TOP > 開業後、医院経営あるある > クリニックを承継するメリットとデメリットとは?必要な手続きや費用についても解説

クリニックを承継するメリットとデメリットとは?必要な手続きや費用についても解説

                   
投稿日: 2024.05.29
更新日:2024.08.16
                   

開業医の高齢化にともなう引退の増加により、「クリニック承継」が選択肢の一つとして注目を集めています。開業を検討中の医師の中には、クリニックを承継することのメリットとデメリットについて関心を持たれる方も多いのではないでしょうか。本記事では、クリニック承継の基礎的な知識から、メリットとデメリット、さらには承継するにあたって必要となる手続きや費用についても解説します。クリニック承継を選択肢の一つとして検討している医師の方々にとって、有益な情報となれば幸いです。

クリニックの承継とは

クリニックの承継とは何ですか?

クリニックの承継とは、現在のクリニック経営者から、後継者へとクリニックの運営に関する権利や義務、資産などを引き継ぐことを指します。具体的には、クリニックの所有権、経営権、医療機器や設備、患者さんの診療録、スタッフなどの引継ぎが含まれます。また、クリニックの経営理念や診療方針、経営のノウハウ、地域での信頼関係なども承継される重要な要素です。承継には、事業継続に必要な手続きや法的な問題をクリアする必要があり、円滑に進めるためには綿密な計画と準備が欠かせません。スムーズな承継を行うことで、これまで築いてきた患者さんとの信頼関係や地域医療への貢献を継続することができるのです。

クリニックの承継にはどのような方法がありますか?

クリニックの承継には、主に第三者承継と親族間承継の2つの方法があります。

第三者承継は、親族以外の医師や医療法人などにクリニックを譲渡する方法です。この場合、クリニックの売却や合併、譲渡などの形態をとることが一般的です。メリットとしては、後継者の選択肢が広がることや、譲渡価格によっては資金的なメリットが得られる可能性があることが挙げられます。

一方、親族間承継は、子どもや配偶者などの親族にクリニックを引き継ぐ方法です。信頼できる身内に承継できるというメリットがある反面、親族内の意見の相違や、相続税の問題など、解決すべき課題も多くあります。

クリニックの承継のニーズが高まっている背景を教えてください。

クリニックの承継のニーズが高まっている主な背景には、開業医の高齢化と後継者不足が挙げられます。厚生労働省の調査によると、診療所を経営する医師の平均年齢は60.4歳(2022年時点)と高齢化が進んでおり、多くの開業医が引退を考える年齢になっています。しかし、子どもが医師でない場合や、医師であっても承継の意思がない場合など、後継者が見つからないケースが増加傾向にあるようです。また、医師の偏在や勤務環境の問題から新規開業を望む医師が減少していることも、承継ニーズの高まりに拍車をかけていると考えられます。

こうした状況の中で、クリニックを廃業するのではなく、第三者や親族に承継することで、地域医療の継続性を維持することが求められているといえます。特に地方や過疎地域では、クリニックが地域医療の中核を担っているケースが多く、承継問題は緊急性の高い課題となっています。

クリニックの承継のメリットとデメリット

クリニックの継承のメリットとデメリット
クリニックを承継するメリットを教えてください。

クリニックを承継するメリットとしては、まず、新規開業と比べて開業資金を抑えられることが挙げられます。既存のクリニックには、医療機器や設備、スタッフ、患者の診療録などの資産があるため、ゼロから準備する必要がありません。また、承継したクリニックには、前経営者が築いてきた地域での信頼があります。それを引き継ぐことで、スムーズに医療活動をスタートさせることができるでしょう。さらに、承継時に前経営者から直接指導やアドバイスを受けられる点も大きなメリットです。経営のノウハウや医療技術、患者対応などを学ぶことで、円滑にクリニックを運営できる可能性が高まります。加えて、地域医療の継続という社会的意義も承継の大きなメリットと言えるでしょう。特に地方や過疎地域では、クリニックの承継が地域住民の健康を守ることにつながります。

