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心臓外科医の年収は?仕事の内容や働き方も紹介

                   
投稿日: 2024.01.17
更新日:2024.03.06
                   

「心臓外科」とはその名の通り、心臓周辺の疾患の治療を行う診療科です。心臓外科医は狭心症や心筋梗塞、大動脈弁狭窄症、心房細動といったあらゆる心疾患・大動脈疾患に対して治療を行います。
心臓を扱う仕事のため、豊富な知識や厳しさが求められますが、その分やりがいも十分に感じられるでしょう。

本記事では、そんな心臓外科医の年収についてまとめています。今後、心臓外科医として働こうと考えている方、今よりも収入をアップさせたいという方はぜひ参考になさってください。

心臓外科医の年収事情

心臓外科医の年収事情

外科系の医師の主な仕事は、検査・診断結果に基づいて手術の必要性を判断することと、実際に手術を行うことです。近年では医療技術の進歩によって外科分野の細分化が進み、心臓やその周辺の血管の治療に特化した「心臓外科」が存在しています。「患者さんの命に関わる仕事のためその分年収も高いのでは?」と考える方もいらっしゃるでしょう。果たしてその考えは合っているのか、ほかの診療科目などと比較しながら解説していきます。

心臓外科医の平均年収はどれくらい?
厚生労働省が実施している「賃金構成基本統計調査」などによると、心臓外科医の平均年収は約1500万円でした。ただ、この金額はあくまで平均値で、勤務医と開業医、地方と首都圏、働き方や医療機関の体制などによって大きくかわります。
心臓外科医の年収はなぜ個人差がある?
前述したように、心臓外科医の年収は働き方や勤務地の所在、勤務している医療機関の要素、救急への対応といったさまざまな条件によって違いが出てきます。もちろん年齢によっても年収は異なるため、「いくらもらえる」と一概には言えません。
心臓外科医の年収は平均より高い?
外科分野の治療や手術は、複数の医師と協力しながら診療を進めていくケースが多く、専門医資格を有する外科医は規模の大きい医療機関に勤務する傾向にあります。そのため、まずは勤務医の場合の年収を比較してみましょう。労働政策研究・研修機構が実施した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、内科医の平均年収が1247万円なのに対して、心臓外科を含む外科医の平均年収は1374万円となっています。

なぜ外科分野のほうが年収が高いのかというと、急患対応や緊急手術を行うことが多いことや手術時間が長いことが理由として考えられます。

心臓外科の開業医の年収は?
心臓外科の診療にはあらゆる医療機器を備える必要があります。また、スタッフの人数や患者さんを万全な状態で管理できる施設なども確保しなければならないため、心臓外科が開業するケースは少ないのが現状です。

一般的に、開業医は2500万円ほどの年収を得られるといわれていますが、前述したように心臓外科は高額な医療機器を多数そろえる必要があったり、その維持費がかさんだりするため、現実的な経営は難しいといえます。

開業するとしても、心臓全般を診る循環器内科系のクリニックとしてオープンし、小規模な手術や心エコーなどを受け持つ程度になるでしょう。

心臓外科医の年収はなぜ変わる?

では、年齢や地域、医療機関によって心臓外科医の年収はどのように違うのでしょうか。

年齢別で心臓外科医の年収に違いはある?
ある調査では、心臓外科や脳神経外科を含む外科分野の医師の平均年収は、20代で600〜1000万円となっています。しかし30代になると、600万円未満、1000~1400万円、2000万円以上のそれぞれが33%と同割合になり、40代になると1000~1400万円が約32%、1500万円以上が半数以上を占めるようになります。

特に、心臓外科医は手術の数が収入に大きく影響するため、経験の少ない若い医師は年収が低く、経験を積めば積むほど年収が高くなっていく傾向にあります。

地域別で心臓外科医の年収に違いはある?
地域によっても年収は大きく異なります。例えば、関東地方の心臓外科医の平均年収が1700万円前後なのに対し、北海道は1800万円が平均となっています。近年では、地域の医療体制の維持や診療体制の強化、常勤医師の負担軽減を目的に、地方で高待遇の求人を行っている医療機関も少なくありません。もちろん医療機関によって差はあるため「都市部だから安い」とも言い切れません。

より年収の高い場所で働きたいと考えているのなら、その地域の相場はどれくらいかを事前に調べておくことをおすすめします。

医療施設別で心臓外科医の年収に違いはある?
心臓外科医の勤務先は大学病院や民間病院が中心で、クリニック勤務はほとんどありません。また、国立や公立の医療機関は給与が低いため、どこに勤務するかで年収が左右されます。「勤務医の就労実態と意識に関する調査」の経営形態別平均年収ランキングによると、1位が医療法人団体で1444万円となっています。2位は個人経営で1414万円、3位はその他の法人経営で1406万円、4位は公的機関が運営する医療機関で1353万円、その後に公立、社会保険関係団体、国立、学校法人と続いています。

心臓外科医が年収を増やす方法

心臓外科医が年収を増やす方法

最後に、心臓外科医が年収をアップさせる方法について紹介します。主に3つの方法がありますので、どの方法がご自身に合っているか、ぜひ検討してみてください。

より好条件の職場に転職で増える?
前述したように、心臓外科医は国立・公立よりも民間の医療機関のほうが高い収入を得ることができます。また、首都圏や大都市圏より地方、特に医療過疎地のほうが好条件で求人を出している傾向にあります。年収を増やすにはこのような条件の職場に転職することが1つのポイントです。

より多くの情報を集めたい場合は、医師専用の人材紹介会社に登録することをおすすめします。転職コンサルタントがヒアリングの内容をもとに希望条件に応じた求人を紹介してくれますし、転職が確定していない段階でも無料で相談することが可能です。転職を選択肢として考えている方は一度相談してみても良いかもしれません。

クリニック開業で年収が増える?
開業するとなると、5000万円以上の初期費用が必要になります。また、心臓外科は特殊な医療機器を導入・維持していかなければならないため、その分経費も高くなり、開業し経営していくのは難しいでしょう。

ただ、一般的な開業医は2500万円ほどの年収を得られると言われていますので、選択肢の1つとしては検討してみても良いかもしれません。医療を提供していくうえで、専門医療機関との連携や知識と情報のこまめなアップデートは必須になりますので、そういったネットワークを整えてから開業することをおすすめします。

専門領域を極めたり外科医の経験をいかして年収を増やせる?
年収アップを図るのであれば、「日本外科学会認定 外科専門医」や「日本血管外科学会認定 心臓血管外科専門医」といった外科領域の専門医資格を取得したり業務に関連する外部講座を受講したりして、業務の幅を広げることをおすすめします。医療は日々進歩しており専門領域の細分化も進み続けているため、ご自身が専門としている分野を深掘りしていくことは医師としての市場価値を高めることにもつながります。さらに、心臓手術の経験を積んでその実績をアピールし、報酬交渉を有利に進めるという方法もあります。

編集部まとめ

心臓外科医の年収についてまとめましたがいかがでしたでしょうか。心臓外科医は、勤務医・開業医どちらとして働く場合でも激務だと言われています。そのため年収の良さだけを求めるのではなく、心身の健康を維持できるかどうかも視野に入れながら勤務先を選ぶようにしましょう。