美容クリニックを開業するまでの流れと成功させるための5つのポイント

近年、美容医療への関心が高まり、美容医療の市場規模は日本だけでなく世界的に拡大しています。
今後も市場規模が拡大する見込みの美容クリニックですが、開業を成功させるためには慎重な計画と準備が欠かせません。
本記事では、美容クリニックを開業する際の流れや、成功に導くためのポイントを解説していきます。
目次
- 1 美容クリニックの市場規模と将来性
- 2 美容クリニック開業までの流れ
- 2-1 クリニックのコンセプトを決める
- 2-2 開業するエリアを決める
- 2-3 開業後1年のキャッシュフロー表を作る
- 2-4 資金調達について金融機関等に申し込む
- 2-5 クリニックの名前を決める
- 2-6 看板や公式サイトに使用するロゴのデザインを発注する
- 2-7 内装業社を選定する
- 2-8 各種什器や医療機器を選ぶ
- 2-9 消防署、保健所に必要な手続きについて確認する
- 2-10 電子カルテや自動精算機等を選定する
- 2-11 公式サイトの制作、SNSアカウントの開設に着手する
- 2-12 採用活動を開始する
- 2-13 内装工事をスタートする
- 2-14 広告代理店を選定しマーケティング施策を検討する
- 2-15 保健所の立ち会い検査と開業届の提出
- 2-16 院内に医療機器や什器等を設置する
- 2-17 スタッフ研修を実施する
- 3 美容クリニックの開業を成功させるための5つのポイント
- 4 まとめ
美容クリニックの市場規模と将来性
美容クリニックの市場規模は拡大傾向にあります。詳しくみていきましょう。
最新版|美容クリニックの市場規模
美容クリニックの市場規模は、コロナ禍で一時減少していたものの、近年ではコロナ前よりも拡大傾向にあります。
株式会社矢野経済研究所が発表した「美容医療市場」の調査データによると、2020年は4050億円だったのに対し、2023年は5940億円まで上昇しています。2020年からは市場規模が年々増加しており、今後も国内での需要は高まっていくと予想されます。
(参考:2024年版 日本マーケットシェア辞典|株式会社矢野経済研究所)
美容医療がコロナ後に大きく成長している要因は、以下の2点が考えられます。
- マスク生活により、目元周囲の施術を希望する人が増えた
- 人と接触しない期間を利用して、気になっていたシミやたるみの改善を希望する人が増えた
また近年、皮膚疾患の有病率が増加しており、治療を必要とする患者さんの数が増加しています。
さらに、健康で若々しく見られたいと感じる人が増えていることも、拡大の背景となっているようです。この傾向は世界的にも見られていて、世界の美容整形市場規模は2023年に576億7000万米ドル、2024年は597億7000万米ドル、2032年には816億6000万米ドルまで成長すると予想されています。
美容医療市場の将来性
SNSの普及により、近年では若者の美容医療への関心が高まっています。芸能人やInstagram、TikTok、YouTubeといった各種SNSのインフルエンサーが施術体験を発信することで、美容クリニックを身近に感じやすくなっていることが要因の1つかもしれません。
さらに、施術のビフォーアフターや体験談を確認できることで心理的なハードルが下がっており、自分も試してみたいと感じる若者が増えています。
女性だけでなく男性の美容医療も急速に注目を集めていて、特にメンズ脱毛は20代から30代の男性で経験者が増加傾向です。
ジェンダーレス化やエイジングケアの普及もあり、男女関係なく今後も美容医療市場の拡大が期待できるでしょう。
美容クリニック開業までの流れ

ここでは美容クリニック開業までの流れについて紹介します。
クリニックのコンセプトを決める
最初の準備として、クリニックのコンセプトを決めましょう。コンセプトは経営の指針となるため、経営判断を下す際にもブレずにクリニックの方針を選択できます。
具体的には以下の内容を決めておきましょう。
- ターゲットの患者層
- 提供する施術やサービス
