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【クリニック開業時】ホームページ制作のポイント8選!制作の流れなどもわかりやすく解説

                   
投稿日: 2025.12.05
更新日:2025.12.03
                   

インターネットの普及に伴い、多くの医療機関では患者さんたちへの情報提供を行うためのWebサイトを開設しています。患者さんが自分自身の症状や通いやすさなどから医療機関を選択するときに、ホームページはとても役立ちます。

今回の記事では、クリニック開業におけるホームページの役割、制作前に整理すべきポイントや、制作会社の選び方などを解説します。

目次

  1. 1 クリニック開業時にホームページが必要な理由
  2. 2 ホームページ制作前に整理しておくべきこと
  3. 3 【クリニック開業時】ホームページ制作のポイント8選
  4. 4 【クリニック開業時】ホームページに必要な基本情報
  5. 5 【クリニック開業時】ホームページを制作する流れ
  6. 6 まとめ

クリニック開業時にホームページが必要な理由

クリニック開業時にホームページが必要な理由

クリニックの開業時にホームページが必要な理由はいくつかあります。

開業前から情報発信できる

ホームページを設けることで、開業前からでも患者さんにクリニック名や院長をはじめとしたクリニックの情報を提供できます。

開院日時やアクセス情報、診療科目、内覧会情報などを掲載しておくことで、地域住民に認知されやすくなり、開業初日からの受診につながります。

診療方針や理念を伝えることでミスマッチを防げる

医師としての専門性や診療理念、院内で重視する価値観をホームページに記載すると、患者さんは自分に合ったクリニックかどうかを判断しやすくなります。

患者さんがクリニックを選ぶときの判断材料になる

患者さんがクリニックを受診する際は、さまざまな方法で情報収集をしています。そのなかでも大きなウェイトを占めるのが医療機関が発信するインターネットの情報です。

厚生労働省が発表した、外来・入院患者さんたちが病院を選ぶ際の主な情報の入手先は下記のとおりです。

  • 家族や友人、知人
  • 医療機関が発信するインターネットの情報
  • 医療機関、行政機関以外が発信するインターネットの情報
  • 医療機関の相談窓口

家族や友人、知人からの情報に次いで多いのが医療機関が発信するインターネットの情報です。このように、ホームページは患者さんがクリニックを選ぶときに判断する材料として多く用いられる重要な判断材料であるといえます。

参照:

『令和5(2023)年受療行動調査(概数)の概況』(厚生労働省)

採用活動に活用できる

ホームページに、看護師や医療事務スタッフなどのスタッフを募集するための採用ページを作成することもできます。勤務先を探している医療従事者にとって、ホームページは働く場所のイメージをつかむための情報源となりえます。

院長の人柄や診療理念、業務方針、院内の雰囲気、教育体制などを掲載することで、理念に共感したスタッフが集まりやすくなるでしょう。スタッフインタビューやスタッフの情報を掲載しておくと、職場の雰囲気が伝わりやすく、採用時のアンマッチの防止に役立ちます。

ホームページ制作前に整理しておくべきこと

ホームページ制作前に整理しておくべきこと

ホームページは、クリニックの理念や診療姿勢を患者さんへ伝える“顔”のような存在だといえます。スムーズな制作のために、ホームページ制作前に整理しておきたい3つのポイントを紹介します。

診療コンセプトを言語化する

まず重要なのが、クリニックとしてどのような医療を提供したいのかを明確にすることです。診療コンセプトはブランディングを進めるうえでも欠かせないポイントで、ホームページ全体の基盤になるため、曖昧なまま制作を進めないようにしましょう。

例えば、以下のようにクリニックごとにさまざまなコンセプトが考えられます。

  • 地域のかかりつけ総合クリニックを目指す
  • 専門性の高い治療を提供して、特定の症状に強いクリニックを目指す
  • 待ち時間のストレスを減らし、通いやすい環境づくりを重視する
  • 女性の健康を総合的に支える診療を行う
  • 画像診断に強いクリニックとして差別化する

