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クリニックの開業に必要な開業届|記載内容や受理されるまでの期間を解説!

                   
投稿日: 2024.04.03
更新日:2024.04.03
                   

クリニックの開業に必要な行政機関などに提出する書類は、いつまでにどこに提出すればいいのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、

  • クリニックの開業届とは
  • 必要な届出と受理されるまでの期間
  • そもそも開業届は提出すべきか
  • 開業届に関するよくある疑問

これらの内容について紹介します。

開業を検討している方や既に開業準備中の方は、本記事を参考にヌケモレなく準備を進めていただければ幸いです。

クリニックの開業届に関する疑問

クリニックの開業届に関する疑問
開業届ってなんですか? 

開業届とは、個人事業主が事業を開始する際に、税務署に提出する届出のことをいいます。

この届出は、所得税や消費税など税務上の手続きに必要で、事業の開始日から1ヶ月以内に提出します。

またクリニックの開業は、一般的な個人事業とは異なり、「診療所開設届」と「保険医療機関指定申請書」の届出も必要です。

診療所開設届とは、クリニックが診療行為を開始する際に、保健所に提出する届出です。

医療法第8条に基づき、開設後10日以内に提出しなければなりません。
保険医療機関指定申請書とは、クリニックが健康保険制度に基づく保険診療を行うために必要で、診療所開設届が受理された後に厚生局に提出します。

開業届の書き方はどのように書けばいいですか? 

各届出書の提出先から入手できる、所定のフォーマットに従って記入します。

必要な情報には、医療機関の名称や所在地、医師の資格情報などが含まれます。

不明な点があれば提出先に問い合わせるといいでしょう。

<提出先>

  • 開業届:税務署
  • 診療所開設届:所轄の保健所
  • 保険医療機関指定申請書:所轄の厚生局
開業届が受理されるまでの期間はどのくらいですか?

届出書の種類や提出する地域によって異なりますが、数週間〜1カ月で受理されます。

特に注意すべきは「診療所開設届」と「保険医療機関指定申請書」です。

診療所開設届が受理されないと、クリニックで診療を行うことができません。

したがって、開業予定日の2カ月前、内装工事完了のタイミングを目処に提出をするクリニックが多いようです。

保険医療機関指定申請書は、月1回のみ申請が可能で、受理されるまでに1カ月ほどかかります。受理された翌月、1日付けで指定を受け、保険診療が行えるようになります。

「保険医療機関指定申請書」は「診療所開設届」が受理された後でないと申請することができないことにも注意が必要です。

開業の予定日から逆算して、早めに各届出書を提出するスケジュールを立てましょう。

開業届が受理されない場合、どうすればいいですか?

受理されない場合、申請書の記載不備や条件の不足が理由となります。

不備の具体的な理由、また対応策については行政機関から指摘を受けますので、それに従って修正をし、再提出を行います。

開業届を提出するメリット・デメリット

ここからは、「開業届」について、クリニック開業の際に提出するメリット・デメリットを解説します。開業届は届出を出さなくても罰則はありませんが、所得税法で事業開始から1カ月以内に提出しなければならないと定められています。

開業届を提出するメリットはありますか?

開業届を提出するメリットは以下3点があります。

  • 青色申告特別控除が受けられる
  • 屋号名義の銀行口座が開設できる
  • 創業融資の審査を受けられる

青色申告特別控除は、最大65万円を所得から控除ができるため、節税効果があります。

また、赤字を最長で3年間繰越もできるので、黒字になった年の税金を安くすることができます。高い節税効果がメリットです。

また、開業届を提出していれば、屋号名義の銀行口座が開設できます。

屋号名義の口座があれば、事業とプライベートを分けて会計管理が可能で、クリニック経営が順調にできているのかわかりやすくなります。

金融機関からの信用にも繋がり、融資が受けやすくなるのもメリットでしょう。

創業融資においては、開業届の控えの提出が必須となっています。

開業届を提出するデメリットはありますか?

開業届の提出には以下のデメリットがあることに注意しましょう。

  • 失業手当がもらえなくなる
  • 配偶者の扶養から外れる

勤務医を退職してから失業手当をもらっている場合、開業届を提出することで失業手当が受給できなくなります。これは開業準備中の無収入であっても、提出すれば自営業者とみなされるためです。

配偶者の扶養に入っている場合は、開業届を出すことで扶養から外れる可能性があります。

開業し所得金額が増えれば「税制上の扶養」から外れます。また、配偶者の加入している健康保険の種類によっては、自営業者は扶養から外れ、健康保険料の支払いが発生します。

開業届を提出しないメリット・デメリット

開業届を提出しない場合、メリットはありますか?

一般的に開業届を提出した場合のデメリットがなくなります。

クリニックの開業まで準備期間が長く、失業手当をできるだけ長く受給したい場合は、開業届を提出しない方がいいでしょう。

開業届を提出しない場合、デメリットはありますか?

こちらも開業届を提出した場合に得られるメリットが享受できなくなることです。

開業届を提出することは、税務署に個人事業主として事業を営んでいるという、「職業の証明」となります。

つまりは、事業を営む上で必要不可欠な取引先との信用であったり、新たに金融機関に申込む融資、クレジットカードやローンなど、社会的な信用が得られにくくなることもあります。

開業届の提出に関するよくある質問

開業届の提出に関するよくある質問
開業届を郵送で提出した際に控えはどうなるの?

開業届の控えを受け取るためには、開業届を税務署に郵送する際、返信用封筒を同封し、宛先記載と切手を貼付する必要があります。

開業届が受理されれば、1週間程度で控えが返送されてきます。

開業届を郵送で提出した際に不備があるとどうなるの?

開業届に不備がある場合は、返送されますので再提出しなければなりません。

もし、不備の内容がわからなければ税務署に問い合わせしてみるといいでしょう。

開業届の受理状況は確認できますか?

管轄の税務署に問い合わせれば確認できます。郵送で提出した際は、受理完了の通知はありません。返信された開業届の控えを持って受領の確認となります。

開業届の控えは保管しておくべきですか?無くした際の再発行はできますか?

開業届の控えは保管しておきましょう。金融機関のローンやクレジットカードの審査、屋号名義の口座を開設する際に必要となります。もし控えを無くした際は、税務署に「個人情報開示請求」を行うことで再発行をしてもらえます。

編集部まとめ

この記事では、クリニックの開業届の種類、受理されるまでの期間、提出する場合のメリット・デメリットについて解説してきました。

クリニックを開業する際には、さまざまな書類が必要となり、提出先や受理されるまでの期間など、複雑なものとなっています。

「開業届」「診療所開設届」「保険医療機関指定申請書」の3つに絞って解説しましたが、診療内容によって必要な書類は更に多岐にわたります。

ご自身で管理しきれない際は、専門家のサポートも合わせてご検討ください。