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医療法人設立のメリットやデメリットを解説!

                   
投稿日: 2024.01.16
更新日:2024.03.13
                   

開業から7年目をむかえる個人病院を経営している方や、年間事業所得が1800万円を超えている医療機関を運営している方は、医療法人設立を検討されているかと思います。そこで本記事では、医療法人の定義や、医療法人の種類、法人化することでのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

医療法人とは

医療法人とは

医療法人とは、医療施設を立ち上げることを目的に設立された法人のことです。医療サービスを提供する組織となりますので、一般の会社の設立要件とは異なる部分があります。法人を設立するのに必要な条件、事業範囲、医療法人の種類について紹介します。

医療法人と個人病院の違いは?
1つに事業主が異なるということが挙げられます。個人病院の場合は、開業医である医師自身の判断で事業運営を行うことができますが、法人の場合は責任者一人で運営方針を決めることはできません。方針を決定するためには、理事会を開く必要があります。また個人病院であれば、財産や収入を開業医の判断で扱うことができますが、法人に属すると、資産を勝手に扱うことはできません。ここまでの話を聞くと、個人病院のほうがメリットが多いと感じられるかもしれませんが、法人にもメリットがたくさんあります。病院を法人化することで、所得税や法人税の税率を抑えられたり、介護老人保健施設や看護師学校、医学研究所などが運営できたりと、節税の効果が期待でき事業を拡大することもできます。
医療法人の目的とは?
医療法人の制度は、1950年の医療法改正により創設されました。法人化の目的は、医業の永続性を担保しながらも、資金を集積しやすくする体制を整え、非営利性を損なうことなく、安定的な医療サービスの提供を図ることです。そのため、医療法人に属するには、公益性の高い医療を行わなければならないという条件があります。ここで言う公益性の高い医療とは、救急医療・精神救急医療・周産期医療を含む小児救急医療・災害医療・へき地医療・離島医療・重症難病患者の継続的な医療などを指します。
医療法人の種類は?
医療法人は大きく分けて、「社団医療法人」と「財団医療法人」に分類されます。社団医療法人は、病院の開設もしくは、医師・歯科医師が常時勤務するクリニックなど、医療法に基づき開設される法人です。そのほかにも、介護老人保健施設、看護師学校、医学研究所、精神障害者社会復帰施設なども含まれます。設立するには、金銭のほかに、不動産や医療設備などへの出資または拠出と、2カ月以上の運営資金が必要となります。財団医療法人とは、法人または個人による寄付と、拠出による提供財産に基づいて設立された法人です。財団医療法人は、社団医療法人と比べると、財産の基盤があるため運営が安定します。ただ、設立するには、莫大な金額がかかり、寄付金を集めるのは困難といえます。医療法人をさらに細分化すると、「持分あり医療法人」「基金拠出型医療法人」「社会医療法人(旧特別医療法人)」「特定医療法人」に分けられます。クリニックまたは病院を法人化する場合は、このような法人の種類や特徴を詳しく知ることが大切です。

医療法人にするメリットは?

金銭面、社会的な位置づけ、事業面などにフォーカスして、医療法人化するメリットを説明します。

節税効果が高い?将来の備えになる?
法人化することで、主に3つの節税効果が期待できます。1つ目は、所得税から法人税に切り換わることです。個人で経営を行う病院やクリニックの所得税は累進課税となっており、所得が増えれば増えるほど、税率が高くなります。所得税の最大税率は、45%です。それに対し、法人で運営する場合は法人税が適用されます。法人税は所得が高くなっても、一定の法人税※(資本金1億円未満の場合、所得金額が年800万円以下については15%、800万円超の部分については23.2%)を払えば良いので、税負担を大きく減らすことができます。

2つ目は、所得の分散が可能ということです。家族を役員または従業員として雇用している場合は、法人の所得から給与の支払いができます。理事は責任のある役職のため、家族への給与額が多少高額になっても認められやすくなっています。

3つ目は、給与所得が控除されることです。個人経営の場合は事業所得ですが、法人化の場合は所得の区分が給与所得になります。給与所得控除の上限・下限は55〜195万円となっており、理事長や理事の給与を決める際は、所得税の税率が抑えられるラインを考えると良いでしょう。そのほか節税対策として、退職金を出したり、生命保険料を経費に計上できたり、出張旅費や日当にしたりすることも可能です。

※法人税の税率

法人税の税率

出典: 国税庁「No.5759 法人税の税率」

融資を受けやすくなる?
法人化した医療機関は、厳選なる審査のもと都道府県知事の認可を受けた施設となるため、開業医として経営していたときよりも社会的な信用性が高くなります。また、設立する要件に応じて資産を個人と法人とに分ける必要があります。なぜなら、理事長が独断で経営資金を扱ってはならないからです。こうした背景もあり、金融機関から融資を受けやすくなっています。
事業拡大しやすかったり、人材採用が簡単になったりする?
個人で病院またはクリニックを運営する場合は1カ所のみですが、医療法人の場合は病院もクリニックも複数開設できるほか、介護老人保健施設・看護師学校・医学研究所・精神障害者社会復帰施設なども開設することができます。また、先ほども説明したように社会的な信用性が高くなるため、優秀な人材が集まりやすくなります。事業規模が大きくなればなるほど、人材の配置転換もできるようになり、人間関係のトラブルも起こりにくくなるため、従業員にとっても働きやすい環境といえるでしょう。

医療法人にするデメリットは?

医療法人にするデメリットは?

次に、医療法人化することでのデメリットについて解説します。

医療法人化は手続きが大変?
医療法人の開設は、着手から診療開始までに約6〜9カ月かかるとされています。開設までは、設立事前登録・医療法人設立説明会・定款の作成・設立総会の開催・設立認可申請書の作成、提出・設立認可申請書の審査・設立認可書受領・設立登記申請書類の作成など、たくさんの手順を踏む必要があります。これらを、病院またはクリニックで勤務しながら対応しなくてはなりません。さらに書類に不備があると、審査時に差し戻しをされてしまうため、想定よりも時間を要してしまいます。そのため、法人化することを躊躇してしまう医療機関は多くあるでしょう。
経営の管理が大変?
法人化の手続きが終わっても、事務処理はその後も常に発生します。例えば、事業報告書等一式を都道府県知事に毎年提出し、2年に1回は役員変更の手続きをしなくてはなりません。さらに、事業報告書等や監査報告書等の閲覧が求められれば、適宜対応をする必要もあります。
お金の自由がなくなる?
繰り返しになりますが、個人病院とは異なり、医療法人は経営者であっても収入や財産を勝手に扱うことができません。法人化をする際に、個人と法人で口座が分けられます。また、法人から給与をもらう立場になるため、社会保険や厚生年金に加入する義務が発生します。

編集部まとめ

病院やクリニックを法人化するにあたり、メリットやデメリットを確認することはとても大切です。そのうえで、法人化することでどれくらいの利益を得られるのか、法人化をするにしてもベストなタイミングはいつなのかなどを判断しなくてはなりません。本記事を通じて、今後の医療機関の運営に役立てれば幸いです。