クリニックを承継するデメリットを教えてください。

まず、財務面での負担が大きいことが挙げられます。譲渡価格や設備投資、運転資金など、一定の資金が必要となります。法的な問題をクリアするために専門家のサポートが必要となる場合もあるでしょう。また、承継後のクリニック経営についても、患者数の減少や収益の悪化、スタッフの離職などの想定外の問題が発生するリスクがあります。さらに、前経営者のやり方を踏襲するあまり、自分のスタイルを確立できない可能性もあります。既存の良い点を活かしつつ、自分なりの経営手法を取り入れていくことが求められるでしょう。親族間での承継の場合は、家族内の意見の相違やプライベートな問題が経営に影響を及ぼすリスクにも注意が必要です。

クリニックの承継の流れと費用

クリニックの継承の流れと費用
クリニック承継の流れを教えてください。

クリニック承継の流れは、まず、自身の希望条件や診療方針を明確にすることから始まります。希望するエリアや時期、目指す診療科目や患者層、必要な設備や人員などを具体的に整理しておくことが大切です。次に、信頼できる専門家に相談し、守秘義務契約や仲介業務委託契約を結びます。医療コンサルタントや医療専門の不動産業者などが、承継プロセスをサポートしてくれます。

その後、専門家の協力を得ながら、条件に合う承継候補先を複数選定し、実際に内見や現院長との面談を行います。物件の立地や規模、設備の状態、スタッフの有無、患者数や収益性などを詳しく確認し、自身の理想とするクリニック像に合うかどうかを見極めます。また、現院長との面談では、経営理念や診療方針、引継ぎ方法などについて、十分に話し合いを行うことが重要です。

承継先が決まったら、条件を調整し基本合意書を交わします。承継対価や引継ぎ時期、スタッフの処遇、不動産の扱いなど、詳細な条件を詰めていきます。必要に応じて買収監査を実施し、クリニックの財務状況や法的リスクなどを精査します。問題がなければ、最終的な譲渡契約を締結します。

契約に基づいて対価を支払い、承継を実行したら、保健所への診療所開設届出など行政手続きを進めていきます。医療法人の場合は、法人の変更登記や役員変更なども必要です。また、スタッフとの雇用契約の締結、医療機器や在庫の引継ぎ、患者診療録の移管など、実務的な引継ぎ作業も着実に行っていかなければなりません。

さらに、承継後は、地域住民や関係機関への挨拶回りを行い、新体制でのクリニック運営をアピールすることも大切です。診療方針や受付時間の変更、新たな設備の導入など、承継に伴う変化点を丁寧に説明し、患者さんの理解と信頼を得ていく努力が求められます。

クリニック承継で発生する費用について教えてください。

クリニック承継では、さまざまな費用が発生します。まず、承継対価として、クリニックの規模や立地、収益性などに応じた金額を支払う必要があります。相場は2000〜4000万円程度とされていますが、不動産を含む場合はさらに高額になるでしょう。また、承継に際しての各種手続きにも費用がかかります。弁護士への報酬、司法書士への登記費用、行政書士への届出費用などです。買収監査を行う場合は、会計士や税理士への報酬も必要です。加えて、クリニックの改装や設備の更新、在庫の買取りなども費用負担となります。承継後の運転資金も十分に用意しておく必要があるでしょう。総じて、承継対価以外にも1000万円程度の費用は見積もっておくべきです。費用対効果を考えながら、無理のない範囲で承継を行うことが賢明だといえます。

編集部まとめ

クリニックの承継は、新規開業と比べて開業資金を抑えられるというメリットがある一方で、承継物件が少ないことや、レイアウト変更の制約、思わぬ出費のリスクなどのデメリットもあります。承継のプロセスは、専門家の助言を得ながら、候補物件の選定、条件交渉、各種手続きなど、段階を踏んで進めていく必要があります。費用面でも、承継対価だけでなく、手続き費用や運転資金など、総合的な準備が求められます。とはいえ、地域医療の継続という意義や、開業準備の負担軽減を考えると、クリニック承継は魅力的な選択肢の一つといえるでしょう。自身の理想とするクリニック像を実現できる承継元を見つけられれば、新たなスタートを切るチャンスになるはずです。