Web問診システム導入の失敗しないポイント|Web問診システム10選を紹介
多くの医療機関で導入が進むWeb問診システムですが、患者さんが来院前にスマートフォンやパソコンから問診票を入力できるため、受付の混雑緩和や業務効率化に役立ちます。さらに、電子カルテとの連携により転記ミスを防ぎ、スムーズな診療をサポートします。本記事では、Web問診システムが求められている背景や導入時の注意点、そしておすすめの10社を紹介します。
目次
いま、医院でWeb問診システムが求められている理由

医療現場では、患者満足度の向上と業務効率化の両立が課題となっています。こうしたなかで注目されているのがWeb問診システムです。患者さんが来院前にスマートフォンなどで問診票を入力できるため、受付業務の効率化や待ち時間の短縮、診療精度の向上につながります。この章では、Web問診システムが多くの医院で導入されている背景を3つの観点から解説します。
患者ニーズの多様化と非接触化への対応
コロナ禍を経て、医療機関でも非接触での受付、事前入力によるスムーズな診察へのニーズが高まりました。Web問診システムは、患者さんが自宅や通勤途中など、好きな場所や時間に問診票を記入できる仕組みです。来院時に紙の問診票を渡す必要がなく、待合室での滞在時間を減らせます。また、スマートフォン操作に慣れた若年層だけでなく、高齢の方でも使いやすいUIを採用したツールも多く、幅広い層に対応できる点が評価されています。
スタッフの業務負担とヒューマンエラーの軽減
紙の問診票を使用していると、受付スタッフが内容を電子カルテに手入力する手間が発生し、転記ミスや記入漏れなどのリスクも伴います。Web問診システムを導入すれば、入力データが自動的に電子カルテへ反映されるため、手作業の負担を大幅に軽減できます。また、問診内容のテンプレート化や自動選択形式により、診療科ごとの項目管理も容易です。スタッフの業務時間短縮と医療の正確性向上を同時に実現できる点が、導入が進む大きな理由です。
待ち時間の短縮とスムーズな診療フロー
来院前に問診を済ませておけることで、受付から診察までの流れがスムーズになります。患者さんが入力した内容を医師が事前に確認できるため、診察の準備が整い、初診でも短時間で適切な対応が可能です。さらに、症状や受診目的に応じて質問項目を自動分岐させるシステムもあり、診療の質を高めることにもつながります。待ち時間の短縮は患者さんの満足度向上にも直結し、医院全体の信頼性やリピート率を高める効果が期待できます。
Web問診システムの仕組みと基本機能

Web問診システムは、紙の問診票をデジタル化し、インターネット上で情報を収集、管理できるツールです。患者さんがスマートフォンなどを使って入力した問診データは、クラウド上で自動的に保存、共有され、電子カルテや予約システムと連携します。この章では、患者さんと医院の両方にとっての主なメリットを紹介します。
患者さんが感じる利便性
Web問診システムの第一の魅力は、来院前に自宅などで問診を完了できる点です。スマートフォンやタブレットで簡単に入力でき、紙の記入に比べて時間と手間を削減できます。また、質問は選択式や分岐形式で構成されており、症状に合わせて必要な設問だけが表示されるため、入力の負担も軽減されます。さらに、入力内容は診察前に医師が確認できるため、診察時の会話がスムーズになり、患者さんが感じるストレスも少なくなります。非接触での受付を実現できる点も、感染症対策として不安を低減します。
医院が得られる業務効率化
医院側にとっても、Web問診システムの導入は多くのメリットがあります。まず、紙の問診票の内容をカルテなどに手入力する必要がなくなり、受付スタッフの作業時間を大幅に削減できます。電子カルテとの連携により、患者情報や症状が自動的に反映されるため、転記ミスの防止にもつながります。また、診療科や症状ごとにテンプレートをカスタマイズできるため、問診内容の標準化と効率的な運用が可能です。これにより、医師や看護師、受付スタッフの連携がスムーズになり、全体の業務効率化と診療の質の向上が実現します。
