことが可能です。ただし、耐用年数を超えて使用する場合は、経年劣化による安全性の問題を防ぐために、メンテナンスの専門家や製造者と連携する必要があります。また、一部の医療機器は耐用年数を超えると使用を中止し、適切に廃棄しなければなりません。
- 耐用年数を超えた医療機器の廃棄はどうすればいいですか?
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医療機器の廃棄処理は機器の種類、使用状況、法規によって異なります。例えば、注射器や医療着は、感染症のリスクから使用後すぐに廃棄しなければなりません。これらの廃棄物は特定の規制に基づいて適切に処理され、患者さんや医療従事者の安全を確保します。一方で、一部の医療機器は、適切な清掃、消毒、保守が行われた後に再利用が可能です。これらの機器は、安全性が確認され、元の性能が維持されていることを確認するために、厳格な検査とテストが必要になります。
医療機器の購入についてよくある質問
医療機器の購入には、事前に十分な知識を得ることが大切です。
- 医療機器の選び方のポイントは?
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医療機器の選び方のポイントは、その機器がどれだけ長く使えるか、つまり耐用年数です。この要素が費用対効果に大きな影響を与えます。耐用年数の長い医療機器は初期投資の費用は高いかもしれませんが、その分耐用期間が長いため、長期的に見ると費用対効果が見込めます。逆に、耐用年数が短い医療機器は、短期間での入れ替えが発生し、費用対効果は低くなる可能性があります。医療機器を購入する際には、耐用年数と費用を総合的に検討し、最適な選択をすることが重要です。
- 中古の医療機器を購入する際の注意点はありますか?
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医療機器を中古で購入する際には、慎重に検討することが重要です。通常、医療機器は5年経過すると価値が半分以下になるとされています。購入時に「5年しか使用されていないのに、1000万円のものが500万円になっているならお得」と感じるか、「5年も使っているから当然の価格」と感じるかは、それぞれの価値観によって変わってくるでしょう。ただし、中古医療機器市場は常に需要が供給を上回っており、希望する機器がなかなか入手できない可能性があります。そのため、購入までに時間がかかることも考慮しておくと良いでしょう。さらに、購入後にメーカーの点検や修理が必要な場合もあるため、納期や修理費用についても検討する必要があります。
- 医療機器のリースのメリット・デメリットを教えてください
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医療機器導入の一つの手段として、リース(毎月のレンタル料を支払い、機器を借り受ける方法)があります。リースを選ぶことで、設備投資の支出を抑え、ほかの投資や運転資金に充てることができます。もし機器に問題が生じた場合でも、保険に加入していれば追加費用を気にする必要がありません。さらに、リース料は全額経費として計上でき、固定資産税がかからないという税制上のメリットがあります。ただし、リースの場合、原則として中途解約が難しく、医療従事者の勤務時間短縮に資する一定の機器を対象とした「特別償却」が適用されないというデメリットも考慮する必要があるでしょう、
編集部まとめ
医療機器の耐用年数について、詳しく説明してきました。耐用年数を延ばすためには、定期的なメンテナンスや保守点検、購入時の選び方が重要なポイントとなります。本記事が、病院やクリニックの開業において役に立てば幸いです。