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クリニックの看板に規制はある?表示事項や患者さんの目に止まるデザインのポイントを解説

                   
投稿日: 2025.08.22
更新日:2025.11.13
                   

看板はクリニックの顔であり、地域の患者さんに存在を認知してもらい、信頼感を与えるための大切なツールです。

一方で、医療機関の広告には法律による規制があり、看板に表示できる内容も制限されています。

本記事では、クリニックに看板が必要な理由や、医療広告の規制内容、看板に表示可能な事項、さらに患者さんの目に留まる看板デザインのポイントを解説します。

クリニックに看板が必要な理由

クリニックの開業にあたって看板は必要ですか?

はい、看板の設置は必要です。看板は周辺住民にクリニックの存在を知らせ、新規患者さんの目に留まる最初の広告媒体となります。特に、新規開業の場合は認知度が低い状態からスタートするため、地域の方々に「ここにクリニックがある」と気付いてもらうことが重要です。

看板にクリニック名称や診療科目、診療時間、休診日、電話番号などの基本情報を表示しておけば、通りがかりの方が一目で必要な情報を得ることができ、来院を促すことができます。さらに、看板はクリニックの雰囲気やコンセプトをデザインで表現できるため、単なる案内板ではなくブランディングの役割も果たします。

このように、看板はクリニック経営において欠かせない存在といえるでしょう。

看板が集患に与える影響を教えてください

看板は患者さんを集めること(集患)に影響を与えます。

まず、道路沿いの自立看板や建物に設置する袖看板は遠くからでも視認でき、クリニックの存在を広範囲に知らせることができます。特に人通りや車通りの多い立地では、目立つ看板を出すことで「ここにクリニックがある」と多くの方に印象付けられます。看板を見かけてクリニックの場所を知ってもらえれば、クリニック選びの選択肢に入れてもらえる可能性が高まります。

さらに、看板のデザインや情報次第では、患者さんの行動を喚起することも可能です。例えば診療科目や専門性が明記されていれば、該当する症状を持つ方の目に留まった際に来院動機につながります。

このように、適切にデザインし、設置すれば継続的な集患効果が見込めます。看板がないとクリニックの存在に気付いてもらえず、潜在患者さんの取りこぼしにつながりかねないので、開業にあたって看板を設置することは集患の観点からとても重要であるといえます。

クリニックの看板で考慮すべき広告規制と記載可能事項

クリニックの看板で考慮すべき広告規制と記載可能事項
保険診療クリニックの看板に表示する内容には何らかの規制がありますか?

はい、保険診療のクリニックであっても看板の内容には広告規制があります。日本の医療法では、病院や診療所など医療機関の広告に掲載できる事項が細かく定められており、看板やチラシ、新聞広告、テレビCMなどWeb以外の広告媒体では、認められた項目以外の内容を表示することは禁止されています。

具体的には、医師である旨や診療科目、医療機関の名称・所在地・電話番号・管理者(院長)の氏名、診療日・診療時間(予約診療の有無)といった基本情報、そのほか一定の範囲の客観的事項のみが広告可能です。

治療成績を強調するような文言や優良さをアピールする表現、患者さんの体験談などは看板に記載できません。また、正式な診療科名でない名称も広告できる事項に含まれないため注意が必要です。

このような規制に違反した内容を掲示すると、行政から是正指導や罰則の対象となる可能性があるので、保険診療クリニックでも医療広告ガイドラインを遵守しましょう。

自由診療クリニックの看板に関する規制事項を教えてください

自由診療クリニックの看板も基本的には医療広告規制の範囲内で作成する必要があり、保険診療の場合と同様に許可された項目以外の広告はできません。

また、自由診療の内容を広告する場合、その治療が保険適用外である旨と標準的な治療内容・費用を明示しなければなりません。さらに、本来はその治療に伴う主なリスクや副作用に関する情報提供も必要とされています。

こういった要件を満たさずに自由診療の内容を宣伝すると、誇大広告や不適切広告と見なされ行政処分の対象となりかねません。自由診療クリニックの看板も規制事項に十分注意し、費用やリスクの情報開示を伴った正しい内容を掲示することが重要です。

クリニックの看板に表示可能な内容を教えてください

クリニック看板に表示できる内容は、医療広告ガイドラインで認められた広告可能事項の範囲内の情報です。主なものを挙げると、以下のような項目です。

  • クリニックの基本情報:名称、所在地、電話番号、院長など管理者の氏名など
  • 診療内容に関する情報:標榜する診療科目、診療日と診療時間、休診日、予約診療の有無など
  • 設備や体制に関する情報:入院設備の有無、医師・看護師などスタッフの人数や配置状況、医療機器や施設の概要など
  • 資格・指定などに関する情報:院長や勤務医の氏名・経歴・資格、クリニックが受けている指定や認定など
  • 提供サービスなどの情報:予防接種や健康診断の実施、保健指導や健康相談への対応、治験への協力状況など

