クリニック開業に必要な集客施策について詳しく解説します！

開業直後から患者さんに来院してもらうためには、開業前から計画的に集客対策を実施する必要があります。開業前に地域住民へクリニックの存在を周知し、オープン時から来院してもらえる状態を作ることが理想です。

患者さんが事前にインターネットでクリニック情報を調べていることも少なくありません。開業前から情報発信や広告を行わないと、クリニックの存在を認知してもらうことができません。集客施策を実施せずに開院すると、初期の来院数が少なく早々に資金繰りが苦しくなってしまうおそれもあります。

開業前には、紙媒体とオンラインの両面から多角的な宣伝を行いましょう。具体的には次のような施策があります。

• チラシの配布（ポスティングや折込広告）
• 内覧会の開催
• 看板や仮囲い広告の設置
• 地域へのあいさつ回り
• ホームページやSNSでの情報発信
• バスやラジオへの広告出稿

以上のように、オフラインとオンラインを組み合わせた集客施策が効果的です。クリニック開院予定日から逆算して準備を進め、余裕をもって実行しましょう。

開業前は広告や広報、ホームページ制作、開院イベントなどさまざまなマーケティングのために費用がかかります。

立地や診療内容、競合状況、テナントなのか医療モールなのかといった開業方法などによって必要なマーケティング投資は大きく変わりますが、総開業費の5〜10％を目安に準備しておくのが一般的です。

例えば、総開業費が30,000,000円なら1,500,000～3,000,000円前後、50,000,000円なら2,500,000～5,000,000円という計算になります。商業施設併設型の医療モールでは、費用を抑えられるケースもあります。

コストを抑えつつ効果を出すためには、次のようなポイントがあります。

• 初期段階では、地域ターゲットを明確に絞って広告・広報を行う
• Web中心やSNS活用、患者さんからの紹介強化など、低コストで持続的に効果を出せる施策を優先する
• 費用対効果を計測して改善できるように設定する

開業前のマーケティングは、開院後の集患と定着に直結する重要な投資です。どのようなマーケティングを行うか早めに計画を立て、計画に必要な資金を準備しましょう。

集客施策の一部は自力で可能ですが、専門知識が必要な分野はプロの力を借りることをおすすめします。

開業前後はやるべき準備が山積みのため、マーケティング施策すべてに対応するのは現実的ではありません。例えば、SNS発信や地域へのあいさつ回りなどはご自身やスタッフでも取り組めますが、ホームページ制作やSEO対策、オンライン広告の運用など専門スキルが求められる施策は外部の制作会社や広告代理店に依頼する方が効率的でしょう。

はい、開業後も継続的なマーケティング活動は必要です。開院直後に患者数が順調でも、宣伝をやめてしまえば新患の伸びが止まりかねません。まずは診察券の発行枚数が一定数に到達するまでなど具体的な目標を決め、認知を獲得するための施策を継続しましょう。

ただし、新患広告に頼り続けるのは費用対効果の面で課題があります。時間の経過とともに患者さんからの紹介やリピーターが増え、広告宣伝費の比率を徐々に減らしていく形が望ましいといえます。

患者さんからの紹介や、リピーターを増やすためには、質の高い医療サービスを提供することや接遇に気を配るといった、サービス品質の向上が欠かせません。

保険診療クリニックの集客施策は、地域密着型の地道な施策と、インターネットを使った基本的な情報提供が中心です。

医科クリニックは医療広告ガイドラインによる広告規制があるため、過度な宣伝や誇大表現はできません。その範囲内で効果のある施策として、以下が挙げられます。

• ホームページの充実
• 院内掲示やリーフレットの制作
• 近隣病院との地域連携と紹介体制を構築
• 定期検診やイベントの案内

以上のように、保険診療クリニックの集客は地域に根ざした信頼づくりが基本です。保険診療のクリニックは訴求力が強い広告は打てませんが、正確な情報提供とサービスの向上によって自然と患者さんに選ばれるクリニックを目指しましょう。

自由診療クリニックでは、デジタルマーケティングを駆使した積極的な集客施策が可能です。美容皮膚科や美容外科、再生医療、矯正歯科など自由診療が基本の分野は競争が激しく、広告宣伝に力を入れる傾向があります。

具体的には、次のような施策が考えられます。

• GoogleやYahooの検索連動型広告（リスティング広告）
• SNS広告
• 施術の詳しい解説やQ&A、美容コラム、症例ブログなどサイト内コンテンツの充実
• メールやLINEマーケティング
• キャンペーン情報や新メニューのクーポン情報

このように自由診療クリニックではデジタルマーケティングを中心に多彩な集客施策を展開できます。

ただし、保険診療と同様に誇大広告や不適切な表現は禁止されているので、法規を遵守しつつ創意工夫を凝らし、Web広告やSNSなどあらゆるチャネルを組み合わせて集客を図りましょう。

リスティング広告やSNS広告、メールマーケティングなどを実施する場合は、媒体が提供する計測ツールを活用して、患者さんの獲得単価や広告費用を注視するのがポイントです。

クリニックの集客には、オンラインとオフライン両面で情報発信や予約管理、顧客管理に関わる各種ツールの整備が必要です。

• ホームページ（Webサイト）
• Googleビジネスプロフィール
• SNSアカウント
• オンライン予約システム
• 顧客管理・分析ツール

以上のツールを適切に活用することで、オンラインとオフラインの双方から患者さんとの接点を増やし、スムーズに来院につなげることができます。

オンライン予約システムや顧客管理・分析ツールと電子カルテを連携すると医療事務の効率が向上するので、集客ツールの導入の際は導入予定のツールとの連携の可否を確認しておくのがおすすめです。

開業規模や経営方針によって必要性は異なりますが、専任または兼任を問わず、マーケティング担当者を置くことが望ましいでしょう。

集客施策は一度やって終わりではなく、常に効果を検証し改善を重ねていく必要があります。規模の小さいクリニックや地域密着型の医院では、開業当初は院長やスタッフがSNS投稿やチラシ作成を行うケースもありますが、効果測定やSEO対策、Web広告運用など専門知識を要する部分はノウハウ不足による機会損失につながることもあります。

開業時のブランディング構築やWeb集客を重視する場合は、医療マーケティングに強い専門業者やコンサルタントに依頼して一貫した戦略で整備できますが、その場合でも外部業者との連携役として担当者がいるとスムーズに管理できるでしょう。

また、担当者が不在だと、日々のSNSやホームページ更新が滞る、イベント運営を継続できない、反響があっても分析されず改善策が打てないといった状況に陥りがちです。

開業後の成長を見据え、マーケティングに関して誰がどの範囲まで担うかを明確にしておき、必要に応じて外部の専門家を活用しながら継続的に発信できる体制を整えることが大切です。