導入前に確認しておきたい3つのチェックポイント

Web問診システムは大変便利なツールですが、導入時に確認すべきポイントを見落とすと、思わぬトラブルや追加コストが発生するリスクがあります。特に、既存システムとの連携性やセキュリティ対策、導入後の運用サポートは、医院の業務に直結する重要な要素です。本章では、導入を検討する際に必ず押さえておきたい3つのチェックポイントを解説します。
電子カルテや予約システムとの連携可否
Web問診システムを選ぶ際は、電子カルテや予約システムとの連携可否を必ず確認しましょう。データが自動的に連携されることで、受付業務や診療準備がスムーズになり、転記作業が不要になります。逆に、連携できないシステムを導入すると、手動入力が必要になり、業務効率が下がる可能性があります。主要なレセコンや電子カルテと標準連携しているか、また予約システムや会計システムなどとのデータ共有に対応しているかを事前に確認しておくことが大切です。
セキュリティ対策と個人情報保護の基準
Web問診システムでは、患者さんの症状や連絡先など、機微な個人情報を扱います。そのため、セキュリティ対策は第一に重視すべき項目です。通信データを暗号化するSSL対応や、アクセス権限の設定など、具体的な保護体制を確認しましょう。また、プライバシーマークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの認証を取得しているベンダーであれば、より信頼して導入できます。セキュリティ対策は患者さんからの信頼にも直結するため、慎重な比較検討が重要です。
スタッフ教育・運用サポートの有無
新しいシステムを導入する際は、スタッフが使いこなせるかどうかが成功の鍵になります。操作が複雑だと、現場での混乱や入力ミスが起きやすくなります。そのため、導入時の初期設定支援や操作マニュアルの提供、オンライン研修など、サポート体制が整っているかを確認しましょう。また、導入後も不具合対応や機能アップデートなど、継続的に支援してくれるベンダーを選ぶことが理想です。使いやすさとサポートの充実度を両立できるかどうかが、長期的な運用を左右します。
Web問診システム
本章では、実際に多くのクリニックや医療機関で導入が進むおすすめのWeb問診システムを紹介します。各メーカーごとに特徴や機能、対応範囲、料金体系などが異なるため、自院の運用方針や電子カルテとの連携状況に合った製品を選ぶことが大切です。導入実績やサポート体制、使いやすさに定評のある10社を厳選し、それぞれの強みをわかりやすく解説します。
CLINICS問診|株式会社メドレー
医療ヘルスケア分野に特化したサービスを展開するのが株式会社メドレーです。CLINICS問診は同社が提供するWeb問診システムです。患者さんが来院前にスマートフォンなどで問診に回答できるため、受付での待ち時間短縮と問診票のデジタル化による業務効率化に貢献します。問診機能に加えて、同社が提供するCLINICSカルテやCLINICS予約などのシステムとの連携により、予約から問診、診察までの一連の流れを統合できます。問診結果は、電子カルテに自動で紐づけられ、転記作業を削減可能です。電子カルテの新規導入を検討しており、受付業務から診療プロセス全体を一元的にデジタル化したいクリニックに適しています。
SymView|株式会社レイヤード
株式会社レイヤードは、25年以上にわたり、全国の医療機関にデジタルサイネージや電話自動応答システムなどを提供してきました。SymViewは、同社が開発、提供するWeb問診システムです。来院前に患者情報を収集、分析し、診療のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進します。全国2,000施設以上(周辺サービス含む)での採用実績があり、特に保険診療中心の医科診療所で多く導入されています。問診結果は、電子カルテやレセコンなどの既存システムと連携し、カルテ作成時の情報転記の負担軽減に貢献します。患者さんの利便性を高めつつ、既存のクリニック業務フローを変えずに問診業務を効率化したい医療機関に適しています。
