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医院が失敗しない電子カルテのチェックポイント|電子カルテ10選を紹介

                   
投稿日: 2025.10.03
更新日:2025.11.13
                   

電子カルテは医療機関の業務効率化や情報共有に欠かせない存在です。しかし、機能や費用、運用体制など確認すべき点は多く、導入に悩む医院も少なくありません。本記事では、電子カルテ導入のチェックポイントとおすすめの10製品を紹介します。失敗しないための選び方を押さえて、適切な電子カルテシステムを見つけましょう。

電子カルテとは?導入が進む背景と基本機能

電子カルテとは?導入が進む背景と基本機能

紙のカルテに代わって診療記録をデータで管理するのが電子カルテです。本章では、電子カルテの役割や仕組み、国の医療DX推進との関係、そして医院規模ごとの活用の特徴を解説します。

電子カルテの基本的な役割と仕組み

電子カルテとは、従来紙で保管していた診療記録をデジタル化し、院内のパソコンやタブレットからアクセスできるようにするシステムです。患者情報や診察記録、検査結果、処方箋、画像データを一元管理でき、必要に応じて迅速に呼び出せます。結果として、検索や入力効率が向上し、業務負担の削減と情報の正確性確保につながります。また、診療報酬請求やレセプト作成と連携可能な製品も多く、スタッフの手間軽減に役立ちます。

国の方針と医療DXの推進

電子カルテ導入が進む背景には、国が掲げる医療DXの推進があります。厚生労働省は、診療情報の電子化や情報共有を推奨しており、普及率を高める施策を展開しています。診療所や中規模・小規模の病院でもクラウド型を中心に導入が広がり、オンライン診療や遠隔医療への対応も視野に入れられています。また、補助金や支援制度の活用により、初期費用を抑えながら導入できる環境も整いつつあります。

参照:医療DXについて|厚生労働省
参照:電子カルテシステム等の普及状況の推移|厚生労働省
参照:医療情報化支援基金等|社会保険診療報酬支払基金

医院規模に応じた活用の広がり

電子カルテの活用は医院の規模で異なります。小規模クリニックでは操作性に優れたクラウド型が好まれ、少人数でも効率的な運用が可能です。中規模以上の医療機関では検査機器や会計システムとの連携を重視し、多機能型を選ぶ傾向があります。大規模病院では地域医療連携やデータ共有が不可欠で、セキュリティ対策や法令遵守が求められます。今後はデータ活用や経営改善への応用も進み、電子カルテは医療機関に欠かせない基盤となっていくでしょう。

電子カルテの選び方とチェックポイント

電子カルテの選び方とチェックポイント

電子カルテを導入する際は、単に価格や知名度で選ぶのではなく、医院の規模や診療スタイルに合ったシステムの選定が重要です。本章では、操作性や特化機能、提供形態の違い、セキュリティ、サポート体制など、失敗しないために押さえておきたい主要なポイントを解説します。

操作性とスタッフの使いやすさ

電子カルテは、日々の診療で頻繁に利用するため、直感的に操作できるかは優先すべき条件です。画面の見やすさや入力のしやすさに加え、タッチ操作の反応速度も業務効率に直結します。特に高齢のスタッフやITに不慣れな職員でもスムーズに扱える設計であれば、教育コストや運用時の負担を軽減できます。

診療科目ごとの特化機能

電子カルテは、診療科目によって求められる機能が異なります。例えば、内科では検査データとの連携、整形外科では画像管理、耳鼻科では処方のテンプレート化などが重要です。自院の診療科に合った特化機能を備えているかを確認することで、日常業務を効率化し、患者さんへの対応品質を高められます。

クラウド型とオンプレ型の違い

電子カルテの提供形態には、大きくクラウド型とオンプレ型があります。クラウド型は初期費用を抑えやすく、インターネット環境があれば院外からでも利用できる柔軟性が魅力です。一方、オンプレ型はサーバーを院内に設置するため、安定稼働やカスタマイズ性に優れています。ただし、保守やアップデートの負担が増えるため、自院の運営体制に合わせた選択が必要です。

