病院の待ち時間問題を解決する取り組みと改善のポイントを解説!
病院経営において、外来診療の待ち時間は、患者さんサービスの問題に留まらず、医療機関の競争力や経営の安定化に直結する要因です。
本記事では、待ち時間が生み出す見えない損失を分析し、デジタルトランスフォーメーション(DX)と業務プロセスの見直しを組み合わせた具体的な解決策を解説します。
病院で待ち時間短縮への取り組みが必要な理由

- 病院の待ち時間は改善すべき問題ですか?
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待ち時間の長さは、改善すべき重要な問題です。
厚生労働省の調査でも、診察までの待ち時間は外来患者さんの不満要素として常に上位に挙げられています。待ち時間が長い病院は患者さんから敬遠されやすく、忙しい患者さんは「次回から別の病院に行こう」と離脱してしまうことがあります。
さらに、長時間の待機は体調の優れない患者さんにとって大きな負担であり、医療機関として放置すれば患者満足度の低下のみならず信用低下にもつながりかねません。
参照:『令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況』(厚生労働省) - 病院の待ち時間が患者満足度に与える影響を教えてください
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令和5年の全国調査では、外来で「診察までの待ち時間」に不満を感じている患者さんが約25%にのぼり、ほかの項目に比べて待ち時間への不満度は高めであることが報告されています。
特に、体調が悪いなかで長時間待たされる場合や待つ理由の説明がない場合、さらに何もすることがない環境では不満が強まります。結果として「もう待たされたくない」という心理が働き、病院への信頼低下や再来院率の低下につながるのです。
参照:『令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況』(厚生労働省) - 病院の待ち時間が長いことはスタッフにどのような影響がありますか?
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待ち時間は患者さんだけでなくスタッフにも悪影響があります。長い待ち時間が発生している状況では、スタッフは「少しでも早く案内しなければ」と常に時間に追われるようになり、精神的な負担が増します。その結果、焦りから細かなミスが増えたり、対応が雑になったりする可能性があります。
また、待合室で順番を待つ患者さんがあふれると、呼び出しに気付かないなど現場が混乱しやすくなり、スタッフは問い合わせ対応やクレーム対応に追われて本来の業務に集中できなくなる可能性が考えられます。
長期的にはスタッフの疲弊や士気低下を招き、サービスの質低下にもつながりかねません。 - 待ち時間を短縮するために病院ができる取り組みはありますか?
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はい、待ち時間短縮のために病院が取り組めることは多岐にわたります。
主な対策としては、予約制や順番管理システムの導入、業務フローの見直し、適切なスタッフの配置などが挙げられます。
受付時に番号札やモニター表示で順番と予測待ち時間を可視化すれば、患者さんは自分の順番を把握でき不安が軽減します。また、待ち時間に応じて診察順を柔軟に調整できる順番管理システムは、患者さんへの情報提供とスタッフの業務負荷軽減の両面で効果があり、実際に待ち時間の大幅短縮やストレス軽減につながります。
さらに、後述するようなデジタル技術(オンライン予約や問診票、自動精算機など)と業務プロセス改善を組み合わせて実行することで、総合的な待ち時間削減効果が期待できます。 - 受付や会計の効率化が待ち時間に与える影響を教えてください
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受付や会計処理の効率化は、待ち時間短縮に直結します。受付業務がスムーズになると診療開始までの時間が短くなり、逆に受付で手間取ると診療前の待ち時間が長くなります。
受付や会計業務の効率化を実現できるのが、患者情報のデジタル管理です。初診時の問診票記入や再診受付をタブレットや専用端末で行う、診察受付システムを導入すれば、紙の保険証確認や手書き入力の時間を大幅に削減できます。
自動精算機やキャッシュレス決済を導入することで会計窓口での待ち時間を減らし、診察後の待ち時間を減らすことが可能です。 - 問診票の事前入力は待ち時間短縮に効果がありますか?
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問診票を事前に入力してもらう仕組みは待ち時間短縮に効果的です。