AI問診UBie|Ubie株式会社
Ubie株式会社は、「テクノロジーで医療をよりよく」をテーマに掲げる企業です。AI問診UBieは、同社が開発した、AI技術を活用したWeb問診システムです。患者さんが入力した症状に基づき、AIが適切な質問を自動で選択し深掘りし、精度の高い問診情報を取得します。問診結果はSOAP形式に整形されるほか、予測病名や鑑別疾患の候補と、それを裏付ける質問の根拠情報が提示されます。多くの主要な電子カルテと連携実績があり、カルテへの転記負担の削減が期待できます。診察前の情報収集の精度を向上させ、医師の診断支援を強化したいクリニックや、複雑な症状を持つ患者が多い医療機関に適しています。
i mon(アイモン)|アイ・ティ・エス株式会社
i monは、医療、介護分野のITソリューションを提供するアイ・ティ・エス株式会社が開発した、クラウド型のタブレット問診入力システムです。画面デザインが直感的でわかりやすいため、高齢の方を含む患者さんが容易に入力できることを特徴としています。クラウドサーバーを利用しているため、患者さんは院内だけでなく、スマートフォンなどから院外での事前入力も可能です。これにより、受付後の待合室での滞在時間短縮に貢献します。また、医療機関の独自問診票にあわせてカスタマイズできるため、幅広い診療科や問診様式に対応します。紙問診票からの移行を検討しており、患者さんの入力ストレスを軽減したいクリニックに向いています。
Ace|株式会社ARS(アルス)
Aceは、医療機関向けのWeb予約、順番管理、受付と会計、決済など、多様なソリューションをシリーズ展開している株式会社ARSが提供するWeb問診システムです。Web予約から問診、番号案内、会計までを一貫してデジタル連携させることが可能です。特に、問診結果の記録を支援するため、生成AIモードを搭載しており、回答をSOAP形式の記事として記録する効率化機能が特徴です。既存の電子カルテとの連携にも対応しており、受付から診療までの一連の業務フロー全体を効率化したいクリニック、近年話題のAI技術を活用し、問診結果のカルテ記載をスムーズにしたい医療機関に向いています。
Mac24-Tab|株式会社マクロスジャパン
株式会社マクロスジャパンは、医科・歯科向けの医療情報システムを開発、提供している企業です。Mac24-Tabは、同社による、タブレットおよびWeb対応の問診入力システムです。画面構成がシンプルでわかりやすく、患者さんが直感的に操作しやすい点が特徴です。患者さんの回答内容に応じて質問が分岐する機能を備えており、必要な問診情報を過不足なく収集できます。また、問診結果を電子カルテに自動入力する連携機能に対応しているため、医療スタッフによる煩雑な転記作業を削減可能です。操作のわかりやすさとカルテ連携による業務効率化を重視するクリニックや、電子カルテ導入済みで問診業務のデジタル化を進めたい医療機関に適しています。
アポクル問診|カルー株式会社
アポクル問診は、医療機関の経営支援やコンサルティングサービスを提供するカルー株式会社が提供するWeb問診システムです。同社のWeb予約システムの機能として提供されており、患者さんは来院前にスマートフォンなどから問診に回答できます。問診内容はオンラインで収集され、その情報を電子カルテへ反映させることで、受付業務の効率化や転記ミスの防止が期待できます。特に月額10,000円(税別)から利用開始できるなど、導入コストを抑えやすい傾向にあります。すでにアポクルの予約システムを利用しているクリニックや、初期費用やランニングコストを抑えながらWeb問診の機能を導入したい小規模な医療機関に適しています。
Medical TQ|株式会社ユー・アイ・エス
Medical TQは、医療機関向けのシステム開発、販売を行う株式会社ユー・アイ・エスが提供するWeb問診、情報管理システムです。Web問診機能に加えて、検査データや健診結果、患者さんの基本情報などを統合的に管理する機能を特徴としています。特に、生活習慣病の管理や健康診断、人間ドックの業務効率化に役立つ機能が充実しています。問診から得られた情報を、電子カルテやレセコンなどと連携させることで、複数のシステム間での情報共有を円滑にします。健診施設や、多くの検査情報を取り扱う大規模なクリニック、あるいは生活習慣病患者さんの継続的なフォローアップに注力している医療機関に適しています。
