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歯科医師の年収は?開業医や勤務医の違いも紹介

                   
投稿日: 2024.01.17
更新日:2024.03.06
                   

歯科医師を目指している方で、「勤務医と開業医とで年収にどれくらいの差があるのか知らない」という方もいるでしょう。

また、歯科医師としてすでに勤務している方のなかにも「今よりも年収を上げるためにはどうすればいいのか」と考えている方は多いかと思います。

そこで本記事では、歯科医師の年収事情、年収に差が出る理由、年収を増やす方法などについて詳しく解説します。

歯科医師の年収事情

歯科医師の年収事情

歯科医師の年収が、ほかの業種や職種と比べてどのくらいの位置づけにあるのかをご存じでしょうか。ここでは、「開業医と勤務医の年収の違い」「歯科医師の平均年収の実態」「開業医の年収」などについて説明します。

歯科医師の平均年収はどれくらい?
歯科医師の平均年収は約800万円といわれており、その内訳は平均月収が約62万円、平均年間賞与が約60万円です。あくまで平均値のため、住んでいる地域や勤務形態、年代、性別などによって実際の収入は変動します。また、勤めている歯科医院が「保険診療の患者をターゲットにしているのか」「自由診療の患者をターゲットにしているのか」などでも、年収は大きく変動します。
開業医と勤務医の年収の違いは?
歯科医師の年収は、開業医か勤務医かによって大きく変わります。勤務医として働く場合の年収は、約700万円です。他方で、自身でクリニックを開業して診療を行う場合の年収は、約1400万円となります。ただ、歯科医院を継承でなく、新規で開業する際は、約5000万円の資金が必要です。

銀行や自治体などで融資を受ける場合が多いため、その返済に備えておくことが大切です。また、歯科医院は医科のクリニックと比べても競争率が高いので、事業計画をしっかりと考えておかないと、思うような収益を得ることができなくなってしまいます。

勤務医の段階から、資金をしっかりためておくことと、入念に事業計画策定などの準備をすることが大切です。

歯科医師の年収は平均より高い?低い?
全産業の平均年収が463万円であることを考えると、歯科医師はその倍の年収を得ていますので、平均よりかなり高いことがわかります。初任給は月35万円が目安になりますが、3、4年目以降は歩合制が導入されることが多いため、30歳前後からは年収に差がつきやすいとされています。また、勤務医や開業医なのかによっては、20代でも年収に差が出てきます。
歯科医師の開業医の年収は?
厚生労働省の2020年のデータによると、開業をした歯科医師の平均年収は、約1500万円とされています。しかし、前述したように開業時に借金をした場合はその返済が必要になりますし、税金などを考慮する必要もあります。開業資金の内訳は、医療機器が約2750万円、賃貸・内装工事が約2250万円、求人広告が約200万円です。

開業する場所や購入する医療機器、医療機器の数によってこの金額は増減しますし、これらに加えてスタッフの研修費用などもかかりますので、5000万円以上の開業資金がかかる可能性もあります。

歯科医師の年収はなぜ変わる?

例えば同じ年代の歯科医師であっても、給与額に差が出る場合は多くあります。そのような年収に差が出る理由を、年齢別・職位別・医療施設別に分けて説明します。

年齢別で歯科医師の年収の違いはある?
歯科医師の年収は、40代後半を目途に1000万円に近づきます。年代別に見ると、24歳以下で約210万円、25歳から29歳までが約460万円、30歳から34歳までが約640万円、35歳から39歳までが約990万円、40歳から44歳が約1000万円となります。

それ以降、65歳までは、1000万円前後が平均年収となっており、大きく変動するようなことはありません。給与額のピークは、45歳から49歳までです。

このデータからわかることは、20代半ばは研修医ということもあり、多額の年収は期待できませんが、歯科医師としての知識や技術を磨くことで、年齢を重ねるにつれて収入が上がっていくということです。

職位別で歯科医師の年収の違いはある?
勤務医や副院長、院長といった役職の違いは、歯科医院を運営するうえでの責任範囲の違いを表すため、役職が上がるにつれて年収も増加します。また、歯科医師としてのスキルも生涯年収に直結します。治療の幅を広げ、高いスキルで治療を行うことができれば、患者さんから信頼され、集患につなげることができます。

また、歯科医師の年収は、以前は男女で差がありましたが、近年では女性の歯科医師の増加と活躍に伴い、男性歯科医師との間に給与の差はほとんどありません。

医療施設別で歯科医師の年収の違いはある?
地域によって集患率が異なりますので、同じような治療を提供していても、医療施設によって年収には差が出ます。また、歯科一般・小児歯科・予防歯科を行う施設は、矯正やインプラント・ホワイトニングなどの自由診療を専門とする施設よりも年収が低くなります。

もし、勤務医のままで年収を増やしたい場合は、患者さんが多く集まる医療施設に就職・転職するか、自由診療も取り扱っている医療機関で勤務することをおすすめします。

歯科医師が年収を増やす方法

歯科医師が年収を増やす方法

ここでは、分院長の年収、勤務先での年収の変動、診療範囲による年収の差について触れながら、年収を増やす方法について説明をします。

分院長になると年収が増える?
会社経営と同様に、昇進することで年収はぐっと上がります。分院の院長になると、平均年収が1500万程度になります。分院長に就任することには、院長としての経験を積みながらも、高い給与を安定的にもらうことができるというメリットがあるのです。ただし、その分、分院の院長としての運営責任が求められます。
民間の医療機関によって年収は変わる?
年収は、勤務先によって変わります。集患が難しい地方の歯科医院と、人が自然と集まる都内の歯科医院とで年収を比べると大きな差が出ます。思うような収益がないと、多くの給与を出すことはできないからです。もちろん、その歯科医院や歯科医師が対応している診療科目によっても、給与の額は変わります。

ただし、当然ではありますが年収だけで就職や転職をする医療機関を選ぶことにはリスクが伴います。歯科医師としての将来設計を踏まえながら、年収だけでなく、得られるスキルや経験も踏まえて慎重に選ぶようにしましょう。

自費診療で年収が増える?
保険診療と自由診療とでは価格帯が異なりますので、年収も変わります。保険診療は安価で治療ができるため、歯科医院が得られる利益は少ないとされています。そのため、保険診療と並行して、自由診療を行う医療機関も増えています。開業医の場合は、自由診療を行うために高額な素材や機械を導入する必要があるため、収支のバランスを見ながら運営を考えなければなりません。

また、患者さんに自由診療の治療を案内する場合は、治療におけるメリットや必要性などを丁寧に伝えるコミュニケーション能力が必要となります。

編集部まとめ

年収を知ることは、「どのような歯科医師を目指すのか」の一つの指標となります。将来、歯科医師を目指されている学生にとっても、歯科医院の開業を検討されている歯科医師にとっても、リアルな年収を知る良い機会となったのではないでしょうか。記事を通じて、今後の歯科医師として歩む道の参考になればうれしい限りです。