以上のように客観的で事実に基づく情報であれば、看板に表示することが可能です。一方、表示できない内容としては、『地域で一番の実績』『必ず治します』といった優良性・誇張表現、患者さんの声や体験談、治療のビフォーアフター写真などが挙げられます。

集患に貢献するクリニックの看板デザインのポイント

集患に貢献するクリニックの看板デザインのポイント
どのような看板が患者さんの目に止まりますか?

患者さんの目に留まりやすい看板にはいくつかの共通ポイントがあります。まず、遠くからでも視認性が高いことが重要です。文字が小さすぎたり情報が詰め込まれ過ぎていたりする看板は、内容が伝わりづらくなります。できるだけシンプルで読みやすいデザインにし、クリニック名や診療科目など主要な情報は大きくはっきりと表示しましょう。

次に、周囲の景観に埋もれない適度なコントラストを持たせつつ、派手すぎずクリニックのイメージに合った配色を心がけ、視線を集めやすい形状や照明効果も意識します。

そのうえでクリニックの雰囲気に合ったデザインに仕上げれば、「気になる」「入ってみたい」と感じさせる看板になるでしょう。

集患に成功している看板の事例を教えてください

具体的な事例として、地域密着型クリニックの看板リニューアルで成功したケースを紹介します。

ある内科クリニックでは開業当初、文字情報中心の平凡な看板を掲げていましたが、集患に伸び悩んだため看板デザインを一新しました。新しい看板ではクリニックのコンセプトカラーを背景に用い、大きくシンボルマークを配置して視認性と印象度を向上させました。また診療科目を誰にでも読みやすい日本語表記で明記し、暗くなってからも目立つようLED照明を組み込みました。

その結果、看板の交換後に地域住民の反響があり、新患の来院数が増加したそうです。

ほかにも、ある小児科クリニックでは看板デザインの変更時に動物のキャラクターを看板に描き、怖がらずに行けそうな親しみやすい雰囲気を訴求したところ、新患の来院数増加につながったといいます。

共通しているのは、ターゲットとする患者層に響くデザイン要素を取り入れている点です。看板そのものを見て「ここなら自分に合いそうだ」と直感させることができれば、集患力アップにつながるでしょう。

診療科目によって適する看板デザインは異なりますか?

はい、診療科目やクリニックの専門分野によって、適した看板デザインの方向性は異なります。患者さんがクリニックに求める雰囲気やイメージは科目ごとに違うため、その期待に沿ったデザインにすることが望ましいでしょう。

例えば、小児科であれば子どもが怖がらず親しみを持てるようなかわいらしいデザインが適しています。美容外科や美容皮膚科などの自由診療クリニックでは、高級感や洗練されたデザインが好まれます。

それぞれの診療科やターゲットとする患者層に合わせてデザインコンセプトを工夫することで、看板から受ける印象をよりふさわしいものに仕上げることができます。

最終的にはクリニックのコンセプトや強みとも統一感を持たせながら、患者さん目線の看板デザインを目指しましょう。

看板の施工業者を選ぶポイントを教えてください

看板製作・施工を業者に依頼する際は、以下のポイントに注意して選ぶとよいでしょう。

  • 医療機関の看板実績が豊富か
  • デザインの提案力
  • 見積もり内容の明確さと費用対効果
  • コミュニケーションと対応のよさ

以上の点を踏まえ、複数の看板業者から話を聞いて比較検討します。可能であれば、開業コンサルタントやすでに開業した医師仲間からアドバイスをもらうのも有用です。適切な業者を選ぶことでコンセプトに合致した高品質な看板を作ることができ、高い集患効果につながるでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

クリニック開業において看板は欠かせない集患ツールであり、クリニックの第一印象を決定づけます。一方で医療広告としての規制を遵守した情報発信が求められるため、表示内容には新しい医療広告ガイドラインを踏まえた注意が必要です。診療科目やターゲットに応じて適切なデザインを選択し、経験豊富な業者の協力を得ながら質の高い看板を設置することが、開業成功の一歩といえます。

法律面とデザイン面のポイントを押さえた効果的な看板作りで、地域の患者さんから選ばれるクリニックを目指しましょう。