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耳鼻科開業医の年収はいくらぐらい?必要な開業資金や開業を成功させるためのポイントを解説!

                   
投稿日: 2024.06.29
更新日:2024.07.03
                   

耳鼻科の開業を検討している医師にとって、耳鼻科開業医の年収と必要な開業資金は大きな関心事でしょう。一般的に、耳鼻科開業医の平均年収は1900万円程度といわれていますが、あくまで平均値のため立地や経営方針によって大きく変動します。開業には、物件の取得や改装、医療機器の購入などで5000万〜1億円程度の資金が必要とされています。また開業資金の準備だけでなく、開業後の経営を成功させるためには要点を押さえることが重要です。本記事では、耳鼻科開業医の平均年収と開業を成功させるためのポイントについて解説します。

耳鼻科開業医の平均年収

耳鼻科開業医の平均年収
耳鼻科開業医の平均年収はいくらぐらいですか?

「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」では耳鼻科(耳鼻咽喉科)の開業医の平均年収は約1891万円となっています。一方、労働政策研究・研修機構が公表している「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると耳鼻科(耳鼻咽喉科)の勤務医の平均年収は約1079万円とされており、開業することで年収が大きく増加することがわかります。

(出典:勤務医の就労実態と意識に関する調査

(出典:第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告

耳鼻科開業医の年収に、都市圏と地方で違いはありますか?

耳鼻科開業医の年収には地域差があります。一般的に、都市圏や人口の多い地域では、患者数が多いためクリニックの収益は高くなる傾向があります。反対に、地方や人口の少ない地域では患者数が限られるため、収益は低くなりがちです。ただし地方でもスギが多い地域では、花粉症の患者さんが多いため、一定の花粉症治療の需要を見込めるでしょう。また、都市圏でもクリニック同士の競争が激しい地域では、患者数が分散されるため必ずしも年収が高くなるとはいえません。耳鼻科開業医の年収は、クリニックの立地や周辺の競合状況などによって差が生じるため、開業を検討する際は地域の特性やニーズを事前に調査することが大切です。

耳鼻科クリニックの開業を成功させるためのポイント

耳鼻科のクリニックを開業するためにはどれくらいの資金が必要ですか?

耳鼻科の開業資金は、立地や施設の規模、導入設備、医療方針などによって大きく変わります。あくまでも概算ではありますが、土地や建物の費用に、3000万円、設備投資に2000万円とすれば、最低でも5000万円の開業資金が必要になります。具体的にどのような費用がかかるのか、主な費用項目を解説します。

・物件に関する費用

耳鼻科のクリニックをどのような形態で開業するかによって、必要な物件費用の額は変わります。ビルや商業施設の中の貸店舗を借りて開業するテナント開業の場合、保証金や敷金といった初期費用が必要になります。一方で、一軒家を購入して開業する戸建て開業の場合は、物件の購入費用だけでなく、その土地の購入費用もかかる場合があります。

・機器と設備に関する費用

耳鼻科では、電子スコープ、内視鏡システム、聴力計、レーザー治療機器、待合室の備品などが必要です。これらの機器と設備の購入やリースにかかる費用が必要です。

・医療器具と消耗品に関する費用

医療器具や消耗品は定期的に補充する必要があります。施術用具や消毒薬などの購入費用も考慮する必要があります。

・人件費

医師や看護師、事務スタッフなどの給与や福利厚生費、社会保険料などがかかります。

・販促費

病院にも販促費はかかります。具体的には、広告宣伝費やウェブサイト構築費などが必要です。

開業資金を抑えるためのポイントを教えてください。

開業資金を抑えるためには、費用対効果を十分に検討し、優先度の低い機器や設備の購入を控えることが重要です。開業する際は、高性能な機器や先進的な設備を購入したくなるものですが、本当に必要なのか慎重に検討する必要があります。開業後、経営が安定するまでは、優先順位の高いものだけを導入するようにしましょう。また、耳鼻科は、ほかの診療科に比べて大きな医療機器が少ない診療科目でもあります。広い設置スペースが必要ないため、物件費用を抑えてほかの設備投資に資金をまわすなどの工夫も、開業資金を抑えるためのポイントといえるでしょう。

立地・物件選びは、どのような場所を選択するのが良いですか?