- 価格設定
- クリニックの規模
- 他院との差別化
他院との差別化では、男性特化や脂肪吸引専門など特定のカテゴリーに絞ることで強みをアピールできます。
開業するエリアを決める
開業するエリアの選定は、経営の成否を大きく左右する要素の一つです。立地によって集患率は大きく変化するため、交通アクセスの良さやターゲット層の人口比率を考慮する必要があります。
駅周辺やオフィス街を選ぶと、ビジネスパーソンの通勤圏と重なり来院してくれる可能性が高まります。大学生をターゲットとする場合、大学キャンパス付近もしくは学生が集まりやすい駅周辺に開業すると、ターゲット層の集患が見込めるでしょう。
ただし、駅周辺は土地の価格や物件の家賃が高くなってしまうため、コストとのバランスを考慮した上で開業エリアを選ぶ必要があります。
開業後1年のキャッシュフロー表を作る
クリニック経営を早期に軌道に乗せるために、綿密な資金計画を立て、開業後1年のキャッシュフロー表を作成しましょう。
キャッシュフロー表とは、将来の一定期間における資金収支や金融資産の残高を予想して、推移を表にまとめたものです。
開業時の初期費用、毎月の運営費、予想される収支を詳しく見積もり、開業から1年間のお金の流れをキャッシュフロー表にまとめましょう。キャッシュフロー表を作成することで、資金繰りの見通しが立ち、必要な資金調達の金額も明確になります。
資金調達について金融機関等に申し込む
美容クリニック開業の一般的な資金の目安は、5000万円〜1億円と考えられています。自己資金だけで開業資金を賄うのは難しく、金融機関等から融資を受けて開業する例は少なくありません。
民間の金融機関での融資を検討するのであれば、都市銀行より地方銀行や信用金庫のほうが審査は通りやすいとされています。
医療経営士の資格を持つ行員がいれば、より的確なアドバイスを受けられるでしょう。
すでに美容クリニックへの融資の実績がある金融機関に相談し、借入れの条件や申し込みに必要な書類などについて確認することをおすすめします。
クリニックの名前を決める
クリニックの名前は、患者さんがクリニックに抱く印象に大きく影響します。名前を決める際は提供するサービスやクリニックのイメージが伝わるような、コンセプトにあったものを選ぶことが重要です。
シンプルで呼びやすい名前にすると、患者さんの記憶に残りやすくなります。地域にちなんだ名前を選べば、地元の患者さんに親近感を持ってもらえるでしょう。
看板や公式サイトに使用するロゴのデザインを発注する
クリニック名と同じく、ロゴのデザインもクリニックのイメージ作りに大きく影響します。プロのデザイナーに依頼し、クリニックのコンセプトを反映してデザインしてもらうのがおすすめです。
依頼先には、デザイン会社やフリーランスのデザイナー、オンラインでのデザイン作成などがあります。依頼先の過去の実績や事例などを参考に、クリニックに合ったロゴデザインを作成してくれるかで判断しましょう。
内装業社を選定する

内装は患者さんが抱くクリニックの印象を左右します。きれいになることを目的に来院する方が多いため、清潔感のある内装は必須条件といえるでしょう。
内装業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取り、コストと品質のバランスを慎重に検討することが大切です。
クリニックの施工実績の豊富さやアフターフォローの充実度、コミュニケーションの取りやすさなども、内装業者を選ぶ際のポイントとなるでしょう。
各種什器や医療機器を選ぶ
医師やスタッフが使用する机やイス、待合室で患者さんが座るソファーといった各種什器は必要不可欠です。
先進的な医療機器を選ぶことは、他のクリニックとの差別化を図るうえで欠かせません。
各種什器や医療機器の準備は、納入に時間がかかる場合もあるため、必要なものの選定を早めに行いましょう。
消防署、保健所に必要な手続きについて確認する
美容クリニックの開業にあたって、管轄の消防署に許可をもらう必要があります。消防要件に必要な構造要件とクリニック開設に必要な構造要件には違いがあるため、両方の要件を満たさなければなりません。
