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医療AIってなに?AIができることやメリット・デメリットを紹介

                   
投稿日: 2024.01.17
更新日:2024.03.06
                   

AIという言葉が一般的に知られるようになり、さまざまな分野でAI技術の参入が進んでいます。そしてそれは、医療の分野においても同様です。では、いったいどのようなAI技術が医療分野で用いられているのでしょうか。この記事では、医療AIについて、その概要からメリット・デメリット、今後どのようなことが期待されているのかまで詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

医療AIってそもそもなんだろう?

医療AIってそもそもなんだろう?

まずは、そもそも「AI」とはなにを指すのか、「医療AI」とはどのようなものなのかを説明します。

AIってなに?
AIは「Artificial Intelligence」の略称であり、日本語では「人工知能」を意味します。人間の知能を人工的に再現した技術のことを指しており、人間のように自ら学び成長していく機械学習機能が特徴です。具体的には、人間がいる場所を察知して送風や温度調節をするエアコンや、部屋のレイアウトを学習して掃除を行うお掃除ロボット、運転手の代わりに車を運転する自動運転機能、文脈や方言などを理解して翻訳を行う翻訳機能など、さまざまな分野でAI技術の活用が進んでいます。
医療分野で使われるAIとは
医療分野では、ゲノム医療、画像診断支援、診断・治療支援、医薬品開発、介護支援、認知症の予防・早期発見、手術支援といった分野でAI技術が活用されています。これらは、医療従事者の人材不足解消や処置の正確性向上、業務効率化につながっています。
医療現場で、どのように活用されているの?
医療現場でAI技術が活用されている場面は多岐にわたります。まず、代表的なのが画像診断支援です。レントゲンやMRI、CTを用いた画像診断においてAI技術を活用することで、人間の目では確認ができない異常の発見や、見逃しの防止、医師とのダブルチェックが可能になっています。また、胃や大腸の内視鏡検査でもAI技術が用いられており、内視鏡検査中にリアルタイムで解析を行うことで、医師による内視鏡検査の診断をサポートしています。また、問診内容やカルテの内容をAIが解析する技術も発達してきています。この技術は、カルテへの自動入力や疾患の特定などにつながっており、医師の負担軽減を実現しています。 さらに、「AIオンライン診断」と呼ばれる技術も広がってきています。これは、AIを利用した診療アプリに活用されている技術であり、患者さんは症状や基本情報などを入力することで、疾患名の予測とその病状に応じた医療機関の紹介などを受けることができます。

そのアプリ上でオンライン診療を受けられる場合もあり、近隣に適した医療機関がない場合や、感染が懸念される場合などにも役立っています。また、薬を処方する際にもAI技術が使われることがあります。これは、医師が診断を行い必要な薬を選択したうえで、その患者さんの既往歴や体格、症状などに応じて処方量を変えたり、別の選択肢を提案してくれる技術です。

AIが一人ひとりの患者さんのデータを細かく解析して情報を提示してくれるため、医師の業務効率化につながっています。

そのほかにも、遺伝子情報を解析して行う疾病診断や、入院中の患者さんに異常が起こったときの察知、レセプトの作成、手術の補助、新薬の開発など、さまざまな場面でAI技術が活用されています。

日本で医療AIはどれくらい普及している?
さまざまなAI技術が活用され始めているものの、その普及率はまだ高くありません。
2023年に日経リサーチが行った調査によると、AI医療を導入していると答えた医療機関は20%ほどになっており、80%近くの医療機関が導入していないと回答しています。導入している医療機関においては、最も多く導入されているのが画像診断支援技術であり、次いでゲノム医療、診断・治療支援、手術支援、介護支援、認知症の予防・早期発見、医薬品開発という順番になっています。また、導入をしている医療機関の多くは、大学病院や国公立病院など先端医療を積極的に行っている医療機関ということが分かっています。導入していない医療機関の多くは、AI技術を導入することの費用対効果に不安を感じているという結果が出ています。

医療AIのメリットやデメリットってなにがある?

ここからは、医療AIの導入によるメリットやデメリットを解説します。

医療現場でAI技術を活用するメリットはなに?
医療現場でAI技術を活用することには、さまざまなメリットがあります。その一つが、業務効率化を図れるということです。前述したように、これまで医師2人体制で行っていたチェックを、医師とAIのダブルチェックに置き換えることができれば、医師1人分のリソースをほかの業務にあてることができます。また、手動で行っていたレセプト作成をAIが行えば、その分の人件費を削減することも可能です。人材をより有効活用することができ、業務の効率化につながります。診断精度の向上が期待できるという点も、AI技術活用のメリットです。

これまで目視で行っていた作業をAIが担ったり、医師1人で行っていた作業にAIのダブルチェックを加えることで、その分正確性の向上が期待できます。

医療現場でAI技術を活用することによるデメリットは?
医療AIには、メリットだけでなくデメリットも存在します。
例えば、AIには高度な診断技術や解析能力が備わっていますが、しかし、すべての診断や解析をAI技術に任せるというわけにはいきません。学習していない症例の場合、医療ミスを起こしてしまう可能性があるためです。また、AIにも誤作動が起こる可能性があり、それが原因で医療ミスが発生する場合もあります。そのような場合、AIにすべてを任せていると、その責任がどこにあるのかを明確にすることが難しくなります。その点からも、AI技術はあくまでも補助的な役割であり、最終的には人間の確認や判断も必要だということを頭に入れておいたほうがいいでしょう。また、AI技術をうまく活用するためには大量の症例データが必要になります。データ量が少ない場合は、データが十分にある場合と比べて診断などの正確性が下がってしまう可能性があります。
医療現場でAI技術を活用するための課題や注意点は?
前述したデメリットからも分かるように、医療AIの活用には、医療ミスなどのトラブルが起きた際のリスク管理を明確にしておく必要がある、個人情報を含む医療データの取り扱いに配慮する必要がある、AI技術の信頼性を高める必要があるといった課題があります。
医療AIに期待されていることは?
AI技術が医療現場で期待されている点には、医療機関の業務効率化が挙げられます。
メリットの項目で説明したように、AI技術の活用で医療従事者の業務量を削減したり、作業時間を短縮したりすることが可能になります。また、医療における地域格差の解消も期待されています。現在の日本は都心部に医療機関が集中し、地方は医師不足が深刻化しているという現実があります。AI技術を活用して、遠隔地からでも診察や処方が行えるようになれば、そのような格差を是正しやすくなります。さらに、ゲノム医療を始めとした最先端医療の研究が進むことで、一人ひとりの体質や症状に合わせて行う新しい治療法などの発展も期待できます。

医療AIの未来はどうなるの?

医療AIの未来はどうなるの?

最後に、AI技術を活用した医療の未来について説明します。

AI技術活用で進んでいる最新医療とは?
AI技術の活用によって進んでいる最新医療には、少量の血液によるがんのリスク判定、義歯の自動設計、アルツハイマー病の進行予測、認知症やうつ病の診断、不妊治療における客観的助言、患者の感情認識などがあります。そのほかにも、さまざまな研究が進められており、特に病気の早期発見に役立つ画像診断へのAI技術活用は、さらなる発展が期待されています。

編集部まとめ

医療におけるAI技術の活用について、医療AIとはなにかといった概要から、そのメリット・デメリット、具体例などを紹介しました。AI技術が、医療現場の多くの場面で活用され始めているということがお分かりいただけたかと思います。まだ普及率は高くありませんが、医療AIについて知ることで、今後のさらなる普及・発展につながれば幸いです。