医院開業コンサルタントの必要性や種類、選び方の注意点まで詳しく解説！

独立して自身の医院を開業するということは、医師にとって重要なライフステージの一つです。しかし、資金調達や物件選び、人材確保など開業準備の進め方に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

医院開業コンサルタントのなかには、そういった開業支援だけでなく、長期的に開業後の経営サポートをしてくれるコンサルタント会社もあります。本記事では、医院開業コンサルタントの役割や種類、選び方のポイントまで詳しく解説していきます。

医院開業コンサルタントとは？

クリニックのなかでも、特に無床診療所の数は年々緩やかに増加傾向にあります。しかし、開業のために必要な手続きは煩雑で、通常の診察業務と開業準備を並行して行うのは困難です。

そこで、助けになるのが医院開業コンサルタントです。

医院開業コンサルタントとは、医院やクリニックを開業する際に必要な業務をサポートしてくれたり、代行してくれたりするアドバイザー的な存在です。以下のようなサポートを通じて、さまざまな業務をトータルで支援してくれます。

• 事業計画策定
• マーケティング戦略の立案
• 診療圏調査
• 資金調達
• 内装設計
• 医療機器の選定

また、開業後も経営改善や集患対策などの運営サポートを受けることができます。経費削減や新システムの導入など、経営体質の改善や患者満足度の向上のためにできることを提案してくれるでしょう。

医院開業コンサルタントには、有料と無料のコンサルティングがあります。無料コンサルティングは、開業費用を少しでも削減したいという場合におすすめです。

特に初めての開業で経営に関する知識がないという場合でも、コンサルタントが伴走してくれるため安心して開業準備を進められます。

医院開業コンサルタントは、経営パートナーとして、成功に向けた道筋を示してくれる存在といえるでしょう。

医院開業コンサルタントは必要？メリット・デメリットを比較

ここでは、医院開業コンサルタントの力を借りることのメリットやデメリットを解説します。

医院開業コンサルタントに依頼するメリット

医院開業コンサルタントに依頼するメリットとしては、以下のようなものがあります。

時間の節約

医院を開業するには、物件探し、設計・内装、スタッフ採用、医療機器の選定、そして行政手続きなど、やらなければならないことが多岐にわたります。これらをすべて医師ひとりで行う場合、準備のために膨大な時間が必要となり、開業時期が遅れてしまう原因にもなります。

医院開業コンサルタントに依頼することで、以下のメリットがあります。

• 診療に関わる準備や専門研修に専念できる
• 煩雑な手続きをスムーズに進められる
• 行政機関への申請や書類の提出を効率化

例えば、不動産契約や内装業者との調整をコンサルタント会社に代行してもらうことで、開業までの期間が短縮され、結果的に早期収益化にもつながります。

専門知識の提供

コンサルタントは医院開業を専門とするプロフェッショナルです。開業手続きを進めるうえでの注意点や、経営を成功させるためのポイントを熟知したうえでのアドバイスが期待できます。

物件探しでは、近隣の競合医院の調査結果をもとに適切な診療圏を選定し、提案してくれます。また、医療機器の導入にあたっては、費用対効果の検証や選定をサポートしてもらえるでしょう。

受付や待合室のレイアウト・動線計画、患者満足度を高める内装プランの提案、医師が気づきにくい法規制や行政の指導ポイントなど、専門的な知識が必要な部分についてもアドバイスしてもらえます。

人脈の活用

医院開業では、不動産会社、内装業者、医療機器メーカー、銀行など、多くの外部業者と連携する必要があります。開業コンサルタントはこれらの業界に幅広いネットワークを持っており、より適切な業者を紹介してもらえます。

コンサルタントの人脈によって、以下のようなことが可能となります。

• 医療モールやテナント物件の信頼できる情報の提供
• 過去の実績が豊富な建築・設計業者の紹介
• 医療機器のリース契約が得意な金融機関との提携

特に、開業資金の調達においては、金融機関との交渉が重要です。コンサルタントが同行することで、融資の審査や条件面の交渉がスムーズに進みやすくなることがあります。

リスク回避

開業にはさまざまなリスクが伴いますが、コンサルタントが入ることでそれを未然に防ぐことが可能です。特に行政手続きや法的な問題は、専門的な知識が必要となります。

具体的には、以下のようなメリットがあります。

• 医療法や建築基準法に則った設計をサポート
• 保健所や厚生局への申請手続きを代行し、必要な許可をスムーズに取得
• 労務管理や契約関連のトラブルを未然に防止

また、診療圏調査のミスや物件選びの失敗といった初期段階でのリスクも減らすことができるため、開業後の経営の早期安定化が期待できます。

医院開業コンサルタントに依頼するデメリット

一方で、医院開業コンサルタントに依頼するデメリットも存在します。

まず、コストがかかるという点がデメリットとして挙げられます。

コンサルタントへの依頼費用は、数百万円単位の支出になることもあります。見積もりを複数取得して比較検討したり、自分で対応できる部分は可能な限り自分で行ったりして、必要最低限をコンサルタント会社に依頼することで費用を抑えることができます。

結論！医院開業コンサルタントに依頼すべき？

医院開業コンサルタントからのサポートは、特に初めての開業を目指す医師にとって心強い存在です。

煩雑な手続きを一任できることで、本業である診療準備や技術研鑽に集中できるメリットがあります。さらに、コンサルタントは失敗を未然に防ぎ、よりよい条件での物件選びや資金調達をサポートしてくれるため、結果としてコストパフォーマンスも高くなります。

