脱毛クリニックに必要な電子カルテの機能導入の流れ、注意点を解説!
美容医療への関心が高まるなか、脱毛クリニックの現場では効率的な医院運営と継続的な顧客関係づくりが求められています。コースや契約内容の管理、スタッフ間の情報共有など、日々の業務には多くの手間がかかります。
こうした課題を解決するツールのひとつが電子カルテです。電子カルテには、カルテとしての機能以外にも、再来促進や売上向上に貢献するさまざまな機能が搭載されているものもあります。
本記事では脱毛クリニックおける電子カルテのメリットや機能、導入までのフローを解説します。
脱毛クリニックで電子カルテを導入するメリット

脱毛クリニックでは、複数回の施術を前提としたコース契約による施術が一般的です。クリニックの運営においては、コースの消化状況や予約日時の変更、コース終了後の追加契約など、患者さんの情報をスタッフ全員が共有する体制が求められます。
紙カルテでは各情報の参照、更新に時間と手間がかかり、スタッフ間での情報共有にも限界があります。一方、電子カルテを導入すれば、患者さんの施術履歴や予約情報などをリアルタイムで一元管理でき、スタッフ間での認識のずれを防ぐことが可能です。
また近年、美容医療分野では、カルテ記載の不備が問題視されています。入力支援機能やチェック機能を備えた電子カルテは、記載漏れの防止だけでなく法令遵守の徹底にも有効です。
したがって、脱毛クリニックでは、効率的な運営とコンプライアンスの両面から紙カルテより電子カルテが適しているといえます。
参照:『美容医療の適切な実施に関する検討会の議論の状況について』(厚生労働省)
脱毛クリニックにおける電子カルテの導入は、カルテそのものの機能によるメリットと、付随システムによるメリットがあります。
電子カルテそのものの機能がもたらすメリットは下記のとおりです。
- 患者さんごとのコース消化状況を把握しやすくなる
- 施術履歴が可視化されることで追加契約を提案しやすくなる
脱毛クリニックで電子カルテを導入する大きなメリットが、患者さんごとのコース(役務)消化状況をリアルタイムで把握できる点です。役務の進捗を可視化すると来院間隔が空いている患者さんへのリマインドを実施しやすく、適切なタイミングでの案内によって再来院を促進し、来院頻度を向上させることで売上の安定化につなげることができます。
また、施術履歴から脱毛の進捗状況を把握でき、施術の経過に応じて追加契約の提案を行いやすくなるのもメリットのひとつです。
電子カルテに付随するシステムによって得られるメリットは下記のとおりです。
- 接客やカウンセリングの質が向上する
- 書類管理の手間と保管スペースを削減できる
脱毛クリニック向けの電子カルテでは症例写真をデジタルで管理できるので、経過確認や施術クオリティの共有がしやすくなります。スタッフ全員が同一情報をもとに患者さんへの対応が行えるため、接客やカウンセリングの質の向上にも寄与します。
さらに、契約書や同意書なども電子情報で一元管理できるため、人手をかけて管理する必要がなくなるうえに、書類の保管スペースを削減できます。
加えて、脱毛クリニック向け電子カルテには下記のようなシステムが付随、または連携しているものが多く、活用することでクリニック全体の運営業務を効率化できます。
- 予約システム
- 会計システム
- デジタル問診票
- 経営管理システム
例えば、電子カルテと予約システムの連携で予約情報が自動で電子カルテに反映されるため、入力ミスやダブルブッキングといったトラブルを防止でき、スケジュール管理の手間を削減できます。
また、脱毛クリニックでは多くの場合、患者さんが料金を前払いし、施術を行うたびに売上に計上します。会計上、前払いは前受金として処理されているため、施術ごとに売上を消し込む作業が発生します。会計管理システムが付随している場合はこの消し込み作業を自動化でき、事務作業にかかる負担を削減できます。
経営管理システムを活用すると、売上や役務消化の実態などを把握することもできます。進捗を可視化して適切なタイミングでフォローを行えば、役務消化の滞りによる解約を防ぐことにつながります。電子カルテとの連携で、こうした経営リスクを軽減し、安定した収益管理を目指すことができるでしょう。
脱毛クリニックに必要な電子カルテの機能