コンセプトを明確や診療方針、こだわり、医療理念などを言語化しておくことで制作会社もデザインや構成に落とし込みやすくなり、ホームページに使用する写真や、サイトのデザインや色合い、文章のトーンなどを決めやすくなります。制作会社などとの打ち合わせややりとりもスムーズになるでしょう。

ターゲット層を明確にする

ホームページは、誰に向けて情報を届けたいのかを明確にすることでデザインや文章、導線設計が大きく変わるので、診療科目や院長の注力分野などを考慮して、患者さんの中心となる層を具体的に設定しておくことも大切です。

ターゲットは、年齢層や生活環境、ニーズなどを軸に整理してみましょう。

  • 子育て世代
  • 働くビジネスパーソン
  • 高齢の方が多い地域
  • 女性の患者さん
  • 専門性を求める患者さん

など、どの層に向けて発信するかをはっきりさせることで、患者さんにとって使いやすいホームページに仕上げることができます。

競合クリニックの強みと弱みを把握する

同じ診療圏内にあるクリニックをリサーチすることで、何を強みにしているか、どのような情報が不足しているか、患者さんが何に困っているかがわかります。これを踏まえて、自院の差別化ポイントを反映させることで、患者さんにとって魅力的なホームページに仕上げられます。

【クリニック開業時】ホームページ制作のポイント8選

【クリニック開業時】ホームページ制作のポイント8選

ここでは、ホームページ制作で特に重視したい8つのポイントを解説します。

院内の雰囲気が伝わる写真を掲載する

写真は文字よりも覚えていられる量が多く、記憶できる時間が長いといわれています。そのため、医院の雰囲気が伝わるような、外観や受付、待合室、診察室、あるいはキッズスペースなどの写真を掲載すると、患者さんに印象が残りやすくなります。

設備や対応可能な範囲まで説明する

クリニックのホームページでは、院内にどのような設備が整っているかをわかりやすく掲載することが大切です。

医療広告ガイドラインでは、設備や医療機器の掲載は適切な範囲であれば認められているため、MRIやCTなどの画像診断装置、レントゲンや内視鏡、エコーなどの配置状況を掲載することができます。

ただし、承認または認証を得ていない医療機器の広告は掲載が禁じられているため、機器の名称や性能の書き方には注意しましょう。

また、どこまで診てもらえるのかという点も患者さんが知りたいポイントです。対応可能な診療範囲を具体的に記載することによって、「この症状を診てもらえるのか」「自分に合ったクリニックなのか」「専門的な検査が可能か」という疑問を解消できるでしょう。

参照:

『医療法における病院等の広告規制について』 (厚生労働省)

『医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)』 

必要な情報の抜け漏れがないようにする

ホームページが完成した後にページや情報の抜け漏れがあると、修正作業や費用が発生するおそれがあります。クリニックのホームページを作成する際は必要な情報を整理し、どのようなページが必要なのかを書き出しておくことで、情報の抜け漏れを防止できます。

ターゲット層に合わせて見やすさと雰囲気を調整する

クリニックのホームページはターゲット層に合わせてデザインや色合い、文字の大きさなどを調整することで、患者さんがストレスなく情報にたどり着きやすくなります。

例えば、小児科ならやわらかい色調、心療内科なら余白を活かした落ち着いたデザインや、必要な情報にすぐにアクセスできるシンプルな構成が向いています。高齢の方がターゲットの場合は大きめの文字と押しやすいボタンなど、ターゲット層に合わせてデザインを調整します。

現在はスマ-トフォンで閲覧している方も多いので、フォントサイズやボタンの大きさ、ページ遷移のわかりやすさにも気を配りましょう。

DXツールとの連携がスムーズにできるようにする

近年のクリニック運営では、オンライン予約やWeb問診、キャッシュレス決済、電子カルテなど、さまざまなデジタルトランスフォーメーション(DX)ツールが活用されてきています。こういったDXツールとホームページを連携できれば、患者さんの手間を減らし、クリニック側の業務負担を軽減することができます。導入予定のDXツールがある場合は、ホームページと連携できるかどうかを事前に確認しておきましょう。