ただし、すべてをコンサルタント任せにせず、自らも積極的に関与する姿勢が大切です。自分のビジョンや経営方針をしっかりと持ち、コンサルタントと連携することで、より理想に近いクリニックを開業できるでしょう。

依頼するかどうかは、費用対効果や自身の知識・経験を踏まえて慎重に判断することをおすすめします。

医院開業コンサルタントの種類

次は、医院開業コンサルタントの種類について紹介します。

医院開業・経営支援を専門としているコンサルタント会社

クリニックの開業から経営支援に特化した専門家であることが特徴で、開業準備から開業後までを手厚くサポートしてくれます。

コンサルティング費用は、一般的に高い傾向にあります。

卸会社系コンサルタント

医薬品や医療機器卸会社が提供する、開業コンサルタントサービスです。

さまざまな病院に出入りしている性質上、クリニック全般の情報に精通しています。勤務医時代からの付き合いがあるなど、慣れ親しんだコンサルタントであると依頼しやすいというメリットもあります。

一方で、そのメーカーの機器や医薬品を発注することが前提である点や、あくまで付帯サービスであるために手厚いサポートは期待ができないという可能性がある点はデメリットとなる場合があります。

コンサルティング費用は、無料から低めの設定であることが多いようです。

建築会社系コンサルタント

ハウスメーカーや建築事業所、不動産会社などが提供するコンサルタントサービスです。

物件紹介や建築施工に強いことが特徴で、設計や内装工事に強みがあり、理想的なクリニックのデザインを提案してくれます。

一方で、こちらも本業の付帯サービスのため、手厚いサポートは期待できない可能性があります。

コンサルティング費用は、無料から低めの設定であることが多いようです。

士業事務所系系コンサルタント

会計士や行政書士、社会保険労務士といった士業が提供するコンサルタントサービスです。

開業後の採用・人事労務・税務・法務などに強いというメリットがあります。しかしながら、開業後の顧問契約が前提になることには注意が必要です。

コンサルティング費用は、無料から低めの設定であることが多いようです。

大手薬局チェーン・医療モール企画会社系コンサルタント

大手の調剤薬局チェーンなどが提供しているサービスです。

調剤薬局の収益は患者さんの処方せんの枚数で決まるため、立地選び、医療モール内での開業を支援してくれます。調剤薬局が主導となり集患対策をしてくれるというメリットもあります。

しかし、医療モール全体として、決まった施工業者や医薬品卸と契約しているケースが多いため、自由に選択できない可能性があることには注意が必要です。

コンサルティング費用は、無料から低めの設定であることが多いようです。

医院開業コンサルタントを選ぶときの3つの注意点

医院開業コンサルタントを選ぶ際には、以下の3つの注意点があります。

医療業界での支援実績が多数あるかを確認する

コンサルタント会社を選ぶ際に最も重視すべきは、医療業界での実績が多数あるのかという点です。

ただし、単に「○○件の開業支援実績があります」という数字だけでは不十分です。開業を目指している診療科目や地域、クリニックの規模に類似した事例があるかを具体的に確認することが大切です。

例えば、内科や小児科の開業支援が得意なコンサルタントが、眼科や皮膚科など専門性の高い診療科目の開業支援に精通しているとは限りません。また、都市部と郊外、地方都市では開業におけるニーズや患者層が異なるため、ターゲットとする地域の開業支援経験があるかどうかも重要です。

性格的な相性を確認する

担当者との相性も重要です。相性が悪いとスムーズなコミュニケーションが取れず、ストレスを感じることもあるでしょう。特に、開業までの過程では何度もミーティングを重ねる必要があり、コミュニケーションのズレが大きな障壁となります。

複数のコンサルタントと面談し相性の良い担当者を選ぶことや、担当者の変更が途中でも可能かどうか確認しておくなどのリスクヘッジを意識しておくことが大切です。

開業後も継続してサポートしてもらうことを考慮し、長期的に信頼できるパートナーを選ぶことが大切です。

開業後のサポート体制が充実しているかを確認する

医院開業は、クリニックを立ち上げたら終わりではありません。むしろ、開業後の経営が軌道に乗るまでが重要です。特に、患者数が思ったより伸びなかったり、スタッフの新規採用が上手くいかなかったりするなど、開業後に直面する多くの課題をどのように解決していくかが経営の成否に直結します。

そのため、医院開業コンサルタントが開業後の経営サポートや問題発生時のアフターフォローにどれだけ力を入れているかを確認することが大切です。

確認すべきポイントとしては以下のようなものがあります。

• 開業後の集患サポートはあるか（広告・SNS戦略、マーケティング支援など）
• 経営相談ができる窓口があるか
• 人材採用・教育に関するサポートが受けられるか
• 定期的な経営分析や改善提案をしてくれるか

開業後も経営サポートを継続して行い、経営状況に応じてアクションプランを提案してくれるサービスを提供しているコンサルタント会社も多くあります。開業後のサポート体制もしっかりと確認して、コンサルタント会社を選定しましょう。

まとめ

医院開業を成功に導くためには、コンサルタントの力を借りることも選択肢の一つです。しかし、コンサルタント選びを間違えると逆効果になってしまう可能性もあります。

相性の良いコンサルタントをしっかりと見極め、信頼できるパートナーと共に理想のクリニック開業を目指しましょう。