セキュリティと法令対応

電子カルテは患者さんの個人情報を扱うため、セキュリティ対策は重要なポイントです。通信の暗号化やアクセス権限の管理、ログ監視などの基本機能に加え、個人情報保護法や厚生労働省のガイドラインに準拠しているかを必ず確認しましょう。法令に対応していないシステムでは、万一のトラブルの際に大きなリスクを抱える可能性があります。

コストとサポート体制

導入費用だけでなく、月額利用料や保守費用も含めたトータルコストの比較検討が欠かせません。また、トラブル発生時の電話サポートやオンライン対応の有無、定期的なアップデート提供など、運用面の支援体制も確認しましょう。導入後に「サポートが不十分で業務に支障が出る」という事態を防ぐためにも、事前のチェックが必要です。

医院におすすめの電子カルテシステム

電子カルテは提供形態や機能の幅が広く、医院の規模や診療スタイルに応じた選定が欠かせません。本章では、小規模から中規模以上の医療機関まで、それぞれに適した電子カルテシステムのタイプを紹介します。

小規模クリニックに適切なシンプル型

小規模クリニックでは、直感的に使えるシンプルなシステムが適しています。導入、運用コストを抑えつつ、一定の診療記録や処方機能が備わっていれば十分です。スタッフが少なくても扱いやすく、初期教育の負担が少ない点も魅力といえます。

中規模以上に適した多機能型

中規模以上の医療機関では、検査機器や会計システムとの連携を前提とした多機能型の導入が効果的です。予約や検査結果の管理、経営データの分析など幅広い業務を一元化できるため、患者対応の質を高めつつ業務効率化を実現できます。

クラウド型の強みを持つシステム

クラウド型は、インターネット環境があれば場所を問わず利用できる柔軟性が特徴です。アップデートやバックアップが自動で行われるため、セキュリティや維持管理の手間を軽減できます。将来的にオンライン診療や遠隔連携を視野に入れる医院にとって、導入効果の高い選択肢といえるでしょう。

電子カルテを紹介

電子カルテにはさまざまなメーカーがあり、それぞれ特徴や強みが異なります。本章では、医院の規模や診療スタイルに応じて選びやすいよう、代表的な製品をピックアップして紹介します。機能やサポート体制、導入メリットを比較し、自院に適したシステム選びの参考にしてください。

CLINICSカルテ|株式会社メドレー

CLINICSカルテは、オンライン診療システムで高いシェアを持つ株式会社メドレーが提供するクラウド型電子カルテです。同社の強みであるオンライン診療、Web予約システムとシームレスに連携できる点が特徴で、単なるカルテ機能にとどまらず、クリニックの集患から予約、診療、会計までの一連の業務フローを統合できます。日医標準レセプトソフトORCAを内包しているため、レセプト業務を一元管理できるほか、経営分析機能で収益構造や患者数の可視化も可能です。オンライン診療の導入を検討しているクリニックや、業務効率化と経営改善を同時に目指す医療機関に適しています。

BrainBoxCloud|株式会社湯山製作所

BrainBoxCloudは、医薬品、医療機器販売で長年の経験を持つ株式会社湯山製作所が提供するクラウド型電子カルテです。同社の強みである医事会計システムや調剤機器との連携に優れており、処方から会計、薬局への情報連携までをスムーズに行える点が特徴です。操作面では、オンプレミス型と同様の操作感を実現しており、電子カルテの移行に不慣れなスタッフでもスムーズに使いこなせます。導入から運用まで、専任の担当者がサポートする体制が整っており、操作方法からトラブルシューティングまで幅広く対応しています。セキュリティ管理の手間を軽減しつつ、院内業務の効率化と信頼性を重視する医療機関におすすめです。