オンライン問診票を導入すれば、患者さんが自宅でスマートフォンやパソコンから症状や既往歴を入力でき、来院後に紙の問診を書いてもらう時間を省けます。その情報は医師や看護師が事前に把握できるため、来院後の対応を先回りして準備することも可能です。
また、オンライン問診のデータを電子カルテに自動転記すれば、スタッフが紙から入力し直す手間も削減できます。
このように、問診票の事前Web入力は患者さんの利便性を高めると同時に待ち時間自体を短縮する有効な手段です。 - セルフ受付端末や予約システムの導入は有効ですか?
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はい、セルフ受付機や予約システムの導入は有効です。
オンライン予約システムを導入すると患者さんは事前に診察日時を予約できるため、患者さんの来院時間を分散させ院内の混雑を緩和できます。
また、再来患者さん向けの自動再来受付機を設置すると、診察券を通すだけで受付手続きを完了できるため窓口に並ぶ必要がなくなります。こうしたデジタルツールの活用で受付対応が効率化されればスタッフの手が空き、ほかの業務へのリソース配分も改善します。 - 待っている時間を快適にする工夫を教えてください
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待ち時間そのものを短縮する努力と並行して、患者さんに少しでも快適に過ごしてもらう工夫も大切です。
まず、待合室には新聞や雑誌などの読み物を用意しましょう。診察を待つ間、手持ち無沙汰な患者さんが多いため、雑誌や書籍があれば空き時間を有意義に過ごせてストレス軽減につながります。
次に、Wi-Fi環境を整備することも有効です。スマートフォンやタブレットでインターネットに接続できれば待ち時間を有効活用できます。
さらに、待合室の設備にも気を配りましょう。椅子やソファ、スリッパなど備品が古くなっている場合は、座面の貼り替えやスリッパの買い換えをすることで、患者さんの快適性が向上します。 - 待ち時間のストレスを軽減する情報提供の方法はありますか?
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はい、積極的な情報提供が待ち時間ストレス軽減に有効です。
患者さんは「あとどれくらい待つのか」がわからないと不安や苛立ちを感じやすいため、病院側からアナウンスや見通しを伝えることが重要です。
また、最近では受付番号の進行状況をスマートフォンで確認できるシステムや、待ち状況を表示するデジタルサイネージを設置する病院もあります。ご高齢の方などのスマートフォン利用が難しい患者さんにはスタッフが直接「あと○人で順番です」などと説明することで安心感を与えられます。 - 診療フローを改善して効率化する方法を教えてください
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診療フロー全体の見直しによる効率化も、待ち時間対策には重要です。
患者さんが院内で過ごす一連の流れを洗い出し、各段階で無駄な時間が発生していないか分析するとよいでしょう。
問題箇所が見えたら、業務プロセスの改善を行いましょう。紙や人手に頼っていた部分は電子化あるいは自動化し、並行して進められる作業は同時進行させるなど工夫します。また、ICTツールを使った情報共有で各職種間の待ち時間を減らし、チーム全体で診療の効率を高めるよう努めます。 - スタッフの役割分担を見直すことは効果がありますか?
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スタッフの役割分担や配置を見直すことも即効性のある改善策です。待ち時間が発生する背景には人手不足やスタッフ配置の偏りがあることもあるため、院内の人員体制を再点検しましょう。
また、スタッフの役割分担そのものを再検討し、看護師が担っていた説明業務を事務スタッフに任せる、医師の事務作業を専門職(医療クラークなど)に委譲する、といったタスクシェアも有効です。これにより各スタッフが本来業務に専念できるようになり、結果として処理全体の流れが円滑になることもあります。
【病院の待ち時間対策】患者満足度向上のためにできる取り組み

【病院の待ち時間対策】患者さんの離脱を防ぐための取り組み

編集部まとめ

病院の待ち時間問題とその対策について解説しました。待ち時間の長さは患者さんの満足度やリピート意向に大きく影響するため、放置すれば経営リスクにもなりえます。しかし裏を返せば、待ち時間改善に取り組むことで患者さんの信頼を得て差別化を図るチャンスにもなります。
デジタル技術の活用と業務オペレーションの工夫を組み合わせることで、短期間で効果が現れやすい点も特徴です。
待ち時間対策は患者満足度を向上させるだけでなく、スタッフの働きやすい環境づくりや業務効率化にも直結します。できることから少しずつ対策し、待たせない病院を目指すことが、これからの医療機関の評価向上につながるでしょう。