脱毛クリニックで電子カルテを導入する際は、以下の機能が搭載されているとよいでしょう。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| カルテ | 基本情報、診療、施術記録などの入力と閲覧 |
| 症例写真管理 | 施術前後の写真を保存、進捗を可視化 |
| シェーマ | 施術部位を図示やマーキング |
| 文書管理 | 契約書、同意書、請求書など各種書類の保存と参照 |
| コース管理 | 施術回数、コース消化状況、追加契約の管理 |
これらに加えて、会計システムやデジタル問診票、予約システムなどとの連携機能があると、活用することでさらに効率的に運営できます。
脱毛クリニックや美容クリニックのように自由診療が中心のクリニックでは、「どの施術が人気か」「どの広告経由で予約が入っているか」といったデータを可視化できる電子カルテだと、効率的なマーケティング運用に大きく貢献します。このような集患を支援する機能を備えたさまざまな電子カルテがあり、脱毛クリニックでも活用することができます。
例えば、予約システムや広告分析ツールと連動できる電子カルテなら、「どの媒体から予約が入ったか」「キャンセル率や来院率がどの広告で高いか」などを数値で把握でき、広告や集患戦略の改善に活かすことができます。
さらに、カウンセリング支援機能を備えた電子カルテなら患者さんの希望やお肌の状態をタブレット上で共有しながら説明できるため、信頼関係の構築や契約率向上にも効果を見込めるでしょう。
このように、集患に役立つ電子カルテとは、診療記録を残すだけでなく、顧客データの活用とリピート施策、広告分析までを一元管理できるシステムのことを指します。導入時は操作性やコストだけでなく、自院の集患方針に合った機能があるかを見極めることが重要です。
コース管理機能とは、契約された施術回数とその消化状況、追加契約の履歴といった役務を管理できる機能です。
- 患者さんごとのコース回数、有効期間、料金の登録
- 消化された施術回数、予約済み回数の一覧表示と、患者さんとの共有機能
- 消化率が低い患者さんの抽出機能
- 追加契約の候補となる患者さんのリストアップ
このように、コース管理機能では患者さんのコース消化と追加契約の余地を可視化できます。
コース消化と追加契約の余地が可視化されることで、来院時に次回予約を促す、施術中に追加契約を提案するといった営業活動がしやすくなります。
近年では、CRM(顧客管理)機能を搭載した脱毛、美容クリニック向けの電子カルテが多数登場しています。CRM(顧客管理)は美容医療クリニックにおいてリピーター獲得や顧客満足度の向上に欠かせない要素です。
例えば、患者さんの来院履歴や施術履歴、カウンセリング内容といったカルテ内の顧客データを活用し、誕生日割引やリピート特典、再来院を促すアプローチ、施術間隔に合わせたフォローメール送信、ポイントアップなどのセグメント配信を自動化できるシステムと組み合わせてリピート率向上につなげられます。
メールやメッセージの開封を確認したら、再度メールを送信するといった取り組みにより、来店率や契約率を向上させる施策にも取り組みやすくなるでしょう。
脱毛クリニックで電子カルテを導入する流れと注意点

電子カルテの選定から導入までの一般的な導入フローは以下のとおりです。
- 導入目的、必要な機能の洗い出し
- 候補システムとの比較検討
- ベンダー決定
- 見積もり、契約
- 納品、初期設定
- スタッフトレーニング
- 運用開始
ベンダー決定から運用開始までの期間はおよそ1〜3ヶ月を要します。開業準備期間は多忙ですが、電子カルテの選定は早めに着手するのがおすすめです。
電子カルテを導入する際には、次の点に気を付けましょう。
- クリニックの規模に見合ったシステムを選定する
- 看護師や医師だけでなく、医療事務スタッフを含む全員が必要な機能を使いこなせるように研修を行う運用ルールを整備しておく
必要に応じてマニュアル整備や研修を行い、日々の入力を習慣化することで、カルテ情報の正確性と信頼性が保たれます。施術メニュー拡大や美容医療への展開の可能性を見据え、拡張性の高いシステムを選定すると、将来的な変化にもスムーズに対応できます。
また、美容クリニックでは土日祝日も診療する場合が多いため、ベンダーのサポート対応時間も事前に確認しておきましょう。
編集部まとめ

脱毛クリニックに電子カルテを導入することで、患者さんの情報をリアルタイムで一元管理でき、スタッフ間の共有がスムーズになります。さらに、電子カルテに付随する機能を活用すれば、リピーター獲得や来院促進、追加契約につなげることも可能です。
クリニックに適したシステムを選定し、診療の質を高めながらクリニック経営の安定化を図りましょう。