CLIUS(クリアス)|株式会社DONUTS

CLIUS(クリアス)|株式会社DONUTS
引用元:https://clius.jp/

CLIUSは、IT企業としてWebサービス開発に豊富な経験を持つ株式会社DONUTSが開発したクラウド型電子カルテです。同社の強みであるUI/UX設計のノウハウを活かした直感的で使いやすいインターフェースが特徴で、電子カルテに不慣れなスタッフでもスムーズに操作できます。Web問診やWeb予約、オンライン診療機能などを標準搭載しており、受付から診察、会計までの業務を一貫してデジタル化し、院内業務の抜本的な効率化を実現します。紙カルテからの移行を検討しており、業務全体のデジタル化を進めたい医療機関におすすめです。

きりんカルテ|株式会社きりん

きりんカルテ|株式会社きりん
引用元:https://xirapha.jp/

きりんカルテは、医師やエンジニアが開発に携わっているクラウド型電子カルテです。現場の声を反映したユーザー目線の設計が特徴で、診療の進捗に合わせて画面が遷移するなど、医師の思考プロセスに沿った操作性を実現しています。Web問診やオンライン診療機能に加え、AIを活用した音声入力機能も搭載しており、医師の入力負担を大幅に軽減します。サポート体制としては、基本的なチャットサポートが無料で利用できるほか、より手厚いサポートを希望するクリニック向けに、パートナー企業による遠隔、訪問サポートが用意されています。

Medicom-HRf Hybrid Cloud|ウィーメックス株式会社

Medicom-HRf Hybrid Cloudは、PHCグループのヘルスケアIT事業を担うウィーメックス株式会社が提供するハイブリッド型電子カルテです。同社は日本初の医事コンピューターを開発した経験を持ち、電子カルテ、医事コンピューター市場で高い国内シェアを占めます。同製品は、院内にサーバーを置くオンプレミス型の安定性と、クラウド型の利便性を兼ね備えている点が特徴です。院内では高速なレスポンスで診療に集中でき、院外からはノートPCやタブレットでカルテにアクセス可能です。全国約120箇所にサポート拠点を持ち、リモートと対面の両方でサポートを実施しています。オンプレミス型の安定感を重視しつつ、訪問診療など院外でのカルテ参照も必要とするクリニックに向いています。

エムスリーデジカル(M3DigiKar)|エムスリーデジカル株式会社

エムスリーデジカルは、医療情報サイトm3.comを運営するエムスリーグループが提供するクラウド型電子カルテです。同社の強みである豊富な医師会員基盤を活かし、現場の医師の意見を反映したサービス設計がなされています。電子カルテ機能に加えて、問診票の作成やWeb予約システム、オンライン診療など、クリニックの業務全体をサポートする機能を幅広く提供しています。サポート体制の面では、専任の担当者が導入前から運用後まで一貫して支援し、電話やメールでのサポートも実施しています。シンプルな設計で直感的に操作できるため、電子カルテの導入が初めてのクリニックや、業務効率化を進めたい小規模な医療機関に適しています。

ダイナミクス|株式会社ダイナミクス

ダイナミクスは、クリニック向け電子カルテの開発、販売を専門とする株式会社ダイナミクスが提供するオンプレミス型の電子カルテシステムです。同社は、小児科医の意見を取り入れて開発を進めてきた経験があり、特に小児科診療に必要な機能が充実している点が強みです。院内にサーバーを設置するため、通信環境に左右されず、診療情報の高速な入力や表示が可能で、安定した運用を望むクリニックに適しています。サポート体制の面では、電話やリモートでの対応に加え、有事の際には訪問サポートも実施しています。