耳鼻科は、幅広い年齢層の患者さんが対象の診療科目になります。そのため、どの年齢層をターゲットにするかに応じて、立地や物件選びをすると効果的でしょう。例えば、子どもをターゲット層とする場合、小学校の通学路に面した物件にしたり、サラリーマンをターゲット層とするならば、駅チカの物件にしたりすると集患しやすくなります。また、開業場所を検討する際は、事前に地域の需要や競合調査を入念に行うことが大切です。

耳鼻科の開業で年収が下がってしまう原因とは

耳鼻科の開業で年収が下がってしまう原因とは
耳鼻科の開業で年収が下がってしまう原因を教えてください。

耳鼻科の開業は、多くの場合で年収の増加につながりますが、なかには開業後に勤務医の頃よりも年収が下がってしまうケースもみられます。年収が減少してしまう主な原因には、以下のようなものが挙げられます。

・経営スキルが足りていない

耳鼻科の開業医には、医療の知識や経験だけでなく、経営者としての能力も求められます。財務管理や経理、人事や労務管理、マーケティングなど、経営に必要なノウハウは多岐に渡ります。経営を安定させ年収を上げるためには、経営に関する知識やマネジメントスキルも身につける必要があります。

・患者数が確保できない

耳鼻科では、例えば風邪やアレルギー性鼻炎、急性中耳炎など比較的軽度な症状の治療が多く、複雑な処置や高額な検査が少ないため、ほかの診療科と比較して患者さん一人あたりの診療単価が低い傾向にあります。そのため、安定した患者数を継続的に確保することが重要になってきます。開業しても予想より集患率が上がらないと、赤字経営に陥ってしまう可能性が高くなってしまいます。集患対策にはさまざまな方法がありますが、まずは開業した地域の特性を十分に理解し、それに適した戦略を立てることが大切です。

耳鼻科の開業を成功させるためのポイントを教えてください。

耳鼻科の開業を成功させるためには、患者満足度を向上させるための施策や工夫が重要です。耳鼻科では特に、花粉症などの季節要因によって患者数が増える時期があるため、そうした時期に待ち時間が長くなってしまったり、予約状況がわかりにくかったりすると患者さんの満足度低下につながってしまいます。そのような課題をかかえるクリニックは、オンライン予約システムやオンライン問診票、オンライン診療の導入をおすすめします。患者さんの待ち時間短縮やスムーズな診療サービスの提供で患者満足度をあげることが、耳鼻科の開業を成功させるためのポイントといえます。

耳鼻科開業医の年収を早く上げる方法はありますか?

耳鼻科開業医の年収を早く上げる方法として、承継開業という選択肢があります。承継開業とは、既存の医院やクリニックを引き継いで開業することを指し、物件や医療設備、スタッフなどを引き継げるため、開業に必要な初期投資を抑えることができます。集患という観点でも、既に一定の患者基盤がある状態から経営をスタートできるため、新しく開業する場合に比べて経営を早期に安定させやすいというメリットがあります。新規患者の獲得に悩むことなく、スムーズに経営を軌道に乗せることができれば、年収アップも見込めるでしょう。

編集部まとめ

この記事では、耳鼻科開業医の年収や必要な開業資金、開業を成功させるためのポイントについて解説しました。開業を成功させるためには、導入する機器・設備を優先順位で絞って開業資金を抑え、患者満足度を上げて集患率をアップさせることが重要です。さらに、開業の際には適切な立地選びや継承開業の検討など、さまざまな要素を考慮する必要があります。耳鼻科で開業を検討されている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。