また、近年は医療DXの推進に伴い、オンライン資格確認の導入や患者さんの薬剤情報・特定健診情報の活用が求められています。これらの取り組みは診療報酬にも関係しており、オンライン資格確認を行っていることと、診療に必要な情報を取得・活用していることを、見やすい場所およびホームページなどに掲示する必要があります。

こうした背景から、クリニックのホームページは単なる案内としてだけでなく、医療DXの取り組みを患者さんへ周知するための重要なツールとして活用することもできるでしょう。

参照:

『医療DX対応について』(厚生労働省)

医療広告ガイドラインを遵守する

クリニックのホームページを制作する際に、必ず意識しなければならないのが医療広告ガイドラインの遵守です。医療機関のホームページは広告として扱われるため、表現してよいものといけないものが法律で細かく定められています。

ガイドラインで特に注意が必要なのは、患者さんに誤解を与える表現や、事実を過度に強調する表現です。例えば、以下のような記載が禁止されています。

  • 体験談や口コミの掲載
  • 比較優良広告
  • 過度な表現
  • 「必ず治る」「絶対に痛みが出ない」などの断定的表現
  • ビフォーアフター写真の掲載(原則禁止)
  • 未承認の医療機器や治療のアピール

また、正しく掲載すべき項目も定められており、診療科目や診療時間、所在地、院長名などの基礎情報を正確に掲載することもガイドラインの条件です。

医療広告ガイドラインは難しく感じることもありますが、制作会社が医療分野に慣れているとスムーズに対応できます。開業時のホームページ制作では、ガイドラインを理解し、適切な内容と表現で構成することが信頼性の高いホームページづくりにつながります。

参照:

『医療法における病院等の広告規制について』 (厚生労働省)

『医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)』

公開後の保守や更新作業を誰が行うのかを決めておく

ホームページは公開後も、診療時間の変更、スタッフ変更、休診のお知らせなどの情報の更新が必要です。

保守契約を制作会社に依頼するのか、自院でコンテンツ管理システム(Contents Management System:CMS)を使って更新するのかなど、公開後の更新にも対応できるような運用体制を整えておきましょう。

医療機関のホームページ制作の経験がある制作会社を選ぶ

医療業界特有の表現や医療広告ガイドライン、SEOに精通した制作会社は、医療特化ならではの視点での提案ができます。

医療広告ガイドラインに対応しているかどうか、写真の撮影経験があるかどうか、医科・歯科双方での経験はあるのか、などは制作会社選びの重要ポイントです。

【クリニック開業時】ホームページに必要な基本情報

【クリニック開業時】ホームページに必要な基本情報

ホームページを制作するときには、わかりやすく正確な情報を整えることが大切です。特に開業初期は、地域住民にどのようなクリニックかを伝えるため、信頼性と透明性を意識して構成しましょう。

診療科目、診療内容

診療科目だけでなく、具体的にどのような症状や疾患に対応しているのかを丁寧に記載します。例えば、内科だけでなく、生活習慣病の管理、発熱外来対応などの補足があると、患者さんが自分に合った診療科を選びやすくなります。また、専門的な検査や治療を行う場合は、その説明や対象疾患を明記しておくと、誤解や不安を防ぐことができるでしょう。

診療時間、休診日

診療時間や休診日は患者さんの利便性に直結する情報なので、曜日ごとの診療スケジュールや受付終了時間、祝日診療の有無などを具体的に掲載しましょう。スマートフォンでも見やすい表形式にすると親切です。

アクセス情報

地図や交通手段の案内は、患者さんが迷わず来院できるようにするための重要な要素です。最寄り駅やバス停だけでなく、駐車場・駐輪場の有無、車いす対応の可否なども明記しましょう。〇〇スーパーの向かい、××ビル2階など近隣のランドマークを補足すると、初めて来院する方にもわかりやすくなります。