Warokuクリニックカルテ|株式会社レスコ

Warokuクリニックカルテは、医療機関向けに特化したICTソリューションに強みを持つ株式会社レスコが提供するクラウド型電子カルテです。精神科クリニックに特化している点が特徴です。同社は、精神科病院向けシステムの開発経験を活かし、心理検査の項目や治療歴、生活歴といった精神科特有の情報を管理しやすいようシステムを設計しています。基本的なカルテ機能に加えて、Web予約やWeb問診、オンライン診療にも対応しており、患者さんの利便性を高めつつ、多様な診療スタイルにも対応可能です。サポート体制に関しては、専任の担当者が導入前から運用後まで手厚く支援し、電話やリモートでの対応により、トラブル発生時にも迅速に解決できる体制が整っています。

CLIPLA Eye|株式会社クリプラ

CLIPLA Eyeは、眼科に特化した診療システムを提供している株式会社クリプラが開発したクラウド型電子カルテです。同社の強みである眼科分野への専門性を活かし、眼科特有の検査機器や画像ファイリングシステムとの連携に優れています。カルテと検査データ、画像を一元管理できるため、診療の効率を大きく向上させることができます。また、インターネット環境があれば場所を問わず利用でき、セキュリティやメンテナンスの負担が少ないこともメリットです。眼科の専門性を重視し、業務効率化と質の高い診療の両立を目指すクリニックに適しています。

MEDIBASE|株式会社メディベース

MEDIBASEは、株式会社メディベースが提供するクラウド型の電子カルテシステムです。自由診療に特化している点が特徴で、美容外科や美容皮膚科、AGA(エージーエー)、先進医療などを手がけるクリニックに適しています。電子カルテの基本的な機能に加え、オンライン予約やWeb問診、文書・画像ファイリング、さらに経営分析機能も備えています。サポートに関しては、専任の担当者が導入から運用まで一貫して支援するほか、基本的なチャットやリモートでの対応も行っています。また、サーバー管理やデータバックアップ、バージョンアップといった運用負担が少ないこともメリットです。

電子カルテ導入のメリットと医院への効果

電子カルテ導入のメリットと医院への効果

電子カルテの導入は、単なるデジタル化にとどまらず、医院全体の業務フローや患者サービスの質を向上させる大きな効果をもたらします。本章では、特に重要な3つのメリットを取り上げ、導入によって得られる具体的な成果を整理します。

業務効率化とヒューマンエラー削減

紙カルテでは記録の読み取りや転記に時間がかかり、誤記や確認漏れのリスクもあります。電子カルテを活用すれば、診療記録や検査結果を一元管理でき、必要な情報を即座に検索できます。入力補助やテンプレート機能により、作業の効率化と同時に人的ミスの削減にもつながります。スタッフの負担が軽減され、診療や患者対応に時間を充てられる点は大きな効果です。

院内外での情報連携が容易に

電子カルテは、院内のスタッフ間だけでなく、外部機関との情報共有も容易にします。検査センターや調剤薬局とデータを連携すれば、検査結果や処方内容を即時に共有でき、診療の正確性とスピードが向上します。さらに、クラウド型では院外からのアクセスも可能になり、訪問診療や地域医療連携の現場で活用の幅が広がります。医師、看護師、事務スタッフが共通のデータを参照できることで、院内全体の業務が円滑に進みます。

経営改善とデータ活用

電子カルテは診療情報の蓄積と分析にも優れており、経営改善に直結します。診療科ごとの患者数や検査件数を可視化し、経営状況を把握しやすくなります。また、レセプト請求や会計システムとの連携により未収金防止や収益管理の効率化も可能です。さらに、蓄積した診療データを活用すれば、予防医療の推進や患者満足度向上につながる取り組みにも発展できます。単なる業務支援ツールではなく、医院の持続的な成長を支える基盤としての役割が期待されます。

まとめ

電子カルテの導入は、単に紙をデータに置き換えるだけでなく、医院の運営全体にわたる変革をもたらします。小規模クリニックには、シンプルなシステム、中規模以上には多機能なシステムが適しており、クラウド型は場所を問わない柔軟性を提供します。業務効率化やヒューマンエラー削減、そして経営改善まで、多様なメリットを享受可能で、医院は患者サービスの向上と持続的な成長を実現できるでしょう。