また、保健所には診療所開設届を提出します。診療所開設届は、診療所やクリニックを開設した日から、10日以内に所轄の保健所へ提出しなければならない書類です。保健所にはほかにも、各施術に対する届出の提出が必要となる場合もあります。
各種の必要な手続きについて消防署や保健所に事前に相談し、余裕をもって確認しておきましょう。
電子カルテや自動精算機等を選定する
業務効率化を図るためにも、電子カルテや自動精算機の導入を検討しましょう。自動精算機の導入は、スタッフの業務負担軽減だけでなく、患者さんの待ち時間を短縮できるメリットがあります。
電子カルテと自動精算機を連携させることで、より効率良く業務を進められるでしょう。運用にかかるコストを把握し、補助金の申請ができるか否かも確認してみてください。
公式サイトの制作、SNSアカウントの開設に着手する
公式サイトの制作やSNSの運用は集患に大きく影響します。近年ではSNSがきっかけで美容クリニックに興味を持つ若者も少なくありません。
ホームページの作成を制作会社に外注しているクリニックは多いですが、どの制作会社に依頼すればよいか悩む場合もあるでしょう。
まずは医療広告ガイドラインをしっかりと遵守しているかを基準にし、美容クリニックの公式サイトの制作実績がある会社から選定するのがポイントです。
採用活動を開始する
求人を出していてもすぐによい人材が見つかるとは限りません。開業の目処が立ち次第、採用活動は早めに開始しましょう。
美容クリニックは一般的なクリニックに比べ、サービス面を重視する患者さんが多い傾向にあります。接遇や専門的な知識など高いレベルが求められるため、経験豊富なスタッフを採用するのがおすすめです。
求める人材がなかなか見つからない場合は、募集媒体を変更することも検討しましょう。
内装工事をスタートする
内装工事は一般的に、2〜3カ月程度かかるとされています。
予期せぬ問題や変更が生じる可能性を考慮し、開業予定日から逆算して十分な余裕をもたせることが大切です。
広告代理店を選定しマーケティング施策を検討する
患者数を増やすためにも、広告代理店を選定してクリニックに合ったマーケティング施策を検討しましょう。
美容業界の広告出稿には医療広告ガイドラインなど守るべき広告ルールがあるため、ルールを熟知している必要があります。
開業資金を回収し、早期に経営を安定させるためにも、美容業界の広告ルールに強い広告代理店を選定しましょう。
保健所の立ち会い検査と開業届の提出
診療所開設届を保健所に提出後、保健所がクリニックに立ち入って検査を行う場合があります。保健所の立ち入りは、医療機関が法律を守り、適切な医療を提供できる環境かどうかを確認する医療法で定められた制度です。
ほかにも所轄の税務署へ開業届を提出しなければならず、事業開始後1カ月以内に提出する必要があります。
手続きをスムーズに進めるためにも事前に税務署や保健所に確認し、準備を進めておきましょう。
院内に医療機器や什器等を設置する
医療機器や什器等が届いたら、設置場所を検討しましょう。スタッフ業務の導線確保や、患者さんのプライバシーに配慮した空間デザインにも関わります。
スタッフ研修を実施する
スタッフ同士がスムーズに連携できるよう、クリニックのオープンまでに研修や診療のシミュレーションをしっかりと行い、チームでの連携を含めた実践的なスキルを育てましょう。
美容クリニックの開業を成功させるための5つのポイント

美容クリニックの開業を成功させるために、押さえておくべきポイントがあります。本章では開業を成功させるための5つのポイントを紹介します。
必要な開業・運転資金を把握しておく
開業前の初期投資が不足してしまうと、クリニック開業の失敗につながりかねません。クリニックの開業に必要な費用は、おおまかに以下のようなものがあげられます。
- 物件関連費用(土地建物購入またはテナント契約)
- 施設整備費(建築・内装工事)
- 運営準備費(薬品・什器などの備品)
- 医療設備費(医療機器・設備の導入)
- 初期の運転資金(人件費・光熱費など)
- その他諸経費(税金・広告費など)
開業から数カ月は売上が安定せず赤字に陥る可能性もあるため、必要な資金を把握しておきましょう。スタッフの給与支払いを確保できるよう、余裕を持って準備する必要があります。
無理のない資金調達方法を選ぶ
開業資金の調達方法には、主に以下のようなものがあります。
- 日本政策金融公庫からの借入れ
- 銀行融資
- 医師信用組合
- リース会社
銀行などの民間金融機関によってはクリニックの新規開業を対象にしたプランが用意され、無担保で返済期間も10年前後で借り入れできるケースがあります。
ただし、自己資金が少なすぎると審査が通りにくい可能性もあるため、銀行の融資を希望するのであれば、融資金額の10〜20%の自己資金は準備しておく必要があるでしょう。
日本政策金融金庫は審査に1カ月ほどかかりますが、銀行に比べ借入れのハードルが低い傾向にあります。民間の金融機関に比べ、低金利で借りられるという特徴があります。自己資金が少ない場合、まずは日本政策金融金庫からの借入れを検討してみるのがいいでしょう。
開業エリアの診療圏調査を念入りに行う
診療圏調査とは開業予定エリアにクリニックを開設した場合、1日にどの程度の来院患者を見込めるかを把握する調査です。
調査レポートの確認では、主に1日あたりの外来見込み患者数とエリア人口に注目します。エリア人口が小さい場合、競合医院の開設により大きな影響を受ける可能性があるため、両者の数値を把握することが重要です。
受付、看護師等のスタッフと院長、医師との相性を確かめておく
美容クリニックの成功には、スタッフ同士のチームワークも重要となるでしょう。チームワークのよさは、クリニックの雰囲気や患者さんの満足度にも影響を与えます。良好な職場環境は、スタッフの定着にもつながるでしょう。
医師が中心の業務が多いため、スタッフ採用時には医師との相性も考慮する必要があります。
マーケティング担当のスタッフを採用する、もしくは広告代理店に依頼する
美容クリニックの成功には、マーケティング戦略の取り組みが欠かせません。適切なマーケティング施策により、クリニックの認知度向上や収益増加が期待できます。
ただし、スタッフが通常業務に加えてマーケティング業務を行うには限界があります。専門知識や経験が不足し、かえって業務効率を下げてしまう可能性もあるでしょう。
マーケティング専門のスタッフを採用するか、実績のある広告代理店に依頼することをおすすめします。プロの視点と効果が期待できるマーケティング手法を取り入れ、クリニックの特徴や強みを活かした戦略で集患につなげましょう。
まとめ
美容クリニックの開業には、コンセプトの決定から内装工事、スタッフ採用まで多くの準備が必要です。
特に適切な資金計画や診療圏調査、効果的なマーケティング施策の準備には力を入れましょう。
開業費用は5000万円〜1億円程度を見込み、余裕を持った資金調達を行うことも重要です。スタッフの研修や広告戦略などのポイントも押さえ、長期的な視点で綿密な計画を進めることが成功への近道となるでしょう。
開業準備は早めに開始して、専門家のアドバイスも積極的に採り入れ、理想的な美容クリニックの開業を目指しましょう。




処置・薬剤・画像・同意書などを電子カルテに反映させることもでき、請求書の作成や物品管理なども自動化します。また、データの自動集計機能やシフト管理機能などで、業務の時間短縮が可能です。
さらに、美容医療を中心とした自費診療向けに作られた院内のデータ管理ツールを、皮膚科、形成外科の保険診療でも利用いただけるよう機能を実装しました。
院内に専用のサーバーが必要なオンプレミス型電子カルテと異なり、初期費用が安価で導入までの時間短縮ができます。
・無床クリニック向け
・有床クリニック向け
・中小病院向け
・WEB問診票
・デジタル診察券
・友達紹介
・ポイント機能
・オンライン診療
・タブレット対応
・モバイル端末
・WEB予約
・データ移行
・レセプトチェック
・iOS/windows対応
・美容外科
・皮膚科
・整形外科