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形成外科開業医の年収は高い?ほかの診療科との比較や開業のメリット・デメリットも解説

                   
投稿日: 2024.06.07
                   

形成外科医は、身体の見た目や機能の改善を目的とした手術を行う専門の医師です。開業医の年収は高いと言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。この記事では、形成外科医の仕事内容や働き方、求められる能力について解説するとともに、勤務医と開業医の年収の違いやほかの診療科との比較、開業のメリットとデメリットについてお伝えします。形成外科の開業を検討している先生方に、ぜひ参考にしていただければと思います。

形成外科医の仕事と働き方

形成外科医の仕事内容について教えてください。

形成外科医は、身体の表面に生じたさまざまな疾患や外傷、先天性の異常などを診断し、手術を中心とした外科的治療を行う専門の医師です。具体的には、やけどや外傷の治療、ケロイドやあざ、イボなどの皮膚疾患の治療、顔面骨折や眼瞼下垂、リンパ浮腫などの治療を行います。また、口唇口蓋裂や小耳症、漏斗胸などの先天性疾患に対する手術や、乳がん治療後の乳房再建手術なども形成外科医の重要な仕事の一つです。

形成外科医が扱う疾患は多岐にわたるため、勤務する医療機関によって治療の中心となる疾患は異なります。例えば、小児専門病院では先天性疾患の治療が中心となり、がんセンターでは乳房再建手術が多く行われます。地方の病院では褥瘡の治療が主な仕事となることもあれば、救急病院ではやけどや外傷の治療に力をいれていることが多いでしょう。

形成外科医の働き方について教えてください。

形成外科医の多くは、大学病院や地域の基幹病院に勤務しています。一部の医師はフリーランスとして活躍していますが、その数はそれほど多くありません。また、皮膚や脂肪、毛髪などの再生医療や創傷治癒に関する基礎研究に従事する研究医も少数ながら存在します。

形成外科医の働き方は、勤務する医療機関によって異なりますが、総じて激務ではなく、緊急手術もそれほど多くないのが特徴です。そのため、プライベートとの両立がしやすく、女性医師の割合も高い診療科と言えるでしょう。

一方で、形成外科単独でのクリニック開業は難しいとされています。形成外科の患者数は多くないため、経営を成り立たせるためには、皮膚科や美容外科との併設が一般的です。

形成外科医に求められる能力は何ですか?

形成外科医に求められる能力は、幅広い知識と豊富な経験、そして高度な手術手技です。形成外科は全身を診療対象とするため、多くの疾患に対応できる知識と経験が不可欠です。また、手術を中心とした治療を行うため、日々の修練を積み重ねて手技を磨き上げることが重要となります。特に、マイクロサージェリーのような繊細な手術を行う際には、もともと手先が器用であることが求められます。ただし、全ての形成外科医がマイクロサージェリーを行うわけではありません。

また、形成外科医は小児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんを診療します。特に小児の先天性疾患の治療では、子どもとのコミュニケーション能力が重要視されます。さらに、形成外科は患者さんの外見に直接関わる診療科であるため、QOL(生活の質)の向上に大きな影響を与えます。患者さん一人ひとりの悩みに寄り添い、病状や希望に合わせてオーダーメイドの治療を提供するためには、高い人間性と優れた美的センスも求められるでしょう。

形成外科の年収

形成外科の年収
形成外科の年収は、勤務医と開業医でどれくらい変わりますか?

形成外科医の年収は、勤務医と開業医で大きな差があります。勤務医としての形成外科医の年収中央値は約1300万円と言われています。一方、開業医の平均年収は約2360万円と、勤務医の年収を大きく上回っています。

開業医の年収が高い理由としては、形成外科では保険診療だけでなく、自由診療の割合が高いことが挙げられます。美容外科的な施術をあわせて提供することで、収入アップを図ることもできます。ただし、クリニックの立地や経営方針によって収入には差が出るため、一概に開業すれば高収入になるとは限りません。

また、勤務医の場合は、勤務先の病院の規模や地域、役職などによって年収は大きく異なります。大学病院や大都市の基幹病院に勤務する形成外科医の年収は、地方の中小病院よりも高くなる傾向があります。

形成外科の年収は、ほかの診療科の年収と比較するとどの程度ですか?

形成外科医の年収は、ほかの診療科と比較するとやや低めです。外科系の診療科の中では、美容外科(約2200万円)、血管外科(約1800万円)、整形外科(約1760万円)などが上位を占めており、形成外科は年収中央値が1300万円となっています。

内科系の診療科と比べると、循環器内科(約1600万円)、透析科(約1600万円)、呼吸器内科(約1570万円)など、一部の診療科の年収中央値が形成外科を上回っています。ただし、内科系全体の年収中央値(約1400万円)と比較すると、形成外科はやや下回る程度です。ほかの診療科と比べても、形成外科の年収は中位から下位に位置しています。特に、美容皮膚科(約2000万円)や肛門科(約1800万円)など、自由診療の割合が高い診療科の年収が突出して高くなっています。

ただし、これはあくまで中央値であり、個人の能力や勤務先の規模、経営状況によって年収は大きく変動します。形成外科医の需要は今後も高まると予想されるため、将来的には年収の上昇も期待できるかもしれません。

形成外科の開業

形成外科の開業
形成外科を開業するメリットを教えてください。

形成外科を開業するメリットとしては、まず、年収アップが期待できる点が挙げられます。自由診療の割合が高い形成外科では、その収益性の高さから、勤務医時代の数倍の年収を得ている開業医も少なくありません。

また、開業医になれば、自分の裁量で働く時間をコントロールできるようになります。形成外科は、救急対応が必要なケースがやや少ない診療科です。そのため、勤務医時代のような不規則な勤務体系から解放され、プライベートな時間を確保しやすくなるでしょう。

さらに、開業医の大きな魅力は、自分の理想とする医療を提供できる点です。勤務医の場合、所属する組織の方針に沿った診療を求められますが、開業医なら自分の信念に基づいた医療を実践できます。クリニックの立地や設備、スタッフの採用から診療内容まで、すべてを自分の理想に近づけていくことが可能なのです。

形成外科を開業するデメリットを教えてください。

形成外科の開業は魅力的な選択肢ですが、いくつかのデメリットについても理解しておく必要があります。まず、開業に際しては、医療機器の導入にかなりの初期投資が必要となる点には注意が必要です。特に、形成外科とあわせて美容外科を標榜する場合、高額なレーザー機器などの購入が必要となることがあります。美容外科は自由診療であり高い収益が見込めますが、過度な設備投資は経営リスクを高める可能性があります。

また、開業当初は集患に苦労することも少なくありません。形成外科は競合がやや少ない診療科ではありますが、新規開業したクリニックが地域に浸透し、安定した患者数を確保するまでには時間がかかります。そのため、集患のための広告宣伝費が継続的に必要となるでしょう。特に、形成外科と整形外科、美容外科の違いは一般の方にはわかりにくいため、自院の診療内容や特長を丁寧に説明していく努力が欠かせません。

編集部まとめ

形成外科は、身体の見た目や機能を改善する診療科であり、その需要は今後ますます高まっていくと予想されます。形成外科医の平均年収は、勤務医で1300万円程度、開業医になると2000万円以上になることもあり、開業によって収入増が見込めます。一方で、形成外科医として開業するには医療機器の導入費用や集患のための広告宣伝費などの初期投資が必要であり、経営者としての能力も求められます。開業のメリットとデメリットをしっかりと理解し、自分に合ったキャリアプランを考えていくことが大切です。