デジスマ診療|エムスリーデジカル株式会社
デジスマ診療は、予約や問診、診察、決済などのクリニック業務全般を、患者さんのスマートフォンアプリで一元管理できる診療支援システムです。Web問診は患者さんがアプリを通じて事前に入力でき、その情報はシステム内で管理され、クリニックの業務効率化につながります。このシステムの特徴は、オンライン診療やキャッシュレス決済にも対応しており、受付から会計まですべてをスマートフォン内で完結させる点です。既存の電子カルテと連携する機能も備えています。患者さんの利便性を高め、受付業務のデジタル化と完全キャッシュレス化を目指すクリニック、特に若い世代の患者さんが多い医療機関に適しています。
メルプWEB問診|株式会社HERO innovation
メルプWEB問診は、現役の医師によって開発されたWeb問診システムです。患者さんがLINE風のチャット形式で回答できる画面デザインを採用しており、直感的な操作で問診を完了できます。紙の問診票をそのまま再現できる高いカスタマイズ性が特徴で、幅広い診療科に対応可能です。問診結果は、クリック一つで電子カルテにSOAP形式などの文章として転記できるため、医療スタッフのカルテ作成時間を削減します。多数の主要な電子カルテとの連携実績を持ちます。問診情報収集の質と量を向上させ、カルテへの転記作業を効率化したいクリニックに向いています。
Web問診システムがもたらす医院経営へのプラス効果

Web問診システムは、単に問診のデジタル化を実現するだけでなく、医院全体の経営効率を高めるツールとして注目されています。受付や診療の流れをスムーズにし、スタッフの働き方を改善し、結果的に患者満足度と経営安定化の両立を実現できます。本章では、導入によって得られる主な3つのプラス効果を紹介します。
受付・待合室の混雑緩和
従来の紙問診では、来院後に記入や確認に時間がかかり、受付や待合室が混み合う要因になっていました。Web問診システムの導入により、患者さんが自宅や移動中に事前入力を済ませられるため、受付処理のスピードが向上します。待ち時間の短縮は患者さんのストレス軽減につながり、医院の回転率向上にも貢献します。また、非接触対応によって感染症リスクを抑えられる点も、現代の医療環境での大きなメリットです。
問診内容の精度向上による診療の質アップ
Web問診システムでは、症状や受診目的に応じて質問が自動分岐し、患者さんごとに適切な問診項目が提示されます。これにより、医師はより正確な情報を把握でき、診療の質向上につながります。また、入力内容が電子カルテに自動反映されるため、転記ミスや記載漏れなどのヒューマンエラーを防止できます。患者さんが自分のペースで入力できることで、より詳細な症状や経過が共有され、初診でもスムーズに診断、治療を行える点も大きな利点です。
スタッフの負担軽減でチーム全体の生産性向上
Web問診システムの導入により、受付スタッフが紙問診票を配布、回収、入力する手間がなくなります。これにより、事務作業の時間を診療補助や患者対応など、より価値の高い業務に充てることができます。さらに、情報共有のスピードも向上し、医師や看護師、スタッフの連携がスムーズになります。チーム全体の生産性が上がることで、医院運営の効率化だけでなく、スタッフのモチベーション維持にもよい影響を与えます。
まとめ
Web問診システムは、患者さんの利便性向上と医院の業務効率化を同時に実現できるツールです。電子カルテとの連携や非接触対応によって、これまで煩雑だった受付、問診業務を大幅に改善できます。導入前に機能やサポート体制を詳細に比較し、自院の運用に適したシステムを選ぶことが成功の鍵です。効率的で質の高い医療体制づくりに、Web問診の導入を検討してみてはいかがでしょうか。