徒歩の患者さんが多く来院することが見込まれる場合には、最寄り駅やバス停からの道順を写真で案内しておくと親切です。

院内紹介、設備写真

写真や動画を活用して院内の清潔感や雰囲気を伝えることは、患者さんの安心感につながります。待合室、診察室、検査機器などの画像をバランスよく配置し、撮影時には明るさや構図にも配慮しましょう。特に小児科や産婦人科などでは、キッズスペースやプライバシーに配慮した空間設計を紹介するのがおすすめです。

院長やスタッフの紹介

院長プロフィールでは、各学会が認定している資格や専門分野、診療への想いなどを簡潔な言葉で伝えましょう。経歴だけでなく医療理念や患者さんに対する姿勢を掲載するのがポイントです。スタッフ紹介では笑顔の写真を添えるなど、親近感を与える工夫も効果的です。

お知らせ

お知らせ欄は更新頻度が高い部分です。休診・代診情報、ワクチン接種開始、花粉症シーズンの診療体制などを適宜発信します。情報更新が滞ると印象が悪くなるため、責任者を決めて定期的に見直す体制を整えましょう。

求人、採用情報

スタッフ募集を行う際、ホームページの活用によって採用コストを抑えられます。

募集職種や勤務形態、応募方法を明示し、職場の雰囲気が伝わる写真やスタッフの声を掲載すると応募意欲が高まります。採用情報は一時的な掲載になりがちかもしれませんが、将来の増員を見据えて常設ページにしておくのもおすすめです。

【クリニック開業時】ホームページを制作する流れ

【クリニック開業時】ホームページを制作する流れ

クリニックのホームページ制作は、開業準備の大切な工程のひとつです。大まかな制作フローを知っておくことで、スムーズにプロジェクトを進められるでしょう。ここでは一般的な制作の流れを紹介します。

制作会社に相談、見積もり依頼

まずは、医療系の制作実績がある会社を中心に相談し、制作の方針や予算感を確認します。ホームページの目的や、どのような患者さんに来てほしいのかなど、開業の方向性を伝えることで、より細かい見積もりを提示してもらえます。

複数社に相談して金額や制作期間、サポート体制を比較することで、相性やサービス内容を判断しやすくなります。

コンセプト決定、掲載内容の整理

制作会社と方向性をすり合わせながら、診療理念やターゲット層、強み、設備などの情報を整理し、方向性を固めます。同時に、診療内容やアクセス、院内紹介など掲載する内容を洗い出し、情報の優先順位を固めることで構成やデザインがスムーズに決まります。

構成案作成

トップページの構成、導線設計、各ページの内容を決めていきます。予約導線やよくある質問など、来院前に疑問を解消できるページ設計を意識しましょう。

デザイン制作

色、雰囲気、写真、フォントなどを決め、具体的なデザインを作成し、必要に応じて院内写真の撮影も実施します。開業時の内装や看板とトーンを統一するなども、ブランディング効果を高めることに寄与するでしょう。医療広告ガイドラインに沿った表現になっているかも、この段階で確認しておきます。

サイト構築

デザインが完成したら、Webサイトとして実装します。スマ-トフォンやタブレットでも見やすいレスポンシブ対応になっているか、予約システムやWeb問診などのDXツールの導線に問題はないかもこの段階で確認します。動作確認を行いながら、ページの表示速度や操作性も最終チェックしましょう。

公開、運用開始

公開後は、定期的に更新を行いながら、患者さんに必要な情報を届けていきます。開院日の1〜2ヶ月前に公開すると、地域の方に認知されやすく、内覧会の告知にも活用できます。アクセス解析ツールを導入して、閲覧数や検索ワードを把握し、継続的に改善しましょう。

まとめ

まとめ

クリニックのホームページは、集患や採用、理念発信のすべてに関わる経営の核となる存在です。開業準備の早い段階で制作を始めることで、より質の高い情報発信ができ、地域の患者さんに選ばれるクリニックづくりに貢献します。

診療コンセプトの言語化、ターゲット設定、制作会社選びなどを丁寧に進めながら、ガイドラインを遵守したホームページを整えていきましょう。